アリスと女王

ちな

文字の大きさ
上 下
17 / 149

号哭の波

しおりを挟む
悲鳴が耳にこびりついているようです。凛はぎっちぎっちと食い込む糸を何とかして外したくて、必死に腰を捩りました。
「んっ…ああっはっ…!」
くりんくりん。捩る度にほとんど遊びがない糸が、むくむくと顔をだしたクリトリスを押しつぶします。それだけでなく、柔らかな肉の割れ目に食い込み、こりこりと擦りあげ、おしりの亀裂をぎちぎちと締め上げました。
鞭を2回振ったスパイダーは、満足そうに頷く蓮をちらと見遣り、こっそり息を吐きました。
そうしてまた大きく巣を揺らし、愛液シャワーで濡れそぼった草を踏んで歩きだします。向かった先は、凛を苦しめる糸の先です。宙ぶらりんの右足に糸の先を括り付けられた蝶は、ぐわんぐわんと揺れる巣に怯え、何とか安定させようと足をばたつかせているところでした。
「やっやっ…来ないでっ…来ないでくださっ…」
「うるせぇっつってんだろ」
スパイダーが正面に立つと、蝶は可哀想なほど顔を青くさせました。酷い音を鳴らし、火山噴火のように巣を揺らしたあの白い鞭を向けられたのです。枝垂れたトングが風にゆれ、蝶は足を閉じようと一層暴れました。
「やああっお願い動かないでぇっ!」
とばっちりを受けたのは凛です。未だ鞭打たれた巣の揺れが収まっていないというのに、蝶が暴れるせいで亀裂が悲鳴を上げているのです。ビンビンと引っ張られる蜘蛛の糸は、まだ成熟しきっていない少女の亀裂を引き裂かんばかりに食い込み、夢のように柔らかな美肉の奥に姿を隠してしまっていました。
宙ぶらりんの凛の足だって、安定を求めてバタバタと動き回ります。そのせいでぐりんぐりんと糸が擦れ、余計な快楽と痛みを生むのでした。
スパイダーが暴れる蝶に向かって、無言で細い糸を吐き出しました。
「ひっ…」
恐らく、嫌というほど浴びたのでしょう。高く上げられた左足を痙攣させ、蝶はカタカタと震え出しました。
吐いた糸を丹念に、そしてその巨体に似合わず丁寧に編み込むと、その輪の真ん中を蝶の首に掛けました。長く結った糸を首から垂らし、蝶が助けてください、お願いですお許しくださいと懇願します。しかし悲痛な声は、スパイダーにも蓮にも届きませんでした。
スパイダーは無言で首から垂れ下がった糸を、ぱっくりと開かれた蝶の足の間に通しました。
蝶の成熟した亀裂は、鞭打たれたのか真っ赤になっていました。しかもつい先程まで巨大な芋虫を二匹も咥えこんでいたせいで、はた目から見ても分かるほどぱっくりと開いています。しかも何をどうされたのか、左右の花びらは無惨に伸びきっていました。
「やめて…やめてくださいっ…」
啜り泣く蝶の朝露みたいな涙が、ぽたりぽたりと滴ります。その美しい朝露は、スパイダーには見えないようでした。
スパイダーが無言で枝垂れた糸を引き、2本の手で硬直した蝶の足の間を無遠慮に開きました。蝶は声すら上げることが出来ません。ぶるぶると震える右の足は、凛にまで伝わるほどでした。
「あっやっ…ああぁ…っ」
蝶の右足に括りつけられた真っ白い糸がぶるぶる震えます。振動は波となり、これ以上ない程締め上げられた凛の媚肉をぺちぺちと叩きました。
スパイダーの元へ来る前に、天国への階段を中途半端に上ってしまった凛のクリトリスが反応します。上り詰め、追い詰められる感覚を覚えたそこは、何度だって頂上へ行きたがるのです。ただでさえ自重の半分を支える股の糸は、激しい嵐に荒れ狂う海を2度も渡ってきたのです。糸を伝い、ぽたんぽたんと甘い蜜を垂らした凛が身を捩りました。
あの蝶がもしこれ以上暴れてしまったら…。スパイダーを目の前にした蝶に負けず、凛だって可哀想なほど顔を青くさせているのです。
スパイダーは凛に背中を向ける形になっているので、凛の位置からはスパイダーが何をしているのか分かりません。それがより一層の恐怖を煽りました。
「…スパイダー。きみって本当、情け知らずだ」
大絶叫の余韻をまだ残すこの異様な空間に、春の日差しみたいな蓮の声が落ちてきました。少し笑ってアームレストに肘を付け、蓮を一瞥したスパイダーに肩を上げて見せます。スパイダーは表情を変えませんでした。
「知らなかったのか?」
「まさか」
きゅ、と糸を引き、蜘蛛の巣へ絡めたスパイダーは、それ以上なにも言いませんでした。だから蓮も、それ以上口を開きませんでした。代わりに口角を上げ、かたかたと震え出すかわいい"アリス"の姿を、じっくりと座視することにしたのです。
スパイダーも異論はないようでした。糸の端をぎゅうぎゅうと巣に括り付け、ついでとばかりに、余剰分をかたく天を向く乳首に巻いてやりました。
「お願いですスパイダーさま…お願いですご慈悲を…」
蝶の目から滝のような涙が流れますが、スパイダーは無言で蜘蛛の巣を下りました。
たゆんたゆんと揺れる蜘蛛の巣に、あちこちから悲鳴が上がります。もちろん凛も例に漏れません。溢れ出る蜜のせいで滑りが良くなり、万歳のかたちで吊られるような姿勢になったてしまったため、ぐりぐり食い込む糸が前後にも動くようになったのです。つるりとした糸はどこにも引っ掛かることなく、可哀想なほど食い込む亀裂をにゅるんにゅるんと往復します。顔を林檎のように染め、首を振る凛の髪の毛がふわふわと踊りました。
巣から降りたスパイダーの背中越しに、凛は暴れる蝶の姿を見て絶句しました。
後ろ手に縫い付けられた蝶は、豊満な乳房を強調するように横に2本の糸が掛けられています。左足は踝が耳に付くほど高く上げられ、こちらも蜘蛛の巣に縫い付けられています。それから右足は、自分の股の間から一直線に伸びた糸に括られ、無理な体勢から逃げるように暴れていました。
問題は、首に掛けられた糸がそのまま真っ直ぐ、蝶の足の間に伸びることでした。足の間、女の子の大切な部分を守る花びらが、2本の糸によって左右にぱっくりと開かれてしまっているのです。糸の端はおしりのほうへ姿を隠していました。
「デカクリもまんこ穴もアナルも丸見えだなァ」
スパイダーがわざと意地悪な声色で言います。白い鞭をゆらゆらと揺らして見せるスパイダーは、にやにやと気味の悪い笑みを浮かべました。
胸に2本、それから縦に2本。交差するように縫い付けられた蝶は、右足以外を動かすことができません。
"きみって本当、情け知らずだ"
凛はたった今、蓮が言った意味を理解したのです。
凛は心臓が爆発してしまうほど激しく胸を上下させ、必死に酸素を取り込みます。あの鞭がもし、無慈悲に広げられたあの足の間を打ったとしたら…

風鳴りを聞いて、凛は気が遠くなりました。

「ぎゃぁぁぁぁぁア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」
絹を引き裂くような濁った叫びと共に、黄色い液体が弧を描きました。
号哭は波のように広がり、深い森の奥は地獄絵図と化しました。
愛液シャワーが降り注ぎ、不気味な鳥が声を上げて飛び立ちます。
蓮が嬉しそうに笑いました。
「とってもいいよ。素晴らしいコンサートだ。続けて」
白目を剥いて泡を吹く蝶には、蓮の声は届きませんでした。
しかし、みなと同じく泣き叫んでいた凛には、はっきりと届いたのです。
「うそっ…れんっ…!」
首を振って訴えました。蓮は、にこりと笑います。
「うん。凛がいちばんかわいいよ。まんこ気持ちいいね?もっと鳴いて見せて」
れん。
言いかけた凛の耳に、絶望の音が届きました。

バシィィィィィン!!

「ひぎゃア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」
スパイダーは間髪入れず2回目を打つと、蓮が足を組みなおして笑いました。
「凛、気持ちいいね?」
酷い痛みと快感が頭の芯まで一気に駆け抜けた蝶が、全身を硬直させました。そのせいで、通常では考えられないほどの力で右足を縮めるのです。それから、唯一動かせるその右足をめちゃくちゃに振り、抱えきれない痛みと快楽をなんとか逃そうと、激しくのたうち回っているのです。巣は大揺れ、なんてそんな甘いものではありません。まるでシェイクです。蜘蛛の巣に縫い付けられた体を力の限り捩り、痙攣させ、狂ったように暴れまわりました。
蝶が暴れれば、連動して隣り合う巣も大きく揺れました。水の中に油を一滴落としたように、ぱあっと絶叫が広がっていくのです。
スパイダーはちいさな耳を澄まし、感嘆の息を吐き出しました。
もちろん、蝶が右足を狂ったように暴れさせるので、凛の股に通った糸がめちゃくちゃに暴れまわり、ごちゅんごちゅんと叩き上げました。凛は無意識に腰を仰け反らせました。反らせたせいで腰が前後ににゅるんにゅるんと動き、縄のような蜘蛛の糸が足の間をじゅぶんじゅぶんと往復します。
「やああっやめてぇっあああ!」
びんびん引っ張られる糸と、激しく揺れる蜘蛛の巣に凛が叫びました。髪を振り乱し、宝石みたいな涙を流して真っ赤な舌を出し、鶫のような声で鳴きました。
耳を劈く号哭の嵐でも、蓮の耳には凛の声だけがはっきり聞こえているみたいに、凛を熟視しながら微笑みを濃くしました。
「ああ…かわいいね凛。いいよ、そのままイってごらん。僕が見ててあげる」
激しく腰を前後に動かし、逃げることも休むこともできない凛を、凛だけを、蓮は花を愛でる眼差しで見つめました。
「…あー。すっげいい匂いすんなァ」
ふう、と息を吐くスパイダーは、くるりと振り返って泣き叫ぶ凛と対面しました。すぐそこでは、あまくておいしい蜜が滴っています。
「ひっ…いやぁ…」
たゆんたゆんと揺られながら、凛は歪んだ視界でにやにや笑うスパイダーの姿を目しました。
8本の手がゆるりと動きます。ぽたん、と糸を伝った蜜が滴りました。
かさり…かさり…。草を踏む、男性器を象ったような2本の足。そろそろとこちらに向かってくる4本の、人間のような手。一番上の鋏角が鈍く光り、涎を垂らした恐ろしい口がぱっくりと大きく開きました。
「ひっ…やっ…蓮…!」
かたかたと体を震わせる凛は、愛おしい男の名を呼びます。男は、ゆったりと紡ぎました。
「ああ、なんてかわいい顔。見ててあげるから、好きなだけイってごらん」
「れっ…!」
首だけを蓮のほうに向けた凛は、あ、と小さく声を漏らしました。
アームレストに肘を掛け、長い足を組んでゆったりと微笑む美しいひと。愛しいひと。優しく細めた目の奥に獰猛な炎を灯し、自分だけを射抜く視線。
──見てる。こんな格好してるあたしを、あたしだけを、見てる…。
ぴちょん、ぴちょん。
蜜が滴り、凛のまわりだけはむっとするくらいの甘い匂いが立ちこめました。
ぞくぞくと背中が粟立ち、刺さるような蓮の視線に顔があつくなっていきます。熱くとろけるようなあの目を、あの声色を、知っています。
お腹の奥がきゅっと締まり、蜜を零しました。
「蓮っ…」
切なく熱い息を漏らす凛に、大きな影が被さりました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

調教専門学校の奴隷…

ノノ
恋愛
調教師を育てるこの学校で、教材の奴隷として売られ、調教師訓練生徒に調教されていくお話

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

体育教師たちやお医者さまに特別なご指導をしてもらう短編集

星野銀貨
恋愛
リンク先のDLsiteに置いてある小説のエッチシーンまとめ読みです。 サークル・銀色の花で色々書いてます。

【完結】エロ運動会

雑煮
恋愛
エロ競技を行う高校の話。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

処理中です...