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番外編
#31. 運命の番の思い違い<凛空視点>
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『櫂、櫂、櫂。俺、櫂を信じてるよ。俺の事、絶対に売ったりしてないよね?
俺の事、まだ好きでいてくれてるよね?いつか櫂に会える?それとももうこのまま一生会えない??
櫂、櫂、櫂。会いたいよ。会って櫂の口から聞きたいよ。俺の事、まだ好き?』
差出人不明のDVDから聞こえる最愛のツガイの慟哭。
男は、本当に知らなかった。自分との性生活に積極的な凛空は、自分との関係を喜んでくれているものだと思っていた。
凛空との間にセックス関係以外の会話は無く、男は凛空一筋だったから、他のオメガを抱いたこともない。
御歳43歳の拗らせ童貞は、オメガは淫乱だという世間のイメージから、それが凛空の嗜好なんだと思って、勉強の為に見たオメガの過激凌辱AVの内容を本気で信じていたのだ。
オメガの相手は一人では足りないから複数人で輪姦する事が必要である。アルファが一人しか居ない時には道具類で代用するしかない;オメガは二十四時間いつでもセックスの事を考えている;オメガは嫌がってるふりをしていてもそれは演技で恥ずかしがっているだけだから、本当はもっとやってほしいと思っている;オメガが濡れるのは自己防衛本能ではなく、身体が濡れていればその相手を受け入れているという事だから口では嫌がっていてももっとしていい。
そういった過激凌辱AVの演出上の設定を全て鵜呑みにしていたのである。
凛空のセックス依存症は、凛空がただただ淫乱で、運命のツガイとの相性が良すぎるセックスに没頭しているだけだと男は本気で思い込んでいた。
それが、凛空のトラウマに起因する自傷行為と現実逃避だとは全く思いつかなかったのだ。
交通手段と通信手段が発達している現代においても、運命のツガイに出会える人は稀だ。
だから、運命のツガイというものの実態を人々は良く知らない。
男は、運命のツガイに出会ったらオメガもアルファも獣の本能に支配されるという事を聞いていた。
そして、元来から淫乱な性質を持つオメガ側はそれが一生涯続いてもおかしく無いのだと勘違いしていたのである。
毎日卑猥な玩具を使われた状態で放置して欲しいと強請る凛空を見て、だからツガイが居るオメガ達は外に出ないのか。相性が良いツガイが居るオメガは大変だな。
凛空のおねだりは可愛いからいいけど、毎日これじゃあ確かに外には出れないなと派手に勘違いをしていたのだ。
経営者という立場柄、例え男が「オメガってのは聞いていたよりも淫乱なんだなぁ~。毎日盛って困ってるんだ。あれじゃあ全く家から出せないのも頷ける。」と周囲に溢したとしよう。
それでも、皆が皆が「そうですね」と相槌を打っただろう。場合によっては、「そんなに仲が良いなんて羨ましいです。きっと凄く社長の事が好きなんですね。社長が羨ましいです。」と、賛美されて羨望の視線すら向けられるかもしれない。
立場が高くなれば高くなる程、考え方次第で如何様にも解釈出来る事柄に対する、誤差の修正まで指摘してくれる人はほぼ居なくなる。
それがお上の考えか。ちょっとズレてるけど、まぁ上がその考えなら仕方ないか。仕事には関係ないし、適当に話を合わせておくか。
秘書だって精々が、会社や取引先でオメガ差別はしないで下さいよと軽く釘を刺す位だろう。
だから、凛空のセックス依存症にはそうなった原因があって、しかもそれは自分がツガイの解除を希望したことがその根幹にあって、自分との性行為が凛空にとっては自傷行為の一つ。唯一の現実逃避の方法だと知った時、男は目の前が真っ暗になった。
僕が、自分が、愛する凛空の人生を壊してしまったのだと。
前回の自殺未遂時に凛空が世を儚んでしまったのは、妊娠期間中のホルモンバランスの変化が起こす一時的な鬱状態と運命のツガイに出会ってしまって開花してしまった淫蕩な生活に対する自責の念が合わさった事が原因だと思っていた。
でも、今回二回目の自殺未遂では凛空は妊娠していなかった。
DVDの内容から、凛空は元来全く淫乱ではなく、何かを忘れる為に自分を求めていただけ。愛する夫と引き剥がされて本当にこの世に救いが無く、この先もただただ傷つくだけの自分の生をもう本当に終わりにしたくて自殺を繰り返したんだと男は気が付いてしまった。
自分が誰よりも幸せにしたかった運命の人が、自分のせいで誰よりも不幸になってしまった。
男は、どうしたら良いのか全く解らず、とりあえず凛空から離れることにした。
でも、自力ではどうしようもない。もしまた正気を無くした凛空から乞われたら、また凛空の所に戻ってきてしまうかもしれない。そう考えた男は、自首する事で身体を拘束して貰い、物理的に凛空から離れる事を決意したのである。
こうして、奇しくも凛空の運命のツガイが、一番最初に自首した地下オメガの購入者となったのである。
俺はその後警察病院に移され、事件のほとぼりが冷めるまで治療という名の保護を受けていた。
俺は母子家庭で、風俗で働いていた母は早くにアルコール依存症で死んでいる。
警察におれより先に売られた蒼空の事も聞いてみたが、まだ見つかっていないという。
だから警察病院から退院した俺には特に行く当てもなかった。
仕方なしに、警察に紹介されたオメガシェルターに身を寄せてみた。
入院中は二十四時間点滴だったから血液中の薬剤濃度が一定に保たれていた為、セックス依存症の衝動は我慢できるほどであった。
しかし、退院して頓服薬に変わったせいで、薬の効きが切れる間際にどうも身体が疼く。でも、オメガシェルターにはオメガか女性しか働いていない。
最初は通販でこっそり注文したバイブでなんとか凌いでいたが、やはり本物が欲しい。
運命のツガイのこれ以上無いほどフィットする極上の一本を知ってしまった今、偽物では絶対に満足できなかった。
せめて生身のアルファだ。アルファが欲しくて欲しくてたまらない。一旦発作が起きると、普段あんなに会いたいと焦がれている櫂の事ですら、すっぽりとその頭の中から消えてしまうのだ。
でも、オメガシェルターは門限が厳しく、夜の街で調達する訳にもいかない。
お小遣いも少ないから、昼からアルファ風俗に行って抱いて貰う事もできない。
ふっ。自分から櫂以外のアルファを求めるなんて、俺ももう終わってるな。と俺はもうこれ以上ない程自暴自棄になっていた。
どこか昼からアルファに出会える発展場は無いだろうか…ダメなら、風俗の面接でも受けてみるか?そうすればお金を貯めて、海外まで櫂を探しに行けるかもしれない。
そうだ。そうしよう。お金を貯めて、海外に櫂を探しに行こう。
と風俗の面接に行こうと店に連絡をした頃、なんと櫂の友人の哲也さんから連絡があった。
しかも、ここで会いましょうと、日時と高級ホテルのラウンジの指定付きだ。
もしかしたら櫂の事が知れるかもしれない!と凛空は期待に胸を膨らませて会いに行った。
俺の事、まだ好きでいてくれてるよね?いつか櫂に会える?それとももうこのまま一生会えない??
櫂、櫂、櫂。会いたいよ。会って櫂の口から聞きたいよ。俺の事、まだ好き?』
差出人不明のDVDから聞こえる最愛のツガイの慟哭。
男は、本当に知らなかった。自分との性生活に積極的な凛空は、自分との関係を喜んでくれているものだと思っていた。
凛空との間にセックス関係以外の会話は無く、男は凛空一筋だったから、他のオメガを抱いたこともない。
御歳43歳の拗らせ童貞は、オメガは淫乱だという世間のイメージから、それが凛空の嗜好なんだと思って、勉強の為に見たオメガの過激凌辱AVの内容を本気で信じていたのだ。
オメガの相手は一人では足りないから複数人で輪姦する事が必要である。アルファが一人しか居ない時には道具類で代用するしかない;オメガは二十四時間いつでもセックスの事を考えている;オメガは嫌がってるふりをしていてもそれは演技で恥ずかしがっているだけだから、本当はもっとやってほしいと思っている;オメガが濡れるのは自己防衛本能ではなく、身体が濡れていればその相手を受け入れているという事だから口では嫌がっていてももっとしていい。
そういった過激凌辱AVの演出上の設定を全て鵜呑みにしていたのである。
凛空のセックス依存症は、凛空がただただ淫乱で、運命のツガイとの相性が良すぎるセックスに没頭しているだけだと男は本気で思い込んでいた。
それが、凛空のトラウマに起因する自傷行為と現実逃避だとは全く思いつかなかったのだ。
交通手段と通信手段が発達している現代においても、運命のツガイに出会える人は稀だ。
だから、運命のツガイというものの実態を人々は良く知らない。
男は、運命のツガイに出会ったらオメガもアルファも獣の本能に支配されるという事を聞いていた。
そして、元来から淫乱な性質を持つオメガ側はそれが一生涯続いてもおかしく無いのだと勘違いしていたのである。
毎日卑猥な玩具を使われた状態で放置して欲しいと強請る凛空を見て、だからツガイが居るオメガ達は外に出ないのか。相性が良いツガイが居るオメガは大変だな。
凛空のおねだりは可愛いからいいけど、毎日これじゃあ確かに外には出れないなと派手に勘違いをしていたのだ。
経営者という立場柄、例え男が「オメガってのは聞いていたよりも淫乱なんだなぁ~。毎日盛って困ってるんだ。あれじゃあ全く家から出せないのも頷ける。」と周囲に溢したとしよう。
それでも、皆が皆が「そうですね」と相槌を打っただろう。場合によっては、「そんなに仲が良いなんて羨ましいです。きっと凄く社長の事が好きなんですね。社長が羨ましいです。」と、賛美されて羨望の視線すら向けられるかもしれない。
立場が高くなれば高くなる程、考え方次第で如何様にも解釈出来る事柄に対する、誤差の修正まで指摘してくれる人はほぼ居なくなる。
それがお上の考えか。ちょっとズレてるけど、まぁ上がその考えなら仕方ないか。仕事には関係ないし、適当に話を合わせておくか。
秘書だって精々が、会社や取引先でオメガ差別はしないで下さいよと軽く釘を刺す位だろう。
だから、凛空のセックス依存症にはそうなった原因があって、しかもそれは自分がツガイの解除を希望したことがその根幹にあって、自分との性行為が凛空にとっては自傷行為の一つ。唯一の現実逃避の方法だと知った時、男は目の前が真っ暗になった。
僕が、自分が、愛する凛空の人生を壊してしまったのだと。
前回の自殺未遂時に凛空が世を儚んでしまったのは、妊娠期間中のホルモンバランスの変化が起こす一時的な鬱状態と運命のツガイに出会ってしまって開花してしまった淫蕩な生活に対する自責の念が合わさった事が原因だと思っていた。
でも、今回二回目の自殺未遂では凛空は妊娠していなかった。
DVDの内容から、凛空は元来全く淫乱ではなく、何かを忘れる為に自分を求めていただけ。愛する夫と引き剥がされて本当にこの世に救いが無く、この先もただただ傷つくだけの自分の生をもう本当に終わりにしたくて自殺を繰り返したんだと男は気が付いてしまった。
自分が誰よりも幸せにしたかった運命の人が、自分のせいで誰よりも不幸になってしまった。
男は、どうしたら良いのか全く解らず、とりあえず凛空から離れることにした。
でも、自力ではどうしようもない。もしまた正気を無くした凛空から乞われたら、また凛空の所に戻ってきてしまうかもしれない。そう考えた男は、自首する事で身体を拘束して貰い、物理的に凛空から離れる事を決意したのである。
こうして、奇しくも凛空の運命のツガイが、一番最初に自首した地下オメガの購入者となったのである。
俺はその後警察病院に移され、事件のほとぼりが冷めるまで治療という名の保護を受けていた。
俺は母子家庭で、風俗で働いていた母は早くにアルコール依存症で死んでいる。
警察におれより先に売られた蒼空の事も聞いてみたが、まだ見つかっていないという。
だから警察病院から退院した俺には特に行く当てもなかった。
仕方なしに、警察に紹介されたオメガシェルターに身を寄せてみた。
入院中は二十四時間点滴だったから血液中の薬剤濃度が一定に保たれていた為、セックス依存症の衝動は我慢できるほどであった。
しかし、退院して頓服薬に変わったせいで、薬の効きが切れる間際にどうも身体が疼く。でも、オメガシェルターにはオメガか女性しか働いていない。
最初は通販でこっそり注文したバイブでなんとか凌いでいたが、やはり本物が欲しい。
運命のツガイのこれ以上無いほどフィットする極上の一本を知ってしまった今、偽物では絶対に満足できなかった。
せめて生身のアルファだ。アルファが欲しくて欲しくてたまらない。一旦発作が起きると、普段あんなに会いたいと焦がれている櫂の事ですら、すっぽりとその頭の中から消えてしまうのだ。
でも、オメガシェルターは門限が厳しく、夜の街で調達する訳にもいかない。
お小遣いも少ないから、昼からアルファ風俗に行って抱いて貰う事もできない。
ふっ。自分から櫂以外のアルファを求めるなんて、俺ももう終わってるな。と俺はもうこれ以上ない程自暴自棄になっていた。
どこか昼からアルファに出会える発展場は無いだろうか…ダメなら、風俗の面接でも受けてみるか?そうすればお金を貯めて、海外まで櫂を探しに行けるかもしれない。
そうだ。そうしよう。お金を貯めて、海外に櫂を探しに行こう。
と風俗の面接に行こうと店に連絡をした頃、なんと櫂の友人の哲也さんから連絡があった。
しかも、ここで会いましょうと、日時と高級ホテルのラウンジの指定付きだ。
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