アリスと女王

ちな

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誘惑

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蓮は可哀想なほど顔を真っ赤にした凛の顎に指を掛けて、前を向かせました。

「あの子たち、どうしてあんなに辛い思いをしているのに、あんなに蜜を出せると思う?あれをご覧。凛も飲んだことあるよね。あの、はちみつみたいなあまい蜜」

「っ!」

ごうんごうんと何かを攪拌する機械が見えました。どろどろのオレンジ色の液体は、最早液体というよりも固体に近いほど濃縮され、女性の口の中へ有無を言わさず強制的に流し込まれていました。

凛ははっと息を飲み、そして思い出しました。頭の芯が痺れるほどの催淫作用のある、あのハチミツです。おかしな帽子の男がタラタラと凛の体に惜しみなく垂らし、わざわざ温めて胎内へ注入したものです。
まだ未開発だった凛のまっさらな体にも、決定的な快楽を与えるに十分でした。

それを、あんなに濃縮されたものをあんなに飲まされるなんて…。

「ああっ…あっ…!」

凛はついにあまい声を漏らしてしまいました。

あれを飲むと、ひとたび肌を撫でられるだけで、脳に直接電気でも浴びせられたかのように、強い快感が走るのです。とても忘れることなどできません。おっぱいに垂らされ、シリンジで注がれ、男根が何度も出入りしました。痛みはなく、知らない快感が体中を駆け抜けていった記憶は、何をどうしても忘れることなどできそうもありません。

蓮がふっと力を抜いて笑いました。

「早く行こう。本当に見つかっちゃうかもしれないよ」

あちこちと忙しなく動き回る傭兵たちの目をいつまでもは誤魔化せません。意地悪はここまでにして、凛の手を引きました。

凛が一歩踏み出す度に、くちゅりと音が鳴りました。蓮は背中がぞくぞくと粟立つのを感じましたが、それよりもここを切り抜ける方が優先です。あまい匂いが傭兵たちに気が付かれなくてよかったと、こっそり胸を撫で下ろしました。

「やっぱり挿入の方が質が上がるな」

傭兵の声がすぐそばに聞こえ、さすがの蓮もぎくりとしました。

「あああっあああっあんあっあ!」

ぱんぱんと肉がぶつかる乾いた音と、強制的にハチミツで脳を蕩けさせた、甘い声。じゅぶじゅぶとひどい水音がすぐそばに聞こえます。蓮は息を殺して足を止め、凛にもそのように指で指示を出しました。

ちょっと遊び過ぎたか。蓮はさっさと切り抜けるべきだったと少し後悔しました。

「あんっあああ!ああやああもっと!もっと!」

「しかしこれでは上手く集められませんね。飛び散ってしまう」

「随分ゆるんでいるが、まあ女王にはなれまい」

傭兵同士の会話が噛み合っていないことから、やっぱりガスマスクのせいで声は聞こえていないようです。

「奥ッ!奥が良いの!もっと!もっとしてよぉ!」

女性は狂ったように叫びました。自分で足を上げ、たった今ずぷりと男根が入っているひみつの穴を広げてアピールしていますが、傭兵には聞こえていません。

蓮は慎重に中の様子を伺いました。

その3人分の声はすぐそば、金属の壁を挟んだすぐ目の前でした。

無機質な机の上に四つ這いになった女性の中に、傭兵の男根がずっぷりと刺さっています。

しかし非常に残念なことに、傭兵の男根は決して立派とは言えず、女性は絶えずもっと奥まで入れてくれと叫ぶのです。散々"調教"されたアリスは、あの程度では満足しないのでしょう。
女性は別の傭兵に手を伸ばし、飢えた獣のように男根を無理矢理取り出して、自ら口に咥えました。

大喜びの傭兵は抗うことなく女性の頭を掴み、腰を振りました。

恐らく一般的なサイズと言えるその男根ですが、やっぱり女性には足りないようです。泣きながら、もっともっとと叫んでいました。傭兵には声は届きませんので、女性が喜んでいると思ったのでしょう。いいぞ、もっと咥えろなんて、滑稽なことを言っています。

蓮は口の中で声を噛みました。

「かわいそ…身の程を知りなよ」

もっと自分のサイズに合わせるべきじゃないのかな。それはさすがに声には出しませんでした。

  「れっ…蓮っ…」

もじもじと膝を擦り合わせ、凛が蓮のジャケットの端を控えめに引っ張りました。

  「ごめんね、我慢できるかな」

本当だったらあの機械を借りて、凛がどれほど栄養価の高い蜜を溢れさせているのか可視化し、徹底的に言葉で嬲りたいのです。あの角材に跨らせ、おいしい蜜を溢れさせる場所をぎちぎちに締め上げてやりたいのです。そのまま体を上下左右ランダムに譲ってやったら、どれほど可愛らしい声を聞かせてくれることでしょう。シーソーのように足の間を角材で滑らせてやったら、きっと凛のそこは喜ぶに違いありません。休むことなくただ淡々とピストン運動する機械を奥までずっぷり突き刺して、きっと可愛い顔を見せてくれるであろう凛を何時間でも眺めていたいのです。ぷっくりと勃起したクリトリスを鞭で打ち、舐めて噛んで甘やかしてやりたいのです。乳首に機械を取り付け、ザーメンで溺れさせてミルクの分泌量を可視化したいのです。泣き叫ぶかわいい声を、今すぐ聞きたくて仕方がありません。

  「…調教されているのは、もしかして僕のほうなのかも」

  「え、なぁに?」

  「なんでもないよ。ごめんね、頑張って」

自嘲気味に口元を歪める蓮は、凛の手を引いて、蒸し暑い金属板の間をすり抜けました。

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