candy color

幕開け

「せんせぇっ…きつぃ…」

隣に並んで歩く男の袖を掴む。男は、至極楽しそうに笑った。

「当たり前でしょ。キツいのにしたんだから」

いけしゃあしゃあと言ってのける恋人は、繋いだ手にきゅっと力を込めた。ユウが悪いんだよ。呟いた声に、背中をひくりと震わせた。

事の発端は、あたしが街頭アンケートを取られていた、それが結構なイケメンだった上にあたしが楽しそうにお喋りしていた(先生談)のを見たってだけ。

唐突に現れた先生にその場で手を引かれ、先生の家に連れて行かれ、これ穿いてと渡された下着に絶句したのが1時間くらい前。クロッチ部分にパールが５つも並んだ、通称玉ショーツ。言っておくけど、それかなりサイズ小さいやつだから。頑張ってね。その言葉にも引いたし、こんなものを持っている恋人にもドン引きした。しかし、その綺麗な目の奥に怒りの炎が、それもかなり高温で燃え盛っているのを見て、穿かない選択肢は消え失せてしまったのだった。

だから、お散歩デートしようと差し出された手を、振り払う術を持っていなかった。