上 下
150 / 329
箸休め

<蒼空の父>内見(櫂視点)2

しおりを挟む
「そうですね。私のオメガは凄く凛としていて芯が強い子なんです。
 ヘタレで先のステップに進むタイミングを上手く掴めない私をいつも優しくリードしてくれて、仕事で疲れて帰って来ても彼の笑顔を見るだけで癒されるんです。
 ちょっと暴走し過ぎちゃうところもあるんですけど、いつも私の身体を気遣ってくれて、私の為に何が出来るかを考えてくれて、私の事をとても大事に考えてくれている、凄くいい子ですよ。」

 もしや、先に進むステップを、蒼空の方が決めているのか…?という事は、本当に同意の元なんだな。


「そうなんだ。一日にどれくらい愛し合うの?」

「えっ!それは…一応一日一回までと決めています。相手の負担になるといけないので。」

 そうか、毎日愛し合っているのか。仲が良い様で何よりだ。


「へえ~君は優しいアルファなんだね。うちのはさ、大体一日最低三回はしてるんだ。もう歳だと言っても、アルファだから身体も丈夫だし、好き勝手させてもらってるよ。」

 コラ!俺の話はいい。もっと蒼空の話を聞かせてくれ。


「あっアルファだったんですか…それは凄いですね。確かにアルファなら、体力ありそうですね……。」(引きつり顔)


 ほら見ろ。正吾くんが引いているじゃないか。


「そうなんだよ。道具とかも使わないとね。もう最近はこっちの体力が持たなくて大変なんだ。
 君の地下オメガとのプレイでも道具とか使うの?」


 う~ん。それは聞きたい様な、聞きたくない様な…。


「そっそうなんですか…。えっとぉ…うちは全くそういうのはしてないんです。
 例え道具でも自分以外のものを彼の大切なところに触れさせたくないというか。
 すみません。ずっと気が付かなかったんですが私、人一倍独占欲が強いみたいで。」


 うんうん。蒼空の事をとても大切にしてくれているんだな。正吾くんは良いアルファだな。これなら安心して蒼空を任せられる。


「そうかぁ。そういう考え方もあるよね。いいなぁ~初心だねぇ。」

 お前もその考え方にシフトしてくれていいんだぞ。俺は別に合意の元でお前としている訳じゃないからな。


「はい。うちのオメガは私が初めてだったので、余りびっくりさせちゃう様な奇抜な事はしたくなくて、オーソドックスな感じです。」

 うんうん。良いことだ。


「オーソドックスねぇ~そうなの?でも君、隠してるけど多分ドSでしょ?」

 そっそうなのか?確かにちょっとそうなんじゃないかと思っていたが、実際はどうなんだろう。


「え…わかるんですか?」


「そりゃあ解るよ。快楽責め、いいよね。
 俺も自分の地下アルファを快楽責めにするの好きなんだ。」

 おい!監視カメラの映像を見てる事を匂わせるなよ。だから俺の事はいいってば。


「そっ、そうなんですか…。」(引き気味)

 ほら。正吾がまた引いている。


「そうそう。今もお留守番して貰ってるんだけどね。中にエネマグラ型のバイブを入れて来たんだ。
 きっと今頃イキ地獄を味わってて、早く俺に帰ってきて欲しいという考えで頭の中が一杯になっていると考えると、凄く征服欲が満たされない?」

「はぁ…。それは凄いですね。」

「だろう?君もいつかお仕置きでやってみるといいよ。」

 オイ!正吾に勧めるな!俺の蒼空がこんな目に遭うなんて、絶対にダメだぞ。


「いえ…自分は…。まぁ、機会がありましたら。」

 機会があっても、やっちゃダメだぞ。


「ははははははは。これ、サービス。今うちの子に使ってるのとお揃いだから。今日は君と話せてよかったよ。」

 コラ!なんてものを正吾に渡すんだ!正吾、使わないよな?俺の大事な一人息子の蒼空に使ったりしないよな?


「あっえっとぉ…ありがとうございます。」(絶対に蒼空に見つからない様に厳重にカギを締めて隠しておかなくては)


「じゃあ、ここ買う事にしたから。契約締結しに行こうか。」

「はい!ありがとうございます!」


 あー辛い!
 なんとか思考を保とうと意識しているが、もう辛すぎる。多分後はもう契約だけだろう。大事な話は大体聞けたはずだ。とにかく正吾君が蒼空を大切にしてくれているという事だけは伝わってきた。俺は理性を手放す事にした。
 

 もうひたすらイグ~~~と頭の中がスパークして、目の裏にチカチカと星が飛んでいる。俺はもう彼らの会話の中身なんてほとんど頭の中に入って来ていない。

 哲也、哲也、お願いだから早く帰ってきてくれ!!!もうこれ以上はイケない。辛い。
 辛すぎてもうイキたくないんだ!早く!早く帰ってきてくれ!!!!

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

記憶の欠片

藍白
BL
囚われたまま生きている。記憶の欠片が、夢か過去かわからない思いを運んでくるから、囚われてしまう。そんな啓介は、運命の番に出会う。 過去に縛られた自分を直視したくなくて目を背ける啓介だが、宗弥の想いが伝わるとき、忘れたい記憶の欠片が消えてく。希望が込められた記憶の欠片が生まれるのだから。 輪廻転生。オメガバース。 フジョッシーさん、夏の絵師様アンソロに書いたお話です。 kindleに掲載していた短編になります。今まで掲載していた本文は削除し、kindleに掲載していたものを掲載し直しました。 残酷・暴力・オメガバース描写あります。苦手な方は注意して下さい。 フジョさんの、夏の絵師さんアンソロで書いたお話です。 表紙は 紅さん@xdkzw48

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

幼馴染から離れたい。

June
BL
アルファの朔に俺はとってただの幼馴染であって、それ以上もそれ以下でもない。 だけどベータの俺にとって朔は幼馴染で、それ以上に大切な存在だと、そう気づいてしまったんだ。 βの谷口優希がある日Ωになってしまった。幼馴染でいられないとそう思った優希は幼馴染のα、伊賀崎朔から離れようとする。 誤字脱字あるかも。 最後らへんグダグダ。下手だ。 ちんぷんかんぷんかも。 パッと思いつき設定でさっと書いたから・・・ すいません。

極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました

白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。 あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。 そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。 翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。 しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。 ********** ●早瀬 果歩(はやせ かほ) 25歳、OL 元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。 ●逢見 翔(おうみ しょう) 28歳、パイロット 世界を飛び回るエリートパイロット。 ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。 翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……? ●航(わたる) 1歳半 果歩と翔の息子。飛行機が好き。 ※表記年齢は初登場です ********** webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です! 完結しました!

その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました

海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。 しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。 偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。 御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。 これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。 【7/27完結しました。読んでいただいてありがとうございました。】 【続編も8/17完結しました。】 「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785 ↑この続編は、R18の過激描写がありますので、苦手な方はご注意ください。

春風の香

梅川 ノン
BL
 名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。  母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。  そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。  雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。  自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。  雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。  3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。  オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。    番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!

夢見がちオメガ姫の理想のアルファ王子

葉薊【ハアザミ】
BL
四方木 聖(よもぎ ひじり)はちょっぴり夢見がちな乙女男子。 幼少の頃は父母のような理想の家庭を築くのが夢だったが、自分が理想のオメガから程遠いと知って断念する。 一方で、かつてはオメガだと信じて疑わなかった幼馴染の嘉瀬 冬治(かせ とうじ)は聖理想のアルファへと成長を遂げていた。 やがて冬治への恋心を自覚する聖だが、理想のオメガからは程遠い自分ではふさわしくないという思い込みに苛まれる。 ※ちょっぴりサブカプあり。全てアルファ×オメガです。

この噛み痕は、無効。

ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋 α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。 いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。 千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。 そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。 その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。 「やっと見つけた」 男は誰もが見惚れる顔でそう言った。

処理中です...