50 / 166
スイートホーム
スイートホーム1
しおりを挟む
かすかにホールから響く演奏は、ゆったりとしたチークの音楽に変わって会場は薄暗くなっていた。
そろそろパーティーも終わりの時間が近づいている。
乙は、胸ポケットから懐中時計を取り出すとパカッと蓋が開く。
「もうこんな時間か」
「?」
「そろそろ出ようさ、瀾 」
スッと腕を差し出すと、瀾は恥ずかしそうに腕を組む。
ドアが開かれ、会場を出ると夜空は満点の星空が広がって、プラネタリウムのようだった。
瀾は思わず見とれて声を上げる。
「わぁ…綺麗…」
「…ああ」
時刻を告げる鐘が鳴る。
…1回…2回…3回…
…11回…12回…
視点を空から乙に向け、ほんの少し淋しそうに瀾は口を開く。
「…12時…」
「シンデレラみたい?」
乙は優しく微笑み瀾に聞く。
瀾はコクンと頷いた。
乙はスッと瀾を抱き抱える。
「きゃ!!」
「これなら、魔法が解けても逃げられない」
「…////」
瀾はそっと瞳を閉じると、乙はフッと微笑み瀾の額にキスをした。
唇に来ると思っていたのに、ちょっと残念そうな瀾。
その後、瀾を抱えたまま階段を降りていく。
階段を降りた先には乙のSPが運転する高級車が口を開け待っていた。
「お帰りなさいませ」
車に乗り込むと、瀾はほろ酔い加減に乙に甘え飼い猫のようにピッタリとくっついてくる。
SPが静かに行き先を聞く。
「本日はこのまま、お屋敷に戻られますか?」
「いや、別宅に向かってくれ」
「かしこまりました」
車はゆっくり発進すると瀾は乙に問う。
「乙様ぁ、お家に帰らないんですかぁ?」
「帰りたいのか?帰ったら魔法が解けてしまうぜ?」
「嫌ですぅ~!!私、もっと乙様と居たいですぅ!!」
キュと乙にしがみつく。
クスリと笑うと、瀾の頭を撫でた。
瀾は嬉しそうに乙に甘える。
しかし、瀾がここまで酒に弱いとは、飲んだのが初めてだったのだろうか。
「瀾、酒を飲んだのは今夜が初めてか?」
「初めてじゃないですよぉ。
お正月とかお猪口で飲みますぅ」
「…甘酒…じゃないよなぁ?」
「どうして解ったんですかぁ?」
「……」
『そんな状態で、あのオーシャン エールを一気飲みしたのか』
乙は頭を押さえてため息をつく。
瀾は不思議そうに小首を傾げた。
「お酒って何だかフワフワしますねぇ。
私ぃ、もっと飲みたかったですぅ」
この期に及んで瀾はとんでもない事を口にする。
「もうダメだ」
「乙様は結局あの後、全部飲んだじゃないですかぁ。
ずるいですぅ、私も乙様と飲みたいのに…」
瀾はぷぅっと少しふくれてみせる。
乙はそんな瀾に口を開く。
「じ、じゃあフルーツシャンパンにしよう」
「ええ?フルーツシャンパンとか言って、あのクリスマスの時にお子様が飲むやつなんじゃないですかぁ?」
「違うよ。cafe・do・parisというシャンパンだ」
「かふぇ・ど・ぱりぃ?」
「ライチ・ピーチ・ベリー・チェリーと、その他にも色々な味のフルーツシャンパンがある。
あれならそんなに強くないし、もちろん美味しいぞ♪」
瀾はパァと少し目を輝かせた。
「私、それ飲みたいですぅ」
「クス…了解だ」
やがて車は別宅へたどり着いた。
屋敷よりは大きくはないが、立派な建物なのは違いない。
そろそろパーティーも終わりの時間が近づいている。
乙は、胸ポケットから懐中時計を取り出すとパカッと蓋が開く。
「もうこんな時間か」
「?」
「そろそろ出ようさ、瀾 」
スッと腕を差し出すと、瀾は恥ずかしそうに腕を組む。
ドアが開かれ、会場を出ると夜空は満点の星空が広がって、プラネタリウムのようだった。
瀾は思わず見とれて声を上げる。
「わぁ…綺麗…」
「…ああ」
時刻を告げる鐘が鳴る。
…1回…2回…3回…
…11回…12回…
視点を空から乙に向け、ほんの少し淋しそうに瀾は口を開く。
「…12時…」
「シンデレラみたい?」
乙は優しく微笑み瀾に聞く。
瀾はコクンと頷いた。
乙はスッと瀾を抱き抱える。
「きゃ!!」
「これなら、魔法が解けても逃げられない」
「…////」
瀾はそっと瞳を閉じると、乙はフッと微笑み瀾の額にキスをした。
唇に来ると思っていたのに、ちょっと残念そうな瀾。
その後、瀾を抱えたまま階段を降りていく。
階段を降りた先には乙のSPが運転する高級車が口を開け待っていた。
「お帰りなさいませ」
車に乗り込むと、瀾はほろ酔い加減に乙に甘え飼い猫のようにピッタリとくっついてくる。
SPが静かに行き先を聞く。
「本日はこのまま、お屋敷に戻られますか?」
「いや、別宅に向かってくれ」
「かしこまりました」
車はゆっくり発進すると瀾は乙に問う。
「乙様ぁ、お家に帰らないんですかぁ?」
「帰りたいのか?帰ったら魔法が解けてしまうぜ?」
「嫌ですぅ~!!私、もっと乙様と居たいですぅ!!」
キュと乙にしがみつく。
クスリと笑うと、瀾の頭を撫でた。
瀾は嬉しそうに乙に甘える。
しかし、瀾がここまで酒に弱いとは、飲んだのが初めてだったのだろうか。
「瀾、酒を飲んだのは今夜が初めてか?」
「初めてじゃないですよぉ。
お正月とかお猪口で飲みますぅ」
「…甘酒…じゃないよなぁ?」
「どうして解ったんですかぁ?」
「……」
『そんな状態で、あのオーシャン エールを一気飲みしたのか』
乙は頭を押さえてため息をつく。
瀾は不思議そうに小首を傾げた。
「お酒って何だかフワフワしますねぇ。
私ぃ、もっと飲みたかったですぅ」
この期に及んで瀾はとんでもない事を口にする。
「もうダメだ」
「乙様は結局あの後、全部飲んだじゃないですかぁ。
ずるいですぅ、私も乙様と飲みたいのに…」
瀾はぷぅっと少しふくれてみせる。
乙はそんな瀾に口を開く。
「じ、じゃあフルーツシャンパンにしよう」
「ええ?フルーツシャンパンとか言って、あのクリスマスの時にお子様が飲むやつなんじゃないですかぁ?」
「違うよ。cafe・do・parisというシャンパンだ」
「かふぇ・ど・ぱりぃ?」
「ライチ・ピーチ・ベリー・チェリーと、その他にも色々な味のフルーツシャンパンがある。
あれならそんなに強くないし、もちろん美味しいぞ♪」
瀾はパァと少し目を輝かせた。
「私、それ飲みたいですぅ」
「クス…了解だ」
やがて車は別宅へたどり着いた。
屋敷よりは大きくはないが、立派な建物なのは違いない。
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生
花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。
女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感!
イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡
【完結】【R18百合】会社のゆるふわ後輩女子に抱かれました
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
レズビアンの月岡美波が起きると、会社の後輩女子の桜庭ハルナと共にベッドで寝ていた。
一体何があったのか? 桜庭ハルナはどういうつもりなのか? 月岡美波はどんな選択をするのか?
おすすめシチュエーション
・後輩に振り回される先輩
・先輩が大好きな後輩
続きは「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」にて掲載しています。
だいぶ毛色が変わるのでシーズン2として別作品で登録することにしました。
読んでやってくれると幸いです。
「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/759377035/615873195
※タイトル画像はAI生成です
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R18】アールグレイの月夜 ー双子の妹・輝李編ー
Silence
恋愛
※このお話はGLの過激な表現があります。
また、誤字脱字などなどが多々ありますので、ご理解のうえ閲覧ください
《Story》
ある屋敷に双子の少女が生まれた。
親のエゴで男として育てられた双子の姉・月影 乙(つきかげ きのと)
ある理由から父親を忌み嫌う。
留学先で、同性のラブペットを作り[沈黙のseduction(誘惑)]の異名を持つ…
──そしてもう一人。
[踊る妖艶Doll]の存在…
本当の愛が乙に届く日がくるのだろうか…?
『【彼女】の眼差しは──…まるで…』
多類の【彼女】の想い。
双子の妹・月影 輝李(つきかげ きり)の目線から進むストーリー。
過去と現在の裏が証される!!
姉の乙の幼少時代・・・帰国前の過去。
輝李が[踊る妖艶Doll]になったワケ・・・
天使から悪魔へ変貌してゆく本当の意味とは?
隠された物語のリンク数だけ
絡み合ったパズルのピースが1つ1つ填まっていく…
★《アールグレイシリーズ》★
『アールグレイの昼下がり』
物語の裏側が完全リンク!! 表裏一体の双作品。
【小説・ボイスドラマ化!!】
このお話のもう一つの楽しみ方!
小説が音声と映像で流れ出す!?
厳選されたCV達がお送りする臨場感!!
YouTubeにてボイスドラマ公開中!!
両主人公の双子姉妹・乙と輝李の声を作者のSilenceが担当!!
アプリの方は、プロフィールから行けます。
《アールグレイの月夜(YouTube版)》
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0mziGmecVSUVpSKdpmNMNom6F3FWffNL
《アールグレイの昼下がり(YouTube版)》
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0mziGmecVSXcYllzM7PGJbwUaHxBfz0L
キャラクターデザイン(カラーイラスト)
月影 乙・野中 瀾:ひのと
月影 輝李:高野ひの
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる