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三章
百六十七話 三度、始まりの街へⅡ
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「よう、久しぶりだな」
指定された宿に入っていきなり声をかけられて、誰だろうかと思ってみれば宿の受付の前に居たSADだった。
「久しぶりって、まだ一月も経ってないだろ?」
「それもそうか、何かこのゲームやってると、時間の経過が早く感じるんだよな。それだけのめり込んでるってことなんだろうが」
言ってから、俺もふと気づいた。
あれからまだ1ヶ月も経ってないんだよな。
その間、かなりのイベントづくしで、リアルとは比べ物にならないほど濃密な時間を過ごした気がする。
ゲームのほうが密度の高い時間を過ごせるってのはどうなのかとも思うが、まぁ、好きなものを好きなようにやってれば、仕事なんかより時間の経つのを早く感じてもおかしくないか。
でもそれだけじゃないのも確かだ。働いてた時だって、修羅場なんていくつも経験したし忙しい日々だったけど、そういうのとも違う『濃さ』があるんだよな。
現実ではまずありえないような、非日常的なイベントが多いせいだろうか?
「ん? どうした?」
「いや、たしかに時間が経つのは早く感じるなと、俺も思ってな」
「だよなー」
「ちょっと、二人共内容がジジ臭くない?」
「ジジ臭いはあんまりじゃね?」
これでもまだ20代やぞ。せめてオッサンくらいにして欲しい。
「あ、結城さん。お疲れ様です」
「あはは、一応こっちじゃチェリーでお願いしますよ。それとも私も伊福部さんと呼んだほうが?」
「おっと、わかりましたチェリーさん。エリスも久しぶりだな」
「こんにちはー!」
「おう、こんにちは」
「ワン!」
「おう、お前も元気だな」
相変わらず対人スキル高い奴だ。
ゲーセン時代でも、こいつは東海出身だからホームは違ったが、関東での大会に合わせて地元勢を引き連れて関東のゲーセンに遠征に来ていたが、俺のホームゲーセンに来る時もその中心にいたのは大抵コイツだったっけ。
「あっ、キョウさん達じゃん! おひさー」
ホールで何人も溜まって駄弁っていたからか、それを聞きつけたのか奥からも何人か現れた。
というかそのうちの一人はきなこさんだった。
「こんにちは!」
「やーん、エリスちゃん相変わらず可愛いわね! 猿みたいなうちの妹とは大違い!」
出会い頭の妹ディスりとか中々ジャブの効いた会話術だな。
天然顔と、ゲームキャラの顔を比べてやるなよ……
「あ、ちょっとキョウさん! キョウさんたち一体どこにいるのよー!? ハティちゃんが去った方にかなり進んでみたけど、ちっとも合流出来る気配がないんですけど?」
「うぅん。そう言われても、俺達ときなこさん達の位置がどの方角にどれくらい離れてるかを測る方法がないからなぁ」
「ソレなのよねぇ。ALPHAサーバじゃ攻略情報なんてある訳ないし、このクッソ広いゲームで互いの位置も分からないってのは流石に合流難易度高いわ~」
まぁ、遭遇できたら……って話だったけど、現状では遭遇できる確率は果てしなくゼロに近いよなぁ。
なんせ、待ち合わせる場所どころか、互いの位置関係すらサッパリ判っていないんだから。
「あら、でも今は目印になる情報があるじゃない」
「チェリーさん? 目印って…………あ」
「そ。アルヴァスト王国のクフタリアの街って地名がね」
……あぁ、なるほど。確かに目印になるな。
「あ、そっか。私達が知らなくてもALPHAの住人であるNPCなら国や街の名前も知ってるかも知れないね!」
「まぁそれでも、簡単に遭遇できるとは思わないけどね」
「そうねぇ、ウチが居るのはエステリアって国だから、少なくとも今滞在してる国とは別の国ってことになるし……私、結構色んな所に行ったことはあるけど、まだ一度も国境って見たこと無いのよねぇ」
このゲームのマップはつまりリアルサイズの世界だからな。
まぁまるまる地球と同じサイズなんてことはないとは思うが、それでも大陸まるごとひとつ分はありかねない。
ハイナ村からアルヴァストの王都まで護衛付きでまる4日とかかかったからなぁ。
「色々準備してから、ここ一週間のあいだ、ずっと南下してるのに、そのアルヴァストという国の名前どころか、まだ国境線にすらたどり着いてないわね」
きなこさんの隣りにいるのは……イチゴさんか。
かぶってる魔法使い帽が変わってたせいで一瞬わからなかったが、テスターミーティングの時に見た顔だ。
「そうなのよねぇ。キョウくんたちの所どころか、国境にもたどり着いてないのに国境跨ぎ確定かぁ。一体いつになったら合流できることやら」
「いや、そこまで無理せんでも……そりゃ出会えたら良いとは思うけど、こっちは積極的に探してるわけじゃないし、きなこさん達もあんま無茶しないでくださいよ?」
「大丈夫。別にソレだけが目的というわけじゃないし」
「そうそう。何だかんだで私達もスキル上げにダンジョンに引きこもるばっかりだったから、長距離を当て所なく旅するってのも何か冒険っぽくて楽しんでるから」
「ソレなら良いんですけどね」
まぁ、確かにハイナ村から王都に向かうまでの旅はマッピングの練習しつつもいろいろな景色が見れて、リアルの旅行にそんなに興味のない俺でも、それなりに楽しめたしな。
王都からクフタリアまでの旅は壮絶極まりなかったけどな……主に森。
「向こうでもエリスちゃんたちと一緒に遊べたら良いのにね~」
「ね~」
普段は大人相手だと大人しいエリスも、既に顔なじみな相手なら話しやすいみたいだな。
いつもなら俺の横から一歩引いた所で大人しくしてるのに、今日は普通に前に出て喋ってる。
だれでも挨拶をする良い子ちゃんだが、それでもやはり初めての相手には礼儀正しくは出来ても、表情が硬かったりするからな。
子供なんだからそんなの当たり前だし何も悪くないんだが、出来過ぎな所があるエリスにとってその「普通」が一緒に過ごしていると結構目立ったりする。
それはつまり、普通であることが目立つくらいに他の評価が軒並み高いってことなんだけどな。
子供なのに、常に周りを見ているし、大人同士のやり取りに口を挟まない等、色々な所で気配りを見せる。
怖いのは、その気配りが、周囲が大人ばかりだから気を使わざるをえなくて身についたスキルだったりした場合だ。それってつまり、こんな子供に気を使わせている大人の至らなさって事だからな。
しつけは大事だが、気が利く子供と、気を使っている子供というのは似て異なるものだ。
特にエリスはまだ小さな子供なんだから、そんな事に気を使わずに多少のわがままを言ってくれるぐらいで丁度いいと思うんだがな。やっぱりこれぐらいの歳の頃は、サリちゃんだけでなく、もっと色々な子供達と混じって遊ぶべき……って思ってしまう。
これから旅に出ようっていう、俺の言うセリフじゃないけどな。
「キョウ?」
「ん? ああ、なんでもないよ。ちょっとボーッとしてただけ」
「そっか」
エリスだけでもサリちゃんの居るハイナ村においていくか?
……いや、そんな事したら間違いなくエリスは泣く。
というか、俺はエリスの保護者として任された訳だからな。置き去りだとか、そんな無責任な真似できるわけねぇし。
「エリスは俺がすごく遠くに行くって行ったらどう思う?」
「? わたしもついていくから一緒だよね?」
「だよな」
即答ですよ。
こんな子置いて行くとか考えられんて。
「なーにーをー見つめ合っちゃってんのさ―!? 私を仲間外れにすんなー!」
「うわっ!?」
突然のチェリーさんのタックルで、思わず来客用のソファに転がる俺とチェリーさんとエリス。
「ちょっ……子供じゃないんだから、なにやってんのさ」
「えー、何か二人だけで、変な『心通じ合ってます』的な空気出すのが悪いんじゃない。ねぇハティちゃん」
「わんっ!」
ハティ、おまえもか。
「チェリーさんのブログで何となくは知ってたが、ホント仲いいのなお前ら」
「だよねー」
おいおい、なんか見世物になってるし。
「っていうか、チェリーさん? ブログに一体どんな事書いてるんだ?」
「うん? ……う~ん、内緒」
「なんでさ!?」
「自分の日記を読んできかせろって言われて、キョウくんって喜んで聞かせるの?」
「あ~……うんゴメン。それは嫌かも」
自分にそれをやれと言われても、何が悲しくて自分のブログの内容説明なんてしなきゃならんのだと思うだろうな。
ネタに説明を求められるとかクッソ恥ずかしいんじゃ。
でも、ネタの中に俺が出てるって判ってる上で、俺はソレを見ることが出来ないんだから、ざっくりでもいいからどんな内容か位は教えてほしいと思っても仕方ないじゃん?
「まぁ、普通に一般公開してる物だし、特に際どい内容があったりとかしない、普っ通~な日記よ。大体、ブログ始めて以降、ずっと一緒にいたんだからネタの内容はキョウくんも知ってるでしょ」
「……それもそっか。まぁ、変なこと描かれてないなら良いんだけどさ」
確かに、公式サイトで随時更新してるって話だし、よっぽどおかしな事は公開できないか。
本人がよくても企業的な意味でも、公序良俗に反する内容をアップするとは思えんし、そこは安心して大丈夫……
「普通?」
「際どくない……?」
……大丈夫だよな? おい?
「ちょっとチェリーさん? なんか周囲の反応が気になるんですけど?」
「気のせいね」
いや、ちょっとそれで流される訳には……
「すいませーん。まだ人が来る予定なので、お越しの皆さんは奥の部屋で待っていていただけますか?」
え、このタイミングで? ちょっとスタッフさん?
「ほら、スタッフさんが困ってるし私たちも奥にいこ」
「え? ちょ、チェリーさん? ずるくね!?」
「はいはい、人の迷惑になるようなことはしちゃだめよ~。ほら、エリス達も一緒に行くわよ」
「はーい」
「ワン!」
あっ、この……おい!?
指定された宿に入っていきなり声をかけられて、誰だろうかと思ってみれば宿の受付の前に居たSADだった。
「久しぶりって、まだ一月も経ってないだろ?」
「それもそうか、何かこのゲームやってると、時間の経過が早く感じるんだよな。それだけのめり込んでるってことなんだろうが」
言ってから、俺もふと気づいた。
あれからまだ1ヶ月も経ってないんだよな。
その間、かなりのイベントづくしで、リアルとは比べ物にならないほど濃密な時間を過ごした気がする。
ゲームのほうが密度の高い時間を過ごせるってのはどうなのかとも思うが、まぁ、好きなものを好きなようにやってれば、仕事なんかより時間の経つのを早く感じてもおかしくないか。
でもそれだけじゃないのも確かだ。働いてた時だって、修羅場なんていくつも経験したし忙しい日々だったけど、そういうのとも違う『濃さ』があるんだよな。
現実ではまずありえないような、非日常的なイベントが多いせいだろうか?
「ん? どうした?」
「いや、たしかに時間が経つのは早く感じるなと、俺も思ってな」
「だよなー」
「ちょっと、二人共内容がジジ臭くない?」
「ジジ臭いはあんまりじゃね?」
これでもまだ20代やぞ。せめてオッサンくらいにして欲しい。
「あ、結城さん。お疲れ様です」
「あはは、一応こっちじゃチェリーでお願いしますよ。それとも私も伊福部さんと呼んだほうが?」
「おっと、わかりましたチェリーさん。エリスも久しぶりだな」
「こんにちはー!」
「おう、こんにちは」
「ワン!」
「おう、お前も元気だな」
相変わらず対人スキル高い奴だ。
ゲーセン時代でも、こいつは東海出身だからホームは違ったが、関東での大会に合わせて地元勢を引き連れて関東のゲーセンに遠征に来ていたが、俺のホームゲーセンに来る時もその中心にいたのは大抵コイツだったっけ。
「あっ、キョウさん達じゃん! おひさー」
ホールで何人も溜まって駄弁っていたからか、それを聞きつけたのか奥からも何人か現れた。
というかそのうちの一人はきなこさんだった。
「こんにちは!」
「やーん、エリスちゃん相変わらず可愛いわね! 猿みたいなうちの妹とは大違い!」
出会い頭の妹ディスりとか中々ジャブの効いた会話術だな。
天然顔と、ゲームキャラの顔を比べてやるなよ……
「あ、ちょっとキョウさん! キョウさんたち一体どこにいるのよー!? ハティちゃんが去った方にかなり進んでみたけど、ちっとも合流出来る気配がないんですけど?」
「うぅん。そう言われても、俺達ときなこさん達の位置がどの方角にどれくらい離れてるかを測る方法がないからなぁ」
「ソレなのよねぇ。ALPHAサーバじゃ攻略情報なんてある訳ないし、このクッソ広いゲームで互いの位置も分からないってのは流石に合流難易度高いわ~」
まぁ、遭遇できたら……って話だったけど、現状では遭遇できる確率は果てしなくゼロに近いよなぁ。
なんせ、待ち合わせる場所どころか、互いの位置関係すらサッパリ判っていないんだから。
「あら、でも今は目印になる情報があるじゃない」
「チェリーさん? 目印って…………あ」
「そ。アルヴァスト王国のクフタリアの街って地名がね」
……あぁ、なるほど。確かに目印になるな。
「あ、そっか。私達が知らなくてもALPHAの住人であるNPCなら国や街の名前も知ってるかも知れないね!」
「まぁそれでも、簡単に遭遇できるとは思わないけどね」
「そうねぇ、ウチが居るのはエステリアって国だから、少なくとも今滞在してる国とは別の国ってことになるし……私、結構色んな所に行ったことはあるけど、まだ一度も国境って見たこと無いのよねぇ」
このゲームのマップはつまりリアルサイズの世界だからな。
まぁまるまる地球と同じサイズなんてことはないとは思うが、それでも大陸まるごとひとつ分はありかねない。
ハイナ村からアルヴァストの王都まで護衛付きでまる4日とかかかったからなぁ。
「色々準備してから、ここ一週間のあいだ、ずっと南下してるのに、そのアルヴァストという国の名前どころか、まだ国境線にすらたどり着いてないわね」
きなこさんの隣りにいるのは……イチゴさんか。
かぶってる魔法使い帽が変わってたせいで一瞬わからなかったが、テスターミーティングの時に見た顔だ。
「そうなのよねぇ。キョウくんたちの所どころか、国境にもたどり着いてないのに国境跨ぎ確定かぁ。一体いつになったら合流できることやら」
「いや、そこまで無理せんでも……そりゃ出会えたら良いとは思うけど、こっちは積極的に探してるわけじゃないし、きなこさん達もあんま無茶しないでくださいよ?」
「大丈夫。別にソレだけが目的というわけじゃないし」
「そうそう。何だかんだで私達もスキル上げにダンジョンに引きこもるばっかりだったから、長距離を当て所なく旅するってのも何か冒険っぽくて楽しんでるから」
「ソレなら良いんですけどね」
まぁ、確かにハイナ村から王都に向かうまでの旅はマッピングの練習しつつもいろいろな景色が見れて、リアルの旅行にそんなに興味のない俺でも、それなりに楽しめたしな。
王都からクフタリアまでの旅は壮絶極まりなかったけどな……主に森。
「向こうでもエリスちゃんたちと一緒に遊べたら良いのにね~」
「ね~」
普段は大人相手だと大人しいエリスも、既に顔なじみな相手なら話しやすいみたいだな。
いつもなら俺の横から一歩引いた所で大人しくしてるのに、今日は普通に前に出て喋ってる。
だれでも挨拶をする良い子ちゃんだが、それでもやはり初めての相手には礼儀正しくは出来ても、表情が硬かったりするからな。
子供なんだからそんなの当たり前だし何も悪くないんだが、出来過ぎな所があるエリスにとってその「普通」が一緒に過ごしていると結構目立ったりする。
それはつまり、普通であることが目立つくらいに他の評価が軒並み高いってことなんだけどな。
子供なのに、常に周りを見ているし、大人同士のやり取りに口を挟まない等、色々な所で気配りを見せる。
怖いのは、その気配りが、周囲が大人ばかりだから気を使わざるをえなくて身についたスキルだったりした場合だ。それってつまり、こんな子供に気を使わせている大人の至らなさって事だからな。
しつけは大事だが、気が利く子供と、気を使っている子供というのは似て異なるものだ。
特にエリスはまだ小さな子供なんだから、そんな事に気を使わずに多少のわがままを言ってくれるぐらいで丁度いいと思うんだがな。やっぱりこれぐらいの歳の頃は、サリちゃんだけでなく、もっと色々な子供達と混じって遊ぶべき……って思ってしまう。
これから旅に出ようっていう、俺の言うセリフじゃないけどな。
「キョウ?」
「ん? ああ、なんでもないよ。ちょっとボーッとしてただけ」
「そっか」
エリスだけでもサリちゃんの居るハイナ村においていくか?
……いや、そんな事したら間違いなくエリスは泣く。
というか、俺はエリスの保護者として任された訳だからな。置き去りだとか、そんな無責任な真似できるわけねぇし。
「エリスは俺がすごく遠くに行くって行ったらどう思う?」
「? わたしもついていくから一緒だよね?」
「だよな」
即答ですよ。
こんな子置いて行くとか考えられんて。
「なーにーをー見つめ合っちゃってんのさ―!? 私を仲間外れにすんなー!」
「うわっ!?」
突然のチェリーさんのタックルで、思わず来客用のソファに転がる俺とチェリーさんとエリス。
「ちょっ……子供じゃないんだから、なにやってんのさ」
「えー、何か二人だけで、変な『心通じ合ってます』的な空気出すのが悪いんじゃない。ねぇハティちゃん」
「わんっ!」
ハティ、おまえもか。
「チェリーさんのブログで何となくは知ってたが、ホント仲いいのなお前ら」
「だよねー」
おいおい、なんか見世物になってるし。
「っていうか、チェリーさん? ブログに一体どんな事書いてるんだ?」
「うん? ……う~ん、内緒」
「なんでさ!?」
「自分の日記を読んできかせろって言われて、キョウくんって喜んで聞かせるの?」
「あ~……うんゴメン。それは嫌かも」
自分にそれをやれと言われても、何が悲しくて自分のブログの内容説明なんてしなきゃならんのだと思うだろうな。
ネタに説明を求められるとかクッソ恥ずかしいんじゃ。
でも、ネタの中に俺が出てるって判ってる上で、俺はソレを見ることが出来ないんだから、ざっくりでもいいからどんな内容か位は教えてほしいと思っても仕方ないじゃん?
「まぁ、普通に一般公開してる物だし、特に際どい内容があったりとかしない、普っ通~な日記よ。大体、ブログ始めて以降、ずっと一緒にいたんだからネタの内容はキョウくんも知ってるでしょ」
「……それもそっか。まぁ、変なこと描かれてないなら良いんだけどさ」
確かに、公式サイトで随時更新してるって話だし、よっぽどおかしな事は公開できないか。
本人がよくても企業的な意味でも、公序良俗に反する内容をアップするとは思えんし、そこは安心して大丈夫……
「普通?」
「際どくない……?」
……大丈夫だよな? おい?
「ちょっとチェリーさん? なんか周囲の反応が気になるんですけど?」
「気のせいね」
いや、ちょっとそれで流される訳には……
「すいませーん。まだ人が来る予定なので、お越しの皆さんは奥の部屋で待っていていただけますか?」
え、このタイミングで? ちょっとスタッフさん?
「ほら、スタッフさんが困ってるし私たちも奥にいこ」
「え? ちょ、チェリーさん? ずるくね!?」
「はいはい、人の迷惑になるようなことはしちゃだめよ~。ほら、エリス達も一緒に行くわよ」
「はーい」
「ワン!」
あっ、この……おい!?
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