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王様の独壇場
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「違うよ。俺の名前は、」
「NO!」
泣き叫ぶような凛に、彼を纏うオーラが一気に怒りの色を帯びました。凛から一歩離れた彼は、指の先で空に何かを描きます。
ここは女王の城。何が起こっても不思議はないと構えた凛でしたが、特別なことは何も起こりません。彼はただ本当に空をかき混ぜただけのようでした。
くるくると何もない空間を指の先でかき混ぜるような仕草ですが、凛は恐ろしくて仕方がありません。何を考えているのか分からないと言ったほうが正しいかもしれません。
彼は突然凛に背中を向けると、尖ったブーツを囚われたアリスへと向けました。
「だずげで、っも、ぃや゛だぁぁぁっっ!!」
クリトリスを糸で吊られ、伸び切ったまま勃起したそこを羽虫にぱちぱちと叩かれているアリス──彼の言葉を借りるとしたら、女王の失敗作──に向かって、にこりと笑いかけました。
「薄いんだよね。どれもこれも。きみは水みたいなコーヒーが飲める?」
怒りのオーラを撒き散らしながら、それでも弾んだ声です。今更羽虫の音が聞こえて来た凛は、その大きな音に驚きました。大きなモーターみたいな音は、振動の強さを表しています。もしこんなものを当てられたら、数分と持たずに絶頂してしまうことなど想像に容易く、凛は唇を噛みました。
彼女は一体どれくらいの時間、あの羽虫に襲われているのでしょう。顔中をぐしゃぐしゃにし、スライムのような物体に体を半分飲まれている彼女は、どれだけつらい思いをしているのでしょう。
凛は体の奥からあついものがとろりと垂れるのを感じました。スパイダーの森で見た羽虫を思い出したのです。
美しい蝶の伸び切ったクリトリスや乳首に糸を巻き付けられ、その先端に括りつけられた羽虫があんなふうに好き勝手に飛び回り、ひたすらに振動を送っていたのです。蝶たちは苦しみながら絶頂し、愛液シャワーを絶え間なく噴射していたのです。
その時の悲鳴、嬌声、呻き声…。どれも凛の耳にこびりついていました。
知らずに息が上がっている凛を他所に、彼は跳んでいる羽虫を乱暴に掴みました。驚いて暴れる羽虫は、その羽音を大きくさせて逃げようと藻掻きます。
なにをするの。口を突いて出そうになった瞬間、その羽虫で彼女のクリトリスを思い切り打ちました。
「ぎゃあああぁぁぁぁっっ!!」
バチィィン、と耳を塞ぎたくなるような音と殆ど同時に、アリスは口から泡を吹きました。
「昔話でもしよっか」
彼は泡を吹きながらびくびくと痙攣するアリスに目もくれず、ひとり可笑しそうに笑いだします。くるりと向けた背中に、凛は震える声で言いました。
「NO」
「いいから聞きなよ。ああそうだ。退屈しないようにしてあげる」
顔を半分だけ振り向く彼は八重歯を見せました。歪んだ半月に、凛の背中がぞわりと震えます。得体のしれない恐怖に竦む足はカタカタと震えだし、早く逃げろと急かします。
それなのに、凛の足はまるで石になってしまったかのようにピクリとも動きません。爪先が氷のように冷たくなっているのを感じながら、凛は地を這うような、それでいて弾むような声に耳を向けるしかありませんでした。
「その昔、この国は、この世界はとても栄えていました。草木が揺れ、風は遊び…」
童話の冒頭のような語り口調に、凛はぞくりと身を強張らせます。聞いてはいけないような気がしてならないのに、耳介を舐めるような声は好き勝手に鼓膜を震わせ、凛の脳に電気信号を送らせます。心臓がばくばくと音を立て、早く立ち去れと急かしました。
相変わらず足は思うように動いてくれません。焦る凛の頬に、ぽたりと何かが落ちました。
汗か、涙か。知らないうちに涙を流していたのかと瞬きをしてみました。しかし、視界は全く歪んでいません。
「…え、…?」
汗でもなさそうです。では一体頬に落ちたものはなにか。
錆びたロボットみたいに首を軋ませて下を覗き込みますが、自分の頬に落ちたものを自分の目で見ることは勿論不可能です。
彼はにっと不気味に口角を上げたまま、語り続けました。
「アリスはそこかしこに溢れ、誰も飢えていませんでした。誰もが幸せで…王様は、愛する女王の蜜を啜り、女王も幸せで満ち満ちていました」
血に染まったような赤い絨毯を歩き出す彼は、ひとりのアリスに近付きます。男根によく似た触手を蜜壺にずっぷりと突き刺され、あへあへと下品に笑うアリスです。ぶしゅっと噴き出す蜜は全てスライムのような本体が一滴残らず吸収していきました。
「NO!」
泣き叫ぶような凛に、彼を纏うオーラが一気に怒りの色を帯びました。凛から一歩離れた彼は、指の先で空に何かを描きます。
ここは女王の城。何が起こっても不思議はないと構えた凛でしたが、特別なことは何も起こりません。彼はただ本当に空をかき混ぜただけのようでした。
くるくると何もない空間を指の先でかき混ぜるような仕草ですが、凛は恐ろしくて仕方がありません。何を考えているのか分からないと言ったほうが正しいかもしれません。
彼は突然凛に背中を向けると、尖ったブーツを囚われたアリスへと向けました。
「だずげで、っも、ぃや゛だぁぁぁっっ!!」
クリトリスを糸で吊られ、伸び切ったまま勃起したそこを羽虫にぱちぱちと叩かれているアリス──彼の言葉を借りるとしたら、女王の失敗作──に向かって、にこりと笑いかけました。
「薄いんだよね。どれもこれも。きみは水みたいなコーヒーが飲める?」
怒りのオーラを撒き散らしながら、それでも弾んだ声です。今更羽虫の音が聞こえて来た凛は、その大きな音に驚きました。大きなモーターみたいな音は、振動の強さを表しています。もしこんなものを当てられたら、数分と持たずに絶頂してしまうことなど想像に容易く、凛は唇を噛みました。
彼女は一体どれくらいの時間、あの羽虫に襲われているのでしょう。顔中をぐしゃぐしゃにし、スライムのような物体に体を半分飲まれている彼女は、どれだけつらい思いをしているのでしょう。
凛は体の奥からあついものがとろりと垂れるのを感じました。スパイダーの森で見た羽虫を思い出したのです。
美しい蝶の伸び切ったクリトリスや乳首に糸を巻き付けられ、その先端に括りつけられた羽虫があんなふうに好き勝手に飛び回り、ひたすらに振動を送っていたのです。蝶たちは苦しみながら絶頂し、愛液シャワーを絶え間なく噴射していたのです。
その時の悲鳴、嬌声、呻き声…。どれも凛の耳にこびりついていました。
知らずに息が上がっている凛を他所に、彼は跳んでいる羽虫を乱暴に掴みました。驚いて暴れる羽虫は、その羽音を大きくさせて逃げようと藻掻きます。
なにをするの。口を突いて出そうになった瞬間、その羽虫で彼女のクリトリスを思い切り打ちました。
「ぎゃあああぁぁぁぁっっ!!」
バチィィン、と耳を塞ぎたくなるような音と殆ど同時に、アリスは口から泡を吹きました。
「昔話でもしよっか」
彼は泡を吹きながらびくびくと痙攣するアリスに目もくれず、ひとり可笑しそうに笑いだします。くるりと向けた背中に、凛は震える声で言いました。
「NO」
「いいから聞きなよ。ああそうだ。退屈しないようにしてあげる」
顔を半分だけ振り向く彼は八重歯を見せました。歪んだ半月に、凛の背中がぞわりと震えます。得体のしれない恐怖に竦む足はカタカタと震えだし、早く逃げろと急かします。
それなのに、凛の足はまるで石になってしまったかのようにピクリとも動きません。爪先が氷のように冷たくなっているのを感じながら、凛は地を這うような、それでいて弾むような声に耳を向けるしかありませんでした。
「その昔、この国は、この世界はとても栄えていました。草木が揺れ、風は遊び…」
童話の冒頭のような語り口調に、凛はぞくりと身を強張らせます。聞いてはいけないような気がしてならないのに、耳介を舐めるような声は好き勝手に鼓膜を震わせ、凛の脳に電気信号を送らせます。心臓がばくばくと音を立て、早く立ち去れと急かしました。
相変わらず足は思うように動いてくれません。焦る凛の頬に、ぽたりと何かが落ちました。
汗か、涙か。知らないうちに涙を流していたのかと瞬きをしてみました。しかし、視界は全く歪んでいません。
「…え、…?」
汗でもなさそうです。では一体頬に落ちたものはなにか。
錆びたロボットみたいに首を軋ませて下を覗き込みますが、自分の頬に落ちたものを自分の目で見ることは勿論不可能です。
彼はにっと不気味に口角を上げたまま、語り続けました。
「アリスはそこかしこに溢れ、誰も飢えていませんでした。誰もが幸せで…王様は、愛する女王の蜜を啜り、女王も幸せで満ち満ちていました」
血に染まったような赤い絨毯を歩き出す彼は、ひとりのアリスに近付きます。男根によく似た触手を蜜壺にずっぷりと突き刺され、あへあへと下品に笑うアリスです。ぶしゅっと噴き出す蜜は全てスライムのような本体が一滴残らず吸収していきました。
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