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蒼空の日々
170.助け(オメガ視点)
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そんな時、性犯罪の被害者に対する過度な取材はセカンドレイプだという社説が大手新聞社から発表されたらしい。週刊誌の方にも何か圧力があったのか、僕に張り付いていた記者たちは渋々と引き上げていった。
やっと外に出られる。蒼空は安堵した。
地下オメガという立場から解放されて、せっかく外に出られる自由を謳歌していた。それなのに記者たちのせいでまたマンションの一室に閉じ込められるなんて、本当にストレスだった。
しかも、誰かが勝手にクラファンで寄付を募り、久我くんへの慰謝料が支払えない僕の為に久我くんへの慰謝料を用意してくれたらしい。余った分は僕の生活費というか、僕に対しての慰問料にしてくれという事らしい。
う~ん。今回予想外の事で注目を浴びてしまって、僕は複雑な気持ちだ。
しかもお金なんて…有難迷惑もたいがいにしてほしい。僕は別に、誰かに助けて貰わなきゃ生きていけない様な、か弱いオメガじゃない。
色々あって結局正吾さんに渡せていない保障金5千万円もある。
地下に居た時と違って、これからは僕も働ける。正吾さんと肩を並べて一緒に働いて一緒に借金を返していこうと思っていた。もう養われるだけの僕じゃないから。だから、お金なんて別に要らないんだけど。
でも、これは一応善意ではあるし、既に集められてしまったそれを一人一人の寄付者に返すわけにもいかないだろう。返金の時にクラファン手数料を負担するのもなんか癪だ。蒼空は諦めて渋々と受け取る事にした。その金額、なんと3億円超。
こんな大金、久我くんに慰謝料としてあげると言っても、絶対に受け取ってくれないよ。
向こうだって社長令息でお金持ちだし。この手切れ金の様な慰謝料は、きっと久我くんの矜持を傷つける。
そうこうしているうちに、久我くんの方に婚約の打診が来た。久我君のお父さんの会社よりも何倍も大きな会社からだ。そのお宅にはオメガの社長令息と社長令嬢が居るらしい。
なんでもその会社の社長が、多勢に無勢でもオメガを身を挺して守る久我くんの心意気に惚れて、家の娘でも息子でもどっちでも好きな方と結婚してくれという事らしい。
それは良かった。僕には正吾さんが居るから、久我くんがもし他の人と結婚してくれるなら本当に助かる。
久我君のお父さんは大喜びでその婚約に応じ、僕に心底惚れていたらしい久我くんは反発した。でも結婚は自分だけの事ではない。
会社の将来を考えると番が居る傷物オメガを略奪婚をするよりも、大きな会社の社長令息や令嬢を伴侶に貰った方が良いということは言わずもがなだった。そして、僕の心が自分に無い事も本人が一番良く解っていた。
僕は既に受け取ってしまったからと、クラファンから受け取ったお金を慰謝料として久我くんに払おうとしたが、それは当然拒否された。
向こうの言い分としては、警察の警告を無視して勝手に現場に入った久我くんが100%悪いからだという事だった。でもそれじゃあ僕の気持ちが済まない。
結局、久我くんの新しい婚約者に誤解されない様にと、久我くんが自力で歩ける様になるまではお手伝いさんを雇う事となり、その代金だけを僕が支払う事になった。
こうして、僕と久我くんとの同居は解消され、僕は解放された。
僕はまたオメガシェルターに戻った。2026年3月の事だった。
これで予定通り久我くんの父の会社を辞めて、4月からは内定していた小さな信用金庫に第二新卒として入社出来る。
良かった。これでまた平々凡々とした日常を送れる。
本当に良かった。そう思っていた僕に、予想外の所からサプライズがあった。
やっと外に出られる。蒼空は安堵した。
地下オメガという立場から解放されて、せっかく外に出られる自由を謳歌していた。それなのに記者たちのせいでまたマンションの一室に閉じ込められるなんて、本当にストレスだった。
しかも、誰かが勝手にクラファンで寄付を募り、久我くんへの慰謝料が支払えない僕の為に久我くんへの慰謝料を用意してくれたらしい。余った分は僕の生活費というか、僕に対しての慰問料にしてくれという事らしい。
う~ん。今回予想外の事で注目を浴びてしまって、僕は複雑な気持ちだ。
しかもお金なんて…有難迷惑もたいがいにしてほしい。僕は別に、誰かに助けて貰わなきゃ生きていけない様な、か弱いオメガじゃない。
色々あって結局正吾さんに渡せていない保障金5千万円もある。
地下に居た時と違って、これからは僕も働ける。正吾さんと肩を並べて一緒に働いて一緒に借金を返していこうと思っていた。もう養われるだけの僕じゃないから。だから、お金なんて別に要らないんだけど。
でも、これは一応善意ではあるし、既に集められてしまったそれを一人一人の寄付者に返すわけにもいかないだろう。返金の時にクラファン手数料を負担するのもなんか癪だ。蒼空は諦めて渋々と受け取る事にした。その金額、なんと3億円超。
こんな大金、久我くんに慰謝料としてあげると言っても、絶対に受け取ってくれないよ。
向こうだって社長令息でお金持ちだし。この手切れ金の様な慰謝料は、きっと久我くんの矜持を傷つける。
そうこうしているうちに、久我くんの方に婚約の打診が来た。久我君のお父さんの会社よりも何倍も大きな会社からだ。そのお宅にはオメガの社長令息と社長令嬢が居るらしい。
なんでもその会社の社長が、多勢に無勢でもオメガを身を挺して守る久我くんの心意気に惚れて、家の娘でも息子でもどっちでも好きな方と結婚してくれという事らしい。
それは良かった。僕には正吾さんが居るから、久我くんがもし他の人と結婚してくれるなら本当に助かる。
久我君のお父さんは大喜びでその婚約に応じ、僕に心底惚れていたらしい久我くんは反発した。でも結婚は自分だけの事ではない。
会社の将来を考えると番が居る傷物オメガを略奪婚をするよりも、大きな会社の社長令息や令嬢を伴侶に貰った方が良いということは言わずもがなだった。そして、僕の心が自分に無い事も本人が一番良く解っていた。
僕は既に受け取ってしまったからと、クラファンから受け取ったお金を慰謝料として久我くんに払おうとしたが、それは当然拒否された。
向こうの言い分としては、警察の警告を無視して勝手に現場に入った久我くんが100%悪いからだという事だった。でもそれじゃあ僕の気持ちが済まない。
結局、久我くんの新しい婚約者に誤解されない様にと、久我くんが自力で歩ける様になるまではお手伝いさんを雇う事となり、その代金だけを僕が支払う事になった。
こうして、僕と久我くんとの同居は解消され、僕は解放された。
僕はまたオメガシェルターに戻った。2026年3月の事だった。
これで予定通り久我くんの父の会社を辞めて、4月からは内定していた小さな信用金庫に第二新卒として入社出来る。
良かった。これでまた平々凡々とした日常を送れる。
本当に良かった。そう思っていた僕に、予想外の所からサプライズがあった。
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