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暗転

90.十字台の本来の姿

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「蒼空、それは違うよ。そういう話ではない!蒼空でなければ意味がないんだ!
 なぜそんなことが解らないんだ?俺は、もう君だけがいいんだ!どうして伝わらない!!」


「でも、僕は正吾さんを騙そうとした不誠実なオメガです。
 それに、もう汚れてしまった…。

 正吾さんには、まっさらで純粋なオメガがふさわしいです。僕はもう正吾さんの番になるには相応しくない。」


「そんなこと、あるはずが無いだろう!
 言っただろう。俺はもう、今世は蒼空くん、君だけを愛すると誓ったんだ。

 自分以外の誰も知らない蒼空が可愛かったのは確かだ。俺もアルファだから、それは否定しない。
 でも、他の男の手垢が付いた位で、蒼空を手放すわけが無いだろう!

 俺がどんなに蒼空を愛しているか、その身体に教え込んでやる!

 今更他のオメガだと?そんなこと、二度と言えない身体にしてやる!」
 と俺は激昂し、蒼空を俵の様に運んで、ベッドに投げ飛ばした。

 そして、十字台にかかっていた布を一気に引き剥がした。


「これの存在は知っていたんだろう?
 今から本当の使い方を教えてやるよ。」


 俺は、全く使う予定が無かったから聞き流す様に聞いていた、物件の引き渡しの時の不動産会社からの説明を思い出しながら、十字台のロックを外しスライドさせて平に人を張り付けられる様に十字台を変形させた。


「待って!待って!!正吾さん!ごめんなさい!
ごめんなさい!僕、怖いです。お願いです。それはやめてください!」


「これはお仕置きだよ。怖くないと意味が無いだろう?」


 正吾は、蒼空の腕を持ってを引きずって、十字台の方に連れて行こうとしている。


「ごめんなさい!でも、お願いだから縛ったりしないで!
 ここで!ベッドでお願いします!それは怖いです!」


「悪いけど、抵抗されたら今は力を加減してあげられないから。
 こっちの方が怪我をさせないで済むと思うから。少し我慢して。」


 俺たちはあの雪がちらつく寒い冬の日に約束したはずだ。もう二度と自分を売ろうとしないと。

 俺を捨てた元婚約者の様に、自分との約束を破って他のアルファに抱かれる事を選ぶなんて。

 俺は絶対に自分を裏切らないオメガを欲していたのに。
 自分を裏切って他の男と関係を持った蒼空を俺はどうしても許せなかった。


「抵抗しません!
 僕、相手が正吾さんだったら、何をされても抵抗しません!」


「じゃあ別に括り付けられたって構わないだろ?」


「それは…それは…。
 ………はい。」

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