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一章
三話 仮想現実Ⅰ
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おお、見える。
見えるぞ。
たった数時間の機材取替がこんな長く感じるとは。
やはり自由はいいな。
結局、どうして痛みを感じるのかはログ検証だけではわからないそうだ。
そもそも、細かい感覚を察知しすぎているようだ。
風なんかも擬似的に音と振動の組み合わせでそれっぽく感じられるようにはしてあるが
俺のように風の温度や匂いなんかまで感じられる良うないステムは無いらしい。
田辺さんや医者が言うには、視界のみという限定された状況と、脳と身体の接続が分断されたことで脳の処理が映像に強く影響されてる可能性があるとか。
まぁ難しいことはよくわからないが、錯覚の延長だということらしい。
実際、体の方には何の異常も出てないそうだ。
なので、たとえゲーム内で大怪我を負って激痛を感じたとしても、リアルの身体には一切傷を負っていないと強く認識して混乱しないように、とのことだ。
まぁ、そう考えれば痛みがあるとはいえ多少気が楽になるというものだ。
ちなみに身体の欠損等は治療が早ければ元通りになるが遅れてしまった場合は大きな街の治療院を訪れるか、上級の回復スキルを使わないともとに戻らないらしい。
死亡時は設定したリスポーンポイントで復帰するらしい。
ただし、身につけていた装備等は死体と一緒に残されるため回収しないと持ち去られたりするらしい。
昔やったな、そんなMMO。ブ○銀懐かしい。
ただ、俺の場合何があるかわからないので可能な限り死なないようにしてほしいとのこと。
俺としても死ぬほど痛いのは簡便だから死ぬつもりは毛頭ない。
オワタ式のプレイはやりこみの基本のひとつなので割と慣れてる。
問題ない……はず。
「セットアップは終わったけど、問題は起きてないかい? 痛みとかの感覚は?」
「やっぱり痛覚が普通にある感じがありますね。胸に拳をぶつけると、ぶつけた所が普通にジンジンします」
胴体には何もつけてないにもかかわらず。
「って事は機材トラブルと言う訳でもなかったのか。今回はそれが解っただけでも前進と考えよう。なんにせよ、体の方には以上がないようなのでやはり神経伝達不全に関わる錯覚現象というのが今の所一番確率が高いようです」
「コレが錯覚か……恐ろしいリアリティある錯覚ですね」
殆どの情報が耳と目以外シャットダウンされてるせいでそこからの情報を全てだと考えてしまう、だったか。
そう感じてしまう以上、錯覚であっても俺にとっては現実と変わらんのだよな。
「とりあえず、機材に問題ないようだし、実際に遊んでみ様子見てみますわ」
「あっと、その前に一つ頼みがあるんだ。
「たのみ?」
「テスターには一人か二人のNPCをバディとして近くに置いて貰ってるんだ。これも対人コミュニケーション学習の為のAI育成の為なんだけれど」
バディ、相棒?
「一般の村人とかとはやっぱ違うんですか?」
「基本的には変わらないけど、情報制限とかの深度はだいぶ違うね。人によっては外部の情報を持ってたり、双子のAIだったりもするけど立浪さんにお願いする子は基本この世界の情報だけもってる子だね」
つまりスタンダートタイプか。
まぁそっちのほうが対応に困らないし助かるな。
「この世界の常識的な知識は持っているけど子供だから知っていることは少ない。自分の身も守れないから、守りながら一緒に寄り添ってあげて欲しいんだ」
本実装の時にプレイヤーへの恐怖とか忌避感を持たせないために守ってやるってことか?
「さ、おいで……」
「……」
この子か、俺のバディは。
なんというか、美少女以外の言いようがないくらいの美少女だな。
この子の特徴をクサい言い方で例えるなら雪のよな白い肌。
絹のように艷やかで、殆ど銀に近いほど透き通った金髪。
そして、あり得ないくらいに明るい赤い瞳。
こりゃリアルには絶対居ないタイプの美人だ。
ただまぁ、流石にコレは俺の守備範囲外だ。
ちっこいな……7~8歳くらいか?
「この子はエリス。正式名称は別にあるけど型番みたいだからエリスと呼んであげて欲しい。……さ、エリス」
「はじめまして、エリス、といいます……」
おお、すげぇ、普通の人間と同じ位リアルな反応だ。
つかちゃんと挨拶まで出来るのか。
「ああ、俺は……キョウと読んでくれ。これからよろしくな」
「は、はい。よろしくおねがいします、キョウ」
「うんうん、お互い自己紹介出来たみたいだし大丈夫そうかな。説明やお願い事はコレでおしまいかな。僕は仕事に戻るけど他になにか確認しておくことはあるかい?」
ふむ。
「今のところは特に無いですね」
「じゃあテストの事、くれぐれもよろしくお願いするよ。エリスもAIとしてじゃなくちゃんと女の子として接してあげてね、それじゃ」
「ええ」
そんな心配は無用の長物だと思うけどな。
こんな人間味のある言動されたらAIって言われたって邪険には扱いにくいって。
「さて、これからどうしようか」
「?」
常識は知ってるけど子供相応の知識しかないみたいなこと言ってたよな。
「エリス、ここが何処で、どっちに行けば人がいるかとか分かる?」
「ごめんなさい、わかんないです……」
そっかーわからんかー
しまったな、さっき街の位置だけ聞いておけばよかった。
「ごめんなさい……」
「エリス、実は俺もサッパリわからないんだ」
「え、そうなんですか?」
そりゃびっくりするよな。
保護者がイキナリ迷子とか。
「そうなんです。エリスより大人の俺も知らないことなんだから謝らなくても良いんだぞ」
「は、はい……」
「教えてもらったことを覚えないのは悪い事だけどはじめての事を知らないのは仕方ないことなんだ。だからまぁ、一緒に覚えていこう。二人とも何も知らないんだから一緒にな」
「はい、わかりました」
おお、超素直。
「さて、じゃあまず今できる事をやるか」
ログインし直してまずやろうとしていた事といえば。
あのネズミだ。
ボールラット。
何時間もバトル禁止でお預け食らったんだ。
色々確かめてみないとな。
まずはアレを狩ってバトルのコツを掴む。
「エリスは戦い方とか知らないよな?」
「わからないです……」
「俺も知らないから一緒に覚えようぜ」
「はい!」
「ためしに俺がやってみるから見ててな?」
機材を取り替えるまで戦闘はしないでくれと頼まれたので、その間に色々確認した。
ショートソードを装備して殴るだけじゃだめだ。
武器は見た目通りに刃を立てて引かないと物は切れない。
ちゃんと刃を立てて切らないとただの打撃になる。
あと、武器のショートソードだが、試してみた所草を切ったり地面を掘ったりも出来る。
つまり、武器というカテゴリに入っているが、リアルと一緒で戦闘以外にも使える。
コレは結構な発見だと思う。ただのショートソードでも色々な使い方が出来る訳だ。
例えば……
「ふんぬ!」
こんな風に投げつけたりも出来るって事だ。
「ギャンッ!?」
おお当たった。すげぇ痛そうな鳴き声聞こえたし見間違いじゃない筈。
しかし流石にこの距離からじゃ刺さらなかったな。
でもまぁ、俺のコントロールでもちゃんと当たっただけ良しとしよう。
突然の攻撃に驚いているボールラットに向かって一気に駆け寄る。
気がついたボールラットが身構えるが、その横を通り過ぎ落ちているショートソードをさっさと回収。
飛びかかってきたボールラットを大根切りの要領で叩き切る。
「ぐッ!?」
「ギャッ!」
くっそ、やっぱ漫画みたいにかっこよくは行かないか。
50cmほどのネズミでも勢いがついた飛びかかりを叩き切るのは反動がすごい。
なんとか切り落とせたが両腕がしびれてる。
「ギュゥゥゥゥ……」
「まだ生きてるのか、しぶといな」
首に向かってソートソードを突き刺しとどめを刺す。
しばらく藻掻いていたがやがて動かなくなった。
念のためにもう一度さして見るが動かない。
ちゃんと死んだようだ。
「ふぅ、初めてだからってのもあるけど結構緊張するな」
多分こいつは一番のザコ敵なんだとおもうが、やっぱりRPGのようには行かないな。
自分の身体よりも動きが良いとはいえ、基本的には疲れるし痛みも感じる訳だから多少 のダメージは無視して、なんて戦い方は出来ない。
でも、コレはコレで楽しくなってきた。
「ネズミさん……」
「可愛そうだと思うか?」
「はい……」
情操教育的なのはしっかりされてるのか。
「俺も可愛そうだと思う」
「え? じゃあどうして」
「エリスはお肉を食べたことはあるか?」
「え? え? お肉?……おいしいです」
試しに聞いただけだが、食事とかもちゃんと再現してるのか。
パネェな。
「エリスが食べたお肉は、誰かがこうやって手に入れてくれた物なんだぜ?」
「!?」
そりゃ子供は驚くか。
美味しいと思ってたものを食べるために可哀想なことしないといけないなんてな。
「お肉はネズミさん?」
「ネズミさんだけじゃないぞ? いろんな生き物を殺して食べてるんだ」
ちょっと子供相手にはエグいかな?
「でも、食べないと人間はお腹が空いて死んじゃうんだ。死んじゃうのは怖いだろう?」
「死んじゃうのは、いやです……」
「だから、俺たちは死なないために動物を狩らなきゃいけない。
そのかわり、お肉を食べる時は感謝して食べるんだ」
「うう……」
俺もこの子くらいの時によく母さんにそう言われたな。
この話になると毎回美咲がしばらく肉食べなくなってたっけ。
「でもな、エリスがねずみさんと友だちになってどうしても食べたくないと思ったら
食べずに生きていけるなら食べなくても良い」
「いいの……?」
「エリスが自分一人で食べ物を手に入れられるようになる事、他の人に迷惑をかけない事。その2つが守れるなら俺は食べなくてもいいと思うぞ?」
「うう……」
むつかしいよな。
この時期の子にそんな事言っても、無理ってしか思えんだろう。
でもこういうのは子供のうちに知っとかないとダメだと思うんだよな。
「今は食べないと俺たちはお腹空いて倒れてしまう。そうならないために、これから色々勉強しないとな。そうすれば、いつかネズミを食べなくて良くなるかもしれない」
「ほんと?」
「ああ」
嘘ではないしな。
事前準備がしっかりしてれば野宿で狩りなんて真似をしなくても済む。
……済むよな?
おっと、それよりもそのネズミだ。
さて、確か製品版と違ってテスト版はアイテムドロップしないから解体して手に入れな いとダメなんだっけか。
ネズミが落とすアイテムって言ったらなんだろう。
肉と、牙と、革あたりか。
近くに街とかがアレば死体をそのまま持ち込むとかも出来るのかもしれないが、カバンに死体を入れて歩くのはなんか嫌だな。
とはいえ、動物の解体なんてやったこと無いしな。
まぁリアルじゃないし、ゲームとしてここはものの試しでやってみるか。
幸い、近くに川がある。
血とかを全部洗い流しながら皮を剥いだりしてみるか。
そのためにもまずはキャンプ地を作ろう。
まぁ一晩だけだから座って休めるところと火を炊ける場所さえアレばいいか。
……そうだよ、火をどうしよう。
なんだっけか。
おがくず作って木を超こするのはなんとなく覚えてるが……
って、そうだ魔法があるじゃないか。
一応そのために集中もとったんだし。
魔法適正はいとってないけどな!
ここはやっぱ基本のファイアっぽい魔法を……
……って、魔法ってどう使うんだ?
スキル……にはないよな。
メインメニューにそれっぽいページあったっけ?
ううん?
やっぱ見つからんぞ。
え、もしかしてショップとかでスクロール買ったりとかそういう系?
マジデ?
いやいや、あるでしょどこかに。
どれだけ探しても見つからねぇってことはやっぱりそういう事なのか?
もしかして、魔法適性スキルが魔法自体の起点スキルになってとか?
可能性は、すっげぇありそうだな……。
「なぁ、エリスって魔法使えるか?」
「まほう?」
あぁ~マジかー、コレはわかってない顔だわ。
「いや、なんでもない気にするな」
「?」
マジすかー。
……はぁ。
どうしたもんか。
カバンの中になんか入ってないのか?
幾つか冒険用アイテムっぽいのが詰まってたよな。
どれどれ?
なんか火を起こせるアイテムとかあったかな。
えぇと、羊皮紙っぽいのと、空ビンと干し肉?、後はコレは油と砥石か。
お、火打ち石があるな。
木は森の入口あたりの枯れ木を拾ってあるからそれを燃やせばいいか。
たしか木には火がつかないから枯れ草とかおがくずを火打ち石で付けるんだったよな。
キャンプなんて小学校以来だからあんま覚えてないが火遊びはちょっとだけ覚えている。
とはいえこれだけ青々と生えてる中で枯れ草って言われてもな。
「適当に葉っぱでも狩って放っておけば乾くよな……? 最悪、剣で枯れ木を削っておがくずもどきを作るか……」
とりあえずは草干してる間にネズミをバラそう。
「エリス、ちょっと木の枝を拾ってきてくれないか?」
「はい」
「ただし、俺が見える範囲からでないようにな? 高い藪とかにも入らないように。 見つからなかったら無かったと教えてくれ」
「は、はい。行ってきます」
さて、エリスが拾ってるうちに解体いってみるか。
血抜きは不十分だけどまぁ仕方ないだろ。
「ぐっ……これは、結構グロいな」
「うう……」
適当にキャンプ準備してる間に血抜きのために川に浸けておいたボールマウスを引き上げて皮を剥いでみようとしたもの、コレがうまくいかない。
アレコレともたついているうちに、グロを見せないために枯れ木拾いをさせていたエリスはあっさりと任務完了。
結局子供にスプラッタな作業を見せつけてしまう羽目に……
モツは処理の仕方がわからないし虫が怖いからさっさと処分して、そのために開いた腹を中心にできるだけ皮の面積が大きくなるように剥いでみたものの……
「雑すぎィ……」
手足の付け根からバッサリ切れた見栄えの悪い皮の残骸になってしまった。
なかなか皮が剥がれてくれなくて、力ずくで剥がそうとしたら足の部分がちぎれてしまったのだ。
まるで胴部分だけ毛がないプードルみたいだ。
まぁ初めてだし仕方ないよな。
肉は内臓周辺は怖いのでもも肉と肩肉だけにしておいた。
腹肉は勿体無いような気がしたが初心者だしな。
牙はうまく取れずに折れてしまった。
爪もうまく剥がせそうにないので血と肉を削ぎ落として手のひらを乾かしてカバンに放 り込んでおいた。
あまりにショッキングだったのかエリスはすっかり黙り込んでしまった。
しょんぼりしてるのもまたかわいい。
それにしても……
「ただのネズミ一匹なのに結構時間掛かったな」
いや、50cmのネズミはただのネズミじゃないかもしれんけど。
手慣れていけばもっと早く解体できるんだろうけど、けっこう大変なんだな。
そして一段落した所で、幾つかスキルが成長したり増えたりしていることに気付いた。
まず新しく増えた投擲は、さっきの戦闘か戦闘前に試した時に覚えたんだと思う。
腕力と筋力の上昇は戦闘によるものか、ネズミの解体によるものなのか……
あと自力でばらしたおかげなのか、腕力が上がり、解体の基礎スキルをゲットしていた。
このスキルが上がっていけば解体の手間とかが短縮されるんだろうか?
それとこの貧相なのがキャンプとして認められたのか、陣地構築スキルも増えていた。
キャンプ設営じゃなくて陣地構築なのな。
コレを極めたら前線基地みたいなのも作れるようになるのかね。
ということは大規模PvPみたいなのも想定されてる?
いやまだそこらへんは憶測の域を出ないし今考えても仕方ないか
などとやってるうちに、気がついたら日が沈んでいた。
「おっと、アブネェ」
考え事でせっかくゲットした肉を焦がすところだった。
虫が怖いからしっかり火は通す必要があるが焦がすのは流石にな。
さて、味見の方は……
「……」
不味いな。
生臭さはそれほど無いが肉の味と言うより血の味だ……
香辛料とかなにもないんだから当たり前といえば当たり前だが、せめて塩がアレば……
無い物ねだりしてもしょうがないか。
食えるだけマシだ。
「エリス、お肉だよ」
「う……」
まぁ、生きてるときの姿見てると食いたくないよな。
「食べないとお腹済んで死んじゃうぞ? それに、俺たちためにお肉になったのにエリスはそれを捨てちゃうのか?」
「うう……いただきます」
「えらいぞ、エリス」
「ううう、おいしくない……」
あら正直。
しかし、知り合った初日にこんな可愛い子供にえげつないサバイバル授業とか
何やってんだ俺は。
さて、問題はどうやって夜を過ごすかだな。
この手のお約束で、夜は昼よりも凶暴なモンスターが現れる可能性が高い。
普段なら、その時ゃ死んで覚えればいいやと突撃するところだが
できるだけ死なずのプレイとなるとキャンプでじっとしているのが良いだろう。
まぁ、モンスターが火を怖がってくれればの話だけど。
それ以前の問題で、昼だろうが夜だろうがこの周辺にどんな生き物がいるかわからないから火の回りとはいえ迂闊に寝るのも怖いんだよな。
さっさと村なり街なりを探さないと……
ああ、でも寝とかないと疲労値が溜まってえらいことになるかもしれんか。
ううん、モンスターと出くわしてから対処できなくて倒されても本末転倒だし
ここは危険だとしても無理にでも眠っておいたほうが良いのか?
常識的に考えれば、一人で見張りもなく寝るのは危険だ。
夜活動するのかわからないけど、人に向かって突っ込んでくるネズミが徘徊するような場所だからなぁ。
……ううむ……
とか考えてたら眠気が。
今日は結構体動かしたからなぁ。
我慢はできるレベルだけど……
ダメだ、答えが出る気がしない。
一応スキルが追加されたってことはキャンプとして認められたみたいだし
ゲームだと大抵キャンプはセーフティゾーン扱いだよな。
そうだよな。きっと安全なはず。
よし、寝よ――
「ん?」
「すー……すー……」
ああ、腹が膨らんで寝ちまったか……
こんな寄りかかって寝にくいだろうに、よっぽど疲れたのか。
……こんなに人間っぽいのにAIなんだよなぁ。
事前に聞いてなきゃ人間の子供と区別なんて全くつかないぞ。
「……」
子供が寝てるのに見張りなしはやっぱダメだよな。
はぁ、徹夜か。
明日中に街とか見つかれば良いんだが……
見えるぞ。
たった数時間の機材取替がこんな長く感じるとは。
やはり自由はいいな。
結局、どうして痛みを感じるのかはログ検証だけではわからないそうだ。
そもそも、細かい感覚を察知しすぎているようだ。
風なんかも擬似的に音と振動の組み合わせでそれっぽく感じられるようにはしてあるが
俺のように風の温度や匂いなんかまで感じられる良うないステムは無いらしい。
田辺さんや医者が言うには、視界のみという限定された状況と、脳と身体の接続が分断されたことで脳の処理が映像に強く影響されてる可能性があるとか。
まぁ難しいことはよくわからないが、錯覚の延長だということらしい。
実際、体の方には何の異常も出てないそうだ。
なので、たとえゲーム内で大怪我を負って激痛を感じたとしても、リアルの身体には一切傷を負っていないと強く認識して混乱しないように、とのことだ。
まぁ、そう考えれば痛みがあるとはいえ多少気が楽になるというものだ。
ちなみに身体の欠損等は治療が早ければ元通りになるが遅れてしまった場合は大きな街の治療院を訪れるか、上級の回復スキルを使わないともとに戻らないらしい。
死亡時は設定したリスポーンポイントで復帰するらしい。
ただし、身につけていた装備等は死体と一緒に残されるため回収しないと持ち去られたりするらしい。
昔やったな、そんなMMO。ブ○銀懐かしい。
ただ、俺の場合何があるかわからないので可能な限り死なないようにしてほしいとのこと。
俺としても死ぬほど痛いのは簡便だから死ぬつもりは毛頭ない。
オワタ式のプレイはやりこみの基本のひとつなので割と慣れてる。
問題ない……はず。
「セットアップは終わったけど、問題は起きてないかい? 痛みとかの感覚は?」
「やっぱり痛覚が普通にある感じがありますね。胸に拳をぶつけると、ぶつけた所が普通にジンジンします」
胴体には何もつけてないにもかかわらず。
「って事は機材トラブルと言う訳でもなかったのか。今回はそれが解っただけでも前進と考えよう。なんにせよ、体の方には以上がないようなのでやはり神経伝達不全に関わる錯覚現象というのが今の所一番確率が高いようです」
「コレが錯覚か……恐ろしいリアリティある錯覚ですね」
殆どの情報が耳と目以外シャットダウンされてるせいでそこからの情報を全てだと考えてしまう、だったか。
そう感じてしまう以上、錯覚であっても俺にとっては現実と変わらんのだよな。
「とりあえず、機材に問題ないようだし、実際に遊んでみ様子見てみますわ」
「あっと、その前に一つ頼みがあるんだ。
「たのみ?」
「テスターには一人か二人のNPCをバディとして近くに置いて貰ってるんだ。これも対人コミュニケーション学習の為のAI育成の為なんだけれど」
バディ、相棒?
「一般の村人とかとはやっぱ違うんですか?」
「基本的には変わらないけど、情報制限とかの深度はだいぶ違うね。人によっては外部の情報を持ってたり、双子のAIだったりもするけど立浪さんにお願いする子は基本この世界の情報だけもってる子だね」
つまりスタンダートタイプか。
まぁそっちのほうが対応に困らないし助かるな。
「この世界の常識的な知識は持っているけど子供だから知っていることは少ない。自分の身も守れないから、守りながら一緒に寄り添ってあげて欲しいんだ」
本実装の時にプレイヤーへの恐怖とか忌避感を持たせないために守ってやるってことか?
「さ、おいで……」
「……」
この子か、俺のバディは。
なんというか、美少女以外の言いようがないくらいの美少女だな。
この子の特徴をクサい言い方で例えるなら雪のよな白い肌。
絹のように艷やかで、殆ど銀に近いほど透き通った金髪。
そして、あり得ないくらいに明るい赤い瞳。
こりゃリアルには絶対居ないタイプの美人だ。
ただまぁ、流石にコレは俺の守備範囲外だ。
ちっこいな……7~8歳くらいか?
「この子はエリス。正式名称は別にあるけど型番みたいだからエリスと呼んであげて欲しい。……さ、エリス」
「はじめまして、エリス、といいます……」
おお、すげぇ、普通の人間と同じ位リアルな反応だ。
つかちゃんと挨拶まで出来るのか。
「ああ、俺は……キョウと読んでくれ。これからよろしくな」
「は、はい。よろしくおねがいします、キョウ」
「うんうん、お互い自己紹介出来たみたいだし大丈夫そうかな。説明やお願い事はコレでおしまいかな。僕は仕事に戻るけど他になにか確認しておくことはあるかい?」
ふむ。
「今のところは特に無いですね」
「じゃあテストの事、くれぐれもよろしくお願いするよ。エリスもAIとしてじゃなくちゃんと女の子として接してあげてね、それじゃ」
「ええ」
そんな心配は無用の長物だと思うけどな。
こんな人間味のある言動されたらAIって言われたって邪険には扱いにくいって。
「さて、これからどうしようか」
「?」
常識は知ってるけど子供相応の知識しかないみたいなこと言ってたよな。
「エリス、ここが何処で、どっちに行けば人がいるかとか分かる?」
「ごめんなさい、わかんないです……」
そっかーわからんかー
しまったな、さっき街の位置だけ聞いておけばよかった。
「ごめんなさい……」
「エリス、実は俺もサッパリわからないんだ」
「え、そうなんですか?」
そりゃびっくりするよな。
保護者がイキナリ迷子とか。
「そうなんです。エリスより大人の俺も知らないことなんだから謝らなくても良いんだぞ」
「は、はい……」
「教えてもらったことを覚えないのは悪い事だけどはじめての事を知らないのは仕方ないことなんだ。だからまぁ、一緒に覚えていこう。二人とも何も知らないんだから一緒にな」
「はい、わかりました」
おお、超素直。
「さて、じゃあまず今できる事をやるか」
ログインし直してまずやろうとしていた事といえば。
あのネズミだ。
ボールラット。
何時間もバトル禁止でお預け食らったんだ。
色々確かめてみないとな。
まずはアレを狩ってバトルのコツを掴む。
「エリスは戦い方とか知らないよな?」
「わからないです……」
「俺も知らないから一緒に覚えようぜ」
「はい!」
「ためしに俺がやってみるから見ててな?」
機材を取り替えるまで戦闘はしないでくれと頼まれたので、その間に色々確認した。
ショートソードを装備して殴るだけじゃだめだ。
武器は見た目通りに刃を立てて引かないと物は切れない。
ちゃんと刃を立てて切らないとただの打撃になる。
あと、武器のショートソードだが、試してみた所草を切ったり地面を掘ったりも出来る。
つまり、武器というカテゴリに入っているが、リアルと一緒で戦闘以外にも使える。
コレは結構な発見だと思う。ただのショートソードでも色々な使い方が出来る訳だ。
例えば……
「ふんぬ!」
こんな風に投げつけたりも出来るって事だ。
「ギャンッ!?」
おお当たった。すげぇ痛そうな鳴き声聞こえたし見間違いじゃない筈。
しかし流石にこの距離からじゃ刺さらなかったな。
でもまぁ、俺のコントロールでもちゃんと当たっただけ良しとしよう。
突然の攻撃に驚いているボールラットに向かって一気に駆け寄る。
気がついたボールラットが身構えるが、その横を通り過ぎ落ちているショートソードをさっさと回収。
飛びかかってきたボールラットを大根切りの要領で叩き切る。
「ぐッ!?」
「ギャッ!」
くっそ、やっぱ漫画みたいにかっこよくは行かないか。
50cmほどのネズミでも勢いがついた飛びかかりを叩き切るのは反動がすごい。
なんとか切り落とせたが両腕がしびれてる。
「ギュゥゥゥゥ……」
「まだ生きてるのか、しぶといな」
首に向かってソートソードを突き刺しとどめを刺す。
しばらく藻掻いていたがやがて動かなくなった。
念のためにもう一度さして見るが動かない。
ちゃんと死んだようだ。
「ふぅ、初めてだからってのもあるけど結構緊張するな」
多分こいつは一番のザコ敵なんだとおもうが、やっぱりRPGのようには行かないな。
自分の身体よりも動きが良いとはいえ、基本的には疲れるし痛みも感じる訳だから多少 のダメージは無視して、なんて戦い方は出来ない。
でも、コレはコレで楽しくなってきた。
「ネズミさん……」
「可愛そうだと思うか?」
「はい……」
情操教育的なのはしっかりされてるのか。
「俺も可愛そうだと思う」
「え? じゃあどうして」
「エリスはお肉を食べたことはあるか?」
「え? え? お肉?……おいしいです」
試しに聞いただけだが、食事とかもちゃんと再現してるのか。
パネェな。
「エリスが食べたお肉は、誰かがこうやって手に入れてくれた物なんだぜ?」
「!?」
そりゃ子供は驚くか。
美味しいと思ってたものを食べるために可哀想なことしないといけないなんてな。
「お肉はネズミさん?」
「ネズミさんだけじゃないぞ? いろんな生き物を殺して食べてるんだ」
ちょっと子供相手にはエグいかな?
「でも、食べないと人間はお腹が空いて死んじゃうんだ。死んじゃうのは怖いだろう?」
「死んじゃうのは、いやです……」
「だから、俺たちは死なないために動物を狩らなきゃいけない。
そのかわり、お肉を食べる時は感謝して食べるんだ」
「うう……」
俺もこの子くらいの時によく母さんにそう言われたな。
この話になると毎回美咲がしばらく肉食べなくなってたっけ。
「でもな、エリスがねずみさんと友だちになってどうしても食べたくないと思ったら
食べずに生きていけるなら食べなくても良い」
「いいの……?」
「エリスが自分一人で食べ物を手に入れられるようになる事、他の人に迷惑をかけない事。その2つが守れるなら俺は食べなくてもいいと思うぞ?」
「うう……」
むつかしいよな。
この時期の子にそんな事言っても、無理ってしか思えんだろう。
でもこういうのは子供のうちに知っとかないとダメだと思うんだよな。
「今は食べないと俺たちはお腹空いて倒れてしまう。そうならないために、これから色々勉強しないとな。そうすれば、いつかネズミを食べなくて良くなるかもしれない」
「ほんと?」
「ああ」
嘘ではないしな。
事前準備がしっかりしてれば野宿で狩りなんて真似をしなくても済む。
……済むよな?
おっと、それよりもそのネズミだ。
さて、確か製品版と違ってテスト版はアイテムドロップしないから解体して手に入れな いとダメなんだっけか。
ネズミが落とすアイテムって言ったらなんだろう。
肉と、牙と、革あたりか。
近くに街とかがアレば死体をそのまま持ち込むとかも出来るのかもしれないが、カバンに死体を入れて歩くのはなんか嫌だな。
とはいえ、動物の解体なんてやったこと無いしな。
まぁリアルじゃないし、ゲームとしてここはものの試しでやってみるか。
幸い、近くに川がある。
血とかを全部洗い流しながら皮を剥いだりしてみるか。
そのためにもまずはキャンプ地を作ろう。
まぁ一晩だけだから座って休めるところと火を炊ける場所さえアレばいいか。
……そうだよ、火をどうしよう。
なんだっけか。
おがくず作って木を超こするのはなんとなく覚えてるが……
って、そうだ魔法があるじゃないか。
一応そのために集中もとったんだし。
魔法適正はいとってないけどな!
ここはやっぱ基本のファイアっぽい魔法を……
……って、魔法ってどう使うんだ?
スキル……にはないよな。
メインメニューにそれっぽいページあったっけ?
ううん?
やっぱ見つからんぞ。
え、もしかしてショップとかでスクロール買ったりとかそういう系?
マジデ?
いやいや、あるでしょどこかに。
どれだけ探しても見つからねぇってことはやっぱりそういう事なのか?
もしかして、魔法適性スキルが魔法自体の起点スキルになってとか?
可能性は、すっげぇありそうだな……。
「なぁ、エリスって魔法使えるか?」
「まほう?」
あぁ~マジかー、コレはわかってない顔だわ。
「いや、なんでもない気にするな」
「?」
マジすかー。
……はぁ。
どうしたもんか。
カバンの中になんか入ってないのか?
幾つか冒険用アイテムっぽいのが詰まってたよな。
どれどれ?
なんか火を起こせるアイテムとかあったかな。
えぇと、羊皮紙っぽいのと、空ビンと干し肉?、後はコレは油と砥石か。
お、火打ち石があるな。
木は森の入口あたりの枯れ木を拾ってあるからそれを燃やせばいいか。
たしか木には火がつかないから枯れ草とかおがくずを火打ち石で付けるんだったよな。
キャンプなんて小学校以来だからあんま覚えてないが火遊びはちょっとだけ覚えている。
とはいえこれだけ青々と生えてる中で枯れ草って言われてもな。
「適当に葉っぱでも狩って放っておけば乾くよな……? 最悪、剣で枯れ木を削っておがくずもどきを作るか……」
とりあえずは草干してる間にネズミをバラそう。
「エリス、ちょっと木の枝を拾ってきてくれないか?」
「はい」
「ただし、俺が見える範囲からでないようにな? 高い藪とかにも入らないように。 見つからなかったら無かったと教えてくれ」
「は、はい。行ってきます」
さて、エリスが拾ってるうちに解体いってみるか。
血抜きは不十分だけどまぁ仕方ないだろ。
「ぐっ……これは、結構グロいな」
「うう……」
適当にキャンプ準備してる間に血抜きのために川に浸けておいたボールマウスを引き上げて皮を剥いでみようとしたもの、コレがうまくいかない。
アレコレともたついているうちに、グロを見せないために枯れ木拾いをさせていたエリスはあっさりと任務完了。
結局子供にスプラッタな作業を見せつけてしまう羽目に……
モツは処理の仕方がわからないし虫が怖いからさっさと処分して、そのために開いた腹を中心にできるだけ皮の面積が大きくなるように剥いでみたものの……
「雑すぎィ……」
手足の付け根からバッサリ切れた見栄えの悪い皮の残骸になってしまった。
なかなか皮が剥がれてくれなくて、力ずくで剥がそうとしたら足の部分がちぎれてしまったのだ。
まるで胴部分だけ毛がないプードルみたいだ。
まぁ初めてだし仕方ないよな。
肉は内臓周辺は怖いのでもも肉と肩肉だけにしておいた。
腹肉は勿体無いような気がしたが初心者だしな。
牙はうまく取れずに折れてしまった。
爪もうまく剥がせそうにないので血と肉を削ぎ落として手のひらを乾かしてカバンに放 り込んでおいた。
あまりにショッキングだったのかエリスはすっかり黙り込んでしまった。
しょんぼりしてるのもまたかわいい。
それにしても……
「ただのネズミ一匹なのに結構時間掛かったな」
いや、50cmのネズミはただのネズミじゃないかもしれんけど。
手慣れていけばもっと早く解体できるんだろうけど、けっこう大変なんだな。
そして一段落した所で、幾つかスキルが成長したり増えたりしていることに気付いた。
まず新しく増えた投擲は、さっきの戦闘か戦闘前に試した時に覚えたんだと思う。
腕力と筋力の上昇は戦闘によるものか、ネズミの解体によるものなのか……
あと自力でばらしたおかげなのか、腕力が上がり、解体の基礎スキルをゲットしていた。
このスキルが上がっていけば解体の手間とかが短縮されるんだろうか?
それとこの貧相なのがキャンプとして認められたのか、陣地構築スキルも増えていた。
キャンプ設営じゃなくて陣地構築なのな。
コレを極めたら前線基地みたいなのも作れるようになるのかね。
ということは大規模PvPみたいなのも想定されてる?
いやまだそこらへんは憶測の域を出ないし今考えても仕方ないか
などとやってるうちに、気がついたら日が沈んでいた。
「おっと、アブネェ」
考え事でせっかくゲットした肉を焦がすところだった。
虫が怖いからしっかり火は通す必要があるが焦がすのは流石にな。
さて、味見の方は……
「……」
不味いな。
生臭さはそれほど無いが肉の味と言うより血の味だ……
香辛料とかなにもないんだから当たり前といえば当たり前だが、せめて塩がアレば……
無い物ねだりしてもしょうがないか。
食えるだけマシだ。
「エリス、お肉だよ」
「う……」
まぁ、生きてるときの姿見てると食いたくないよな。
「食べないとお腹済んで死んじゃうぞ? それに、俺たちためにお肉になったのにエリスはそれを捨てちゃうのか?」
「うう……いただきます」
「えらいぞ、エリス」
「ううう、おいしくない……」
あら正直。
しかし、知り合った初日にこんな可愛い子供にえげつないサバイバル授業とか
何やってんだ俺は。
さて、問題はどうやって夜を過ごすかだな。
この手のお約束で、夜は昼よりも凶暴なモンスターが現れる可能性が高い。
普段なら、その時ゃ死んで覚えればいいやと突撃するところだが
できるだけ死なずのプレイとなるとキャンプでじっとしているのが良いだろう。
まぁ、モンスターが火を怖がってくれればの話だけど。
それ以前の問題で、昼だろうが夜だろうがこの周辺にどんな生き物がいるかわからないから火の回りとはいえ迂闊に寝るのも怖いんだよな。
さっさと村なり街なりを探さないと……
ああ、でも寝とかないと疲労値が溜まってえらいことになるかもしれんか。
ううん、モンスターと出くわしてから対処できなくて倒されても本末転倒だし
ここは危険だとしても無理にでも眠っておいたほうが良いのか?
常識的に考えれば、一人で見張りもなく寝るのは危険だ。
夜活動するのかわからないけど、人に向かって突っ込んでくるネズミが徘徊するような場所だからなぁ。
……ううむ……
とか考えてたら眠気が。
今日は結構体動かしたからなぁ。
我慢はできるレベルだけど……
ダメだ、答えが出る気がしない。
一応スキルが追加されたってことはキャンプとして認められたみたいだし
ゲームだと大抵キャンプはセーフティゾーン扱いだよな。
そうだよな。きっと安全なはず。
よし、寝よ――
「ん?」
「すー……すー……」
ああ、腹が膨らんで寝ちまったか……
こんな寄りかかって寝にくいだろうに、よっぽど疲れたのか。
……こんなに人間っぽいのにAIなんだよなぁ。
事前に聞いてなきゃ人間の子供と区別なんて全くつかないぞ。
「……」
子供が寝てるのに見張りなしはやっぱダメだよな。
はぁ、徹夜か。
明日中に街とか見つかれば良いんだが……
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