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暗転
91.罰と確認2(オメガ視点)
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一頻り僕の後腔に薬を塗りたくった正吾さんは、僕の足の先から少しずつ上に向かって身体の状態を確認し、傷を数えていった。
どんな些細な僕の変化も見逃さない様に、正吾さんは目を皿のように瞠って僕を凝視している。そんな風にじっくりと見られると、僕は穢れてしまった自分が更に恥ずかしくなって、凄く消えてしまいたくなる。
そして、変化があった個所を見つけると、ここに何をされたと正吾さんが僕に聞いてくる。
消えたと思っていたけれど足首の内側に微かに残っていた、縄で吊るされた時に付いた痕。
変態爺に嬲られる時に始終入れられていた極太ブジーのせいで、穴が少し大きくなってしまった僕の小さな陰茎。
媚薬と乳首クリップのせいで、少し黒ずんで大きくなってしまった乳首。
全て、変態爺が手配した調教師に付けられたものだと正直に答えた。
痕跡が見つかってしまっては、もう答えるしかなかった。
やがて、僕の身体の表面の確認は全て終わったのか、一旦手枷足枷を外してくれたかと思うと、正吾さんは何も言わずに僕をひっくり返し、また手枷足枷を付け直した。いきなりだったからびっくりした。
背中には、大きく盛り上がった一本鞭の痕と、細かい鞭の痕。
「首輪は外したか?」
「いえ。外されていません。」
「そうか。じゃあ、外して確認してもいい?」
「はい。大丈夫です。鍵はチェストの中に入っています。引っ越しで場所が変わっていなければ、まだそこにあるはずです。
「解った。ありがとう。今言った他には何をされた?」
他には。他には…。
男達のモノをしゃぶった事は言った方がいい?変態爺に尿を飲まされた事は?沢山の噛み痕やキスマークを付けられたことは?
迷ったが、そのどれも言えなかった。
「えっと。今話したので全部です。
あの。緊急避妊薬は飲ませて頂いていましたので、妊娠の可能性は低いと思います。」
「生でしたのか!」
「えっと…その…毎回では無いです。」
「何回?」
「えっと、多分二回?」
「そうか…。」
熱気が見えるんじゃないかと思える程の先ほどまでの憤怒は鳴りを潜め、正吾さんは逆に少し冷静になっている様だった。怒りが一周回って、逆に落ち着いてくれたんだろうか。
本当はそんなものではない。若いやつらは全く避妊をしてくれなかったし、客も破けちゃったぁ~もう生でしても一緒だからいいよね。とか言って、僕を押さえつけて生で事に及んだ人が二人もいたらしい。僕は覚えていないけれども、従業員の人が親切に教えてくれて、薬をくれた。
でも、変態爺以外には何もされていない事にしたい僕は、そういう事は全部正吾さんには言えない。
僕はあと何回正吾さんに嘘をついたら良いんだろう?
一つ隠し事が出来ると、それを取り繕う為に永遠に嘘を重ね続けなくてはならなくなる。いっそ、全部話した方がいい?
僕は、この二週間で十人もの男を受け入れちゃいましたって?
ダメだ。そんな事絶対言えない。これは僕が墓場まで持って行かなくてはならない秘密だ。
あ。そっか。僕はお墓には入れないんだった。死んだら東京湾にでもポイだった。
僕は正吾さんと同じお墓には、一生入れない。
なにも今じゃなくていいのに…こんな時にそんなことに気が付いちゃうなんて、もう、もう、辛いよ…。
僕は声を我慢することもせずに大声で泣いた。
手は台に固定された手枷に拘束されてしまっているので使えない。
涙も鼻水も下に流れ落ちるままに、革張りの十字台に透明なシミを作っていった。
正吾さんは、泣いている僕の頭を二~三回優しくなでると、僕の首輪を外し項を晒した。
どんな些細な僕の変化も見逃さない様に、正吾さんは目を皿のように瞠って僕を凝視している。そんな風にじっくりと見られると、僕は穢れてしまった自分が更に恥ずかしくなって、凄く消えてしまいたくなる。
そして、変化があった個所を見つけると、ここに何をされたと正吾さんが僕に聞いてくる。
消えたと思っていたけれど足首の内側に微かに残っていた、縄で吊るされた時に付いた痕。
変態爺に嬲られる時に始終入れられていた極太ブジーのせいで、穴が少し大きくなってしまった僕の小さな陰茎。
媚薬と乳首クリップのせいで、少し黒ずんで大きくなってしまった乳首。
全て、変態爺が手配した調教師に付けられたものだと正直に答えた。
痕跡が見つかってしまっては、もう答えるしかなかった。
やがて、僕の身体の表面の確認は全て終わったのか、一旦手枷足枷を外してくれたかと思うと、正吾さんは何も言わずに僕をひっくり返し、また手枷足枷を付け直した。いきなりだったからびっくりした。
背中には、大きく盛り上がった一本鞭の痕と、細かい鞭の痕。
「首輪は外したか?」
「いえ。外されていません。」
「そうか。じゃあ、外して確認してもいい?」
「はい。大丈夫です。鍵はチェストの中に入っています。引っ越しで場所が変わっていなければ、まだそこにあるはずです。
「解った。ありがとう。今言った他には何をされた?」
他には。他には…。
男達のモノをしゃぶった事は言った方がいい?変態爺に尿を飲まされた事は?沢山の噛み痕やキスマークを付けられたことは?
迷ったが、そのどれも言えなかった。
「えっと。今話したので全部です。
あの。緊急避妊薬は飲ませて頂いていましたので、妊娠の可能性は低いと思います。」
「生でしたのか!」
「えっと…その…毎回では無いです。」
「何回?」
「えっと、多分二回?」
「そうか…。」
熱気が見えるんじゃないかと思える程の先ほどまでの憤怒は鳴りを潜め、正吾さんは逆に少し冷静になっている様だった。怒りが一周回って、逆に落ち着いてくれたんだろうか。
本当はそんなものではない。若いやつらは全く避妊をしてくれなかったし、客も破けちゃったぁ~もう生でしても一緒だからいいよね。とか言って、僕を押さえつけて生で事に及んだ人が二人もいたらしい。僕は覚えていないけれども、従業員の人が親切に教えてくれて、薬をくれた。
でも、変態爺以外には何もされていない事にしたい僕は、そういう事は全部正吾さんには言えない。
僕はあと何回正吾さんに嘘をついたら良いんだろう?
一つ隠し事が出来ると、それを取り繕う為に永遠に嘘を重ね続けなくてはならなくなる。いっそ、全部話した方がいい?
僕は、この二週間で十人もの男を受け入れちゃいましたって?
ダメだ。そんな事絶対言えない。これは僕が墓場まで持って行かなくてはならない秘密だ。
あ。そっか。僕はお墓には入れないんだった。死んだら東京湾にでもポイだった。
僕は正吾さんと同じお墓には、一生入れない。
なにも今じゃなくていいのに…こんな時にそんなことに気が付いちゃうなんて、もう、もう、辛いよ…。
僕は声を我慢することもせずに大声で泣いた。
手は台に固定された手枷に拘束されてしまっているので使えない。
涙も鼻水も下に流れ落ちるままに、革張りの十字台に透明なシミを作っていった。
正吾さんは、泣いている僕の頭を二~三回優しくなでると、僕の首輪を外し項を晒した。
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