4 / 39
わとんのコロッケ
謎は謎のまま?
しおりを挟む
『わとんのコロッケはすでに原価割れしてるのよ』
『原価割れ? え?? どういうこと?? だったら商売にならないじゃない』
明日香は目を丸くして言った。
彼女の瞳は二重ではないがパッチリとして大きい。
明日香自身は二重の目が良いと思っているが、その大きな瞳が彼女のチャームポイントになっていることを彼女自身は知らない。
『だって考えてみなよ。あれだけ美味しいコロッケが100円もしないのよ』
『でもコロッケって大体100円ぐらいじゃない。『わとん』のコロッケは確かに安いけど特別安いという訳じゃないわよ』
『そう。大体100円ぐらいよね。でも『わとん』のコロッケは70円。つまり30円も安いわけ』
『そうね。そんなのは少し小さめにして作るとかでなんとかなるんじゃないの?』
『『わとん』のコロッケは他で売ってるコロッケに比べて小さい?』
『さあ……比べたことないわね』
『ここからはあたしの推理だけどね。大きさはそんなに変わらないと思う』
『なんで?』
『だって30円分コロッケを小さくしようと思ったらそれなりに小さくなると思わない?なのに、今、あたしが明日香に『わとん』のコロッケと他で売ってるコロッケを比べてどう?と聞いたら『さあ……』って答えたでしょ。つまり、明らかに『わとん』のコロッケが小さい場合は、意識しなくても『そういえば小さいわね』ってなるじゃない』
純の説明に、明日香は少し不満気な顔をした。
確かに意識しなくても明らかに大きさが違えば分かるのかもしれないが、それはあくまでこういう形でコロッケの大きさを意識していないから、違いが分からないにすぎないのかもしれない。
『検証してみない?』
純は言った。
そう。
こういう話は検証してみるのが一番なのだ。
『いや……その前に聞きたいことがあるんだけど』
『何?』
『コロッケのからくりよ。なんであんなに安いのか』
『あたしの推理はこう。つまりあのコロッケは原価を超えた上質の材料を使っているはずなのよ』
『いや……てゆうか原価割れなんかしたら商売にならないんじゃないの?』
『注目すべきは実はその商売の部分よ』
『商売?』
『そう。コロッケで原価割れしても、他の商品が原価よりもはるかに高くてコロッケとセットで売れるとしたら?』
『なるほどね……』
純の言っていることは確かにその通りかもしれない、と明日香は思った。
ただ、コロッケの他の商品で原価よりはるかに高い値段設定でコロッケとセットで売れるものなどあるのだろうか。
『今、一瞬、コロッケとセットで売れそうなものを考えてたでしょ?』
純は明日香を見た。背の高い明日香と背の低い純。デコボココンビである。純が明日香を見るとどうしても見上げるような形になってしまう。
『ま……まあね……』
明日香は考えを見透かされたので照れ隠しのように純から視線を外した。
『コロッケとセットで売れそうなものまでは分からないわよ』
『え――。それじゃ意味ないじゃん』
『いいのよ。謎は謎のままの方が面白いのだから』
『原価割れ? え?? どういうこと?? だったら商売にならないじゃない』
明日香は目を丸くして言った。
彼女の瞳は二重ではないがパッチリとして大きい。
明日香自身は二重の目が良いと思っているが、その大きな瞳が彼女のチャームポイントになっていることを彼女自身は知らない。
『だって考えてみなよ。あれだけ美味しいコロッケが100円もしないのよ』
『でもコロッケって大体100円ぐらいじゃない。『わとん』のコロッケは確かに安いけど特別安いという訳じゃないわよ』
『そう。大体100円ぐらいよね。でも『わとん』のコロッケは70円。つまり30円も安いわけ』
『そうね。そんなのは少し小さめにして作るとかでなんとかなるんじゃないの?』
『『わとん』のコロッケは他で売ってるコロッケに比べて小さい?』
『さあ……比べたことないわね』
『ここからはあたしの推理だけどね。大きさはそんなに変わらないと思う』
『なんで?』
『だって30円分コロッケを小さくしようと思ったらそれなりに小さくなると思わない?なのに、今、あたしが明日香に『わとん』のコロッケと他で売ってるコロッケを比べてどう?と聞いたら『さあ……』って答えたでしょ。つまり、明らかに『わとん』のコロッケが小さい場合は、意識しなくても『そういえば小さいわね』ってなるじゃない』
純の説明に、明日香は少し不満気な顔をした。
確かに意識しなくても明らかに大きさが違えば分かるのかもしれないが、それはあくまでこういう形でコロッケの大きさを意識していないから、違いが分からないにすぎないのかもしれない。
『検証してみない?』
純は言った。
そう。
こういう話は検証してみるのが一番なのだ。
『いや……その前に聞きたいことがあるんだけど』
『何?』
『コロッケのからくりよ。なんであんなに安いのか』
『あたしの推理はこう。つまりあのコロッケは原価を超えた上質の材料を使っているはずなのよ』
『いや……てゆうか原価割れなんかしたら商売にならないんじゃないの?』
『注目すべきは実はその商売の部分よ』
『商売?』
『そう。コロッケで原価割れしても、他の商品が原価よりもはるかに高くてコロッケとセットで売れるとしたら?』
『なるほどね……』
純の言っていることは確かにその通りかもしれない、と明日香は思った。
ただ、コロッケの他の商品で原価よりはるかに高い値段設定でコロッケとセットで売れるものなどあるのだろうか。
『今、一瞬、コロッケとセットで売れそうなものを考えてたでしょ?』
純は明日香を見た。背の高い明日香と背の低い純。デコボココンビである。純が明日香を見るとどうしても見上げるような形になってしまう。
『ま……まあね……』
明日香は考えを見透かされたので照れ隠しのように純から視線を外した。
『コロッケとセットで売れそうなものまでは分からないわよ』
『え――。それじゃ意味ないじゃん』
『いいのよ。謎は謎のままの方が面白いのだから』
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
不思議の街のヴァルダさん
伊集院アケミ
ミステリー
仙台市某所にある不思議な古書店で、時折繰り広げられる、小さな事件。「死者の書のしもべ」を自称するシスターの格好をした中二病の女性と、彼女を慕う平凡な大学生による、日常系サスペンス? です。なお、この小説は、世間知らずのワナビの女の子が書いてる小説という設定です。
マイグレーション ~現実世界に入れ替え現象を設定してみた~
気の言
ミステリー
いたって平凡な男子高校生の玉宮香六(たまみや かむい)はひょんなことから、中学からの腐れ縁である姫石華(ひめいし はな)と入れ替わってしまった。このまま元に戻らずにラブコメみたいな生活を送っていくのかと不安をいだきはじめた時に、二人を元に戻すための解決の糸口が見つかる。だが、このことがきっかけで事態は急展開を迎えてしまう。
現実に入れ替わりが起きたことを想定した、恋愛要素あり、謎ありの空想科学小説です。
この作品はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
パラダイス・ロスト
真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。
※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。
リモート刑事 笹本翔
雨垂 一滴
ミステリー
『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。
主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。
それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。
物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。
翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?
翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる