49 / 166
距離感
距離感10
しおりを挟む
「私が、使用人だからですかぁ?」
膨れっ面で口を尖らせる。
「そういう事じゃない。
アルコール初心者があんな飲み方をしていたからだ」
「初心者じゃないもん!!」
ホールで瀾が一気飲みをしているのを見ていた乙は、今だに背伸びをして手を伸ばす瀾にグラスを奪われたら最後だと踏んだ。
「ガキか!お前はー!!」
乙の言葉に途端にシュンとするとかすかに俯き、おとなしく口を開いた。
「…ズルいですぅ…乙様…」
「は?」
ジワリと瀾の瞳には涙が溜まっていく。
「仕方ないだろ。これはお前には強すぎ…」
「そういう事じゃないですぅ!!」
「…じゃあ、なんだ」
怪訝そうに顔をしかめ瀾に問う。
「乙様、すぐ怖い顔するぅ…ウッ
最初はあんなに優しかったのに、急に冷たくなったり…ヒクッ」
「…それは、お前が…」
「お前じゃないもん!!!!ウッ…ヒクッ」
「……」
途端に瀾は子供のように、涙を手で拭きながら続けた。
「昨日だって…冷たかった…ウッ
なのにこんな所…連れてきたり…なのに…。
今だって名前で呼んでくれないもん!!
私の事…アクセサリーって・・言ったり…ヒクッ…。
解んな…いよぉ…ウッ・ヒクッ」
「…瀾…」
「私ばっかりズルい…。
乙様の事考えてるだけで…ウッ
ドキドキしたり…胸が痛くなったり…ヒクッ
ズルいよぉお!!! 」
瀾は泣きじゃくりながら乙の胸に飛び込んだ。
急に飛び込んできた瀾にビックリしながらも、腰を支える。
ヒクヒクと子供のように泣きじゃくる瀾を見て少女が今まで、どれくらい口にする事無く耐えてきたかが伺える。
酒の力を借りて初めて発した瀾の言葉に、乙は答えた。
「俺はてっきり、避けられているのは自分の方だと思っていた…。
だから、無理に近づくよりと…でも、違うのか?」
瀾は乙の胸の中でフルフルと頭を振った。
乙は瀾を優しく少し抱き締める。
「そうか…。逆に瀾を傷つけていたんだな、悪かった」
ハァっと反省のため息を吐き、片方の手で瀾の顔をあげさせヒクヒクとしている少女に優しい笑顔を送った。
「少しだけだぞ…」
ほんの少量を酒を口に含み、口付けをした。
「んっ////」
唇が離れると「ふむぁ~」と潤んだ瞳で可愛く乙を見つめる。
乙はスッと瀾から離れ、一歩後退る。
瀾はまた少し淋しそうな顔を見せた。
「ここからが本当のエスコートだ」
と、乙が口にするとその場にひざまずき、瀾の手にソッとキスをする。
「今宵は俺と一緒に時をすごしていただけますか?」
瀾を見上げた乙の顔は優しく、そして誰よりもセクシーに格好よく、本当の王子様のように映ったのだ。
瀾は胸をドキッと鳴らすと、あどけなく恥ずかしそうに照れながら、こう答えたのだった。
「え?…はい…。…喜んで…///」
膨れっ面で口を尖らせる。
「そういう事じゃない。
アルコール初心者があんな飲み方をしていたからだ」
「初心者じゃないもん!!」
ホールで瀾が一気飲みをしているのを見ていた乙は、今だに背伸びをして手を伸ばす瀾にグラスを奪われたら最後だと踏んだ。
「ガキか!お前はー!!」
乙の言葉に途端にシュンとするとかすかに俯き、おとなしく口を開いた。
「…ズルいですぅ…乙様…」
「は?」
ジワリと瀾の瞳には涙が溜まっていく。
「仕方ないだろ。これはお前には強すぎ…」
「そういう事じゃないですぅ!!」
「…じゃあ、なんだ」
怪訝そうに顔をしかめ瀾に問う。
「乙様、すぐ怖い顔するぅ…ウッ
最初はあんなに優しかったのに、急に冷たくなったり…ヒクッ」
「…それは、お前が…」
「お前じゃないもん!!!!ウッ…ヒクッ」
「……」
途端に瀾は子供のように、涙を手で拭きながら続けた。
「昨日だって…冷たかった…ウッ
なのにこんな所…連れてきたり…なのに…。
今だって名前で呼んでくれないもん!!
私の事…アクセサリーって・・言ったり…ヒクッ…。
解んな…いよぉ…ウッ・ヒクッ」
「…瀾…」
「私ばっかりズルい…。
乙様の事考えてるだけで…ウッ
ドキドキしたり…胸が痛くなったり…ヒクッ
ズルいよぉお!!! 」
瀾は泣きじゃくりながら乙の胸に飛び込んだ。
急に飛び込んできた瀾にビックリしながらも、腰を支える。
ヒクヒクと子供のように泣きじゃくる瀾を見て少女が今まで、どれくらい口にする事無く耐えてきたかが伺える。
酒の力を借りて初めて発した瀾の言葉に、乙は答えた。
「俺はてっきり、避けられているのは自分の方だと思っていた…。
だから、無理に近づくよりと…でも、違うのか?」
瀾は乙の胸の中でフルフルと頭を振った。
乙は瀾を優しく少し抱き締める。
「そうか…。逆に瀾を傷つけていたんだな、悪かった」
ハァっと反省のため息を吐き、片方の手で瀾の顔をあげさせヒクヒクとしている少女に優しい笑顔を送った。
「少しだけだぞ…」
ほんの少量を酒を口に含み、口付けをした。
「んっ////」
唇が離れると「ふむぁ~」と潤んだ瞳で可愛く乙を見つめる。
乙はスッと瀾から離れ、一歩後退る。
瀾はまた少し淋しそうな顔を見せた。
「ここからが本当のエスコートだ」
と、乙が口にするとその場にひざまずき、瀾の手にソッとキスをする。
「今宵は俺と一緒に時をすごしていただけますか?」
瀾を見上げた乙の顔は優しく、そして誰よりもセクシーに格好よく、本当の王子様のように映ったのだ。
瀾は胸をドキッと鳴らすと、あどけなく恥ずかしそうに照れながら、こう答えたのだった。
「え?…はい…。…喜んで…///」
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生
花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。
女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感!
イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡
【完結】【R18百合】会社のゆるふわ後輩女子に抱かれました
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
レズビアンの月岡美波が起きると、会社の後輩女子の桜庭ハルナと共にベッドで寝ていた。
一体何があったのか? 桜庭ハルナはどういうつもりなのか? 月岡美波はどんな選択をするのか?
おすすめシチュエーション
・後輩に振り回される先輩
・先輩が大好きな後輩
続きは「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」にて掲載しています。
だいぶ毛色が変わるのでシーズン2として別作品で登録することにしました。
読んでやってくれると幸いです。
「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/759377035/615873195
※タイトル画像はAI生成です
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R18】アールグレイの月夜 ー双子の妹・輝李編ー
Silence
恋愛
※このお話はGLの過激な表現があります。
また、誤字脱字などなどが多々ありますので、ご理解のうえ閲覧ください
《Story》
ある屋敷に双子の少女が生まれた。
親のエゴで男として育てられた双子の姉・月影 乙(つきかげ きのと)
ある理由から父親を忌み嫌う。
留学先で、同性のラブペットを作り[沈黙のseduction(誘惑)]の異名を持つ…
──そしてもう一人。
[踊る妖艶Doll]の存在…
本当の愛が乙に届く日がくるのだろうか…?
『【彼女】の眼差しは──…まるで…』
多類の【彼女】の想い。
双子の妹・月影 輝李(つきかげ きり)の目線から進むストーリー。
過去と現在の裏が証される!!
姉の乙の幼少時代・・・帰国前の過去。
輝李が[踊る妖艶Doll]になったワケ・・・
天使から悪魔へ変貌してゆく本当の意味とは?
隠された物語のリンク数だけ
絡み合ったパズルのピースが1つ1つ填まっていく…
★《アールグレイシリーズ》★
『アールグレイの昼下がり』
物語の裏側が完全リンク!! 表裏一体の双作品。
【小説・ボイスドラマ化!!】
このお話のもう一つの楽しみ方!
小説が音声と映像で流れ出す!?
厳選されたCV達がお送りする臨場感!!
YouTubeにてボイスドラマ公開中!!
両主人公の双子姉妹・乙と輝李の声を作者のSilenceが担当!!
アプリの方は、プロフィールから行けます。
《アールグレイの月夜(YouTube版)》
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0mziGmecVSUVpSKdpmNMNom6F3FWffNL
《アールグレイの昼下がり(YouTube版)》
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0mziGmecVSXcYllzM7PGJbwUaHxBfz0L
キャラクターデザイン(カラーイラスト)
月影 乙・野中 瀾:ひのと
月影 輝李:高野ひの
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる