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親鳥たちの物語
159.哲也の行動原理(櫂視点)
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「ここまでは俺がアイツから聞いた話です。
僕が知っているのは、この後の凛空さんです。
凛空さんは僕を櫂さんだと思い込む事で、自分を保っているみたいです。
今発作が出ていなくて落ち着いている時の凛空さんは二十六歳の時に戻ってしまっているみたいです。」
「二十六…。」
「はい。この家を建てた時の年齢…で合ってますか?
だから、お二人にお子さんが居ることも忘れてしまっているみたいです。」
「蒼空の事を忘れてしまっているのか…。」
「そうですね。だから、還暦のあなたの事も解らないんですよ。
凛空さんの中では、あなたはまだ三十代ですからね。」
「なるほど…彼にとっては、俺は三十以上も年上の見知らぬアルファなのか…。」
「そうですね。でも、この薬を使ってツガイを強制解除して、あなたがまた凛空さんの項を噛めば、少なくとも再度あなたの事をツガイとして認識してくれるんじゃないでしょうか。
アルファにもフェロモンとやらがあるんでしょう?
そうすればきっと、あなたのフェロモンが凛空さんに届いて、凛空さんはあなたの事を思い出すんじゃないでしょうか。
まぁ思い出さないにしても、少なくとも拒絶反応は出なくなるし。ツガイのフェロモンはオメガを安心させる効果があるんでしょう?精神的にも安定するのではないでしょうか。」
「そう…だと、いいな…。」
「はい。ですから、睡眠薬を飲ませて凛空さんの意識が無い時に、薬を打ってあなたの精を注いでみるのはどうでしょうか?
起きている凛空さんに拒絶されながらするよりは良いのではと思います。」
「いや。待ってくれ。凛空の運命のツガイの行方を捜すという事は出来ないのか?
そんな騙し討ちみたいなことをしなくても、普通に運命のツガイに解除して貰えばいい。
一度は自首したんなら、凛空に対する罪悪感があるって事だろう?頼めば解除してくれるんじゃないか?」
「う~ん。これは僕の予想ですけど、多分彼は自分から逃げ出したんじゃなくて、アイツが隠したんじゃないかと思うんです。」
「アイツって、哲也か?」
「はい。」
「どうして?」
「??アイツの行動原理の理由は全部一つですよね?
あなたに…『自分の存在を刻み付けたいから。』」
「俺に『自分の存在を刻み付けたいから。』」
二人の声はシンクロしていた。
「そうです。運命のツガイが見つからない以上、柏木さんはこの薬を使ってツガイの解除をするしかない。
でも、この薬を打つたびに、アイツの事を思い出さずにはいられない。違いますか?」
「くそっ!!!!くそっ!このくそがぁ!!!!」
俺は我慢できずにソファーを殴りつけた。
僕が知っているのは、この後の凛空さんです。
凛空さんは僕を櫂さんだと思い込む事で、自分を保っているみたいです。
今発作が出ていなくて落ち着いている時の凛空さんは二十六歳の時に戻ってしまっているみたいです。」
「二十六…。」
「はい。この家を建てた時の年齢…で合ってますか?
だから、お二人にお子さんが居ることも忘れてしまっているみたいです。」
「蒼空の事を忘れてしまっているのか…。」
「そうですね。だから、還暦のあなたの事も解らないんですよ。
凛空さんの中では、あなたはまだ三十代ですからね。」
「なるほど…彼にとっては、俺は三十以上も年上の見知らぬアルファなのか…。」
「そうですね。でも、この薬を使ってツガイを強制解除して、あなたがまた凛空さんの項を噛めば、少なくとも再度あなたの事をツガイとして認識してくれるんじゃないでしょうか。
アルファにもフェロモンとやらがあるんでしょう?
そうすればきっと、あなたのフェロモンが凛空さんに届いて、凛空さんはあなたの事を思い出すんじゃないでしょうか。
まぁ思い出さないにしても、少なくとも拒絶反応は出なくなるし。ツガイのフェロモンはオメガを安心させる効果があるんでしょう?精神的にも安定するのではないでしょうか。」
「そう…だと、いいな…。」
「はい。ですから、睡眠薬を飲ませて凛空さんの意識が無い時に、薬を打ってあなたの精を注いでみるのはどうでしょうか?
起きている凛空さんに拒絶されながらするよりは良いのではと思います。」
「いや。待ってくれ。凛空の運命のツガイの行方を捜すという事は出来ないのか?
そんな騙し討ちみたいなことをしなくても、普通に運命のツガイに解除して貰えばいい。
一度は自首したんなら、凛空に対する罪悪感があるって事だろう?頼めば解除してくれるんじゃないか?」
「う~ん。これは僕の予想ですけど、多分彼は自分から逃げ出したんじゃなくて、アイツが隠したんじゃないかと思うんです。」
「アイツって、哲也か?」
「はい。」
「どうして?」
「??アイツの行動原理の理由は全部一つですよね?
あなたに…『自分の存在を刻み付けたいから。』」
「俺に『自分の存在を刻み付けたいから。』」
二人の声はシンクロしていた。
「そうです。運命のツガイが見つからない以上、柏木さんはこの薬を使ってツガイの解除をするしかない。
でも、この薬を打つたびに、アイツの事を思い出さずにはいられない。違いますか?」
「くそっ!!!!くそっ!このくそがぁ!!!!」
俺は我慢できずにソファーを殴りつけた。
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