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世界恐慌
82.地下オメガの価値の査定2
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だが疑問もある。今金融危機が起きているのなら、七年間早く返済される現行のローン形態の方が、早く手元に資金が回収できて地下オークション側としては良いのでは?この提案の意図は?
と訝しむ正吾に対し、オークション側の担当者は返済期間を延ばすことで得られる地下オークション側の利点を挙げた:
一、月々の返済額を減らすことで債権者側の債務不履行の可能性を減らし、完済できる可能性を増やすことができる。
つまり、債権者が払えなくなって担保として地下オメガを受け取ったとしても、今は市場が飽和状態でそれを捌く先も無いし、その手間も面倒だし、今は既にデフォルトしちゃった人達の対応で人員不足で天手古舞でそれどころじゃないから、月々の返済を減らしてあげるから絶対にデフォルトするなよという事らしい。
二、元金均等返済はローン残高に対して利息がかかってくるという返済方式の為、返済期間が七年も伸びると、毎月の返済額が下がりとローン残高の減りもゆるやかになるせいで、オークション組織側が貰える利息の総額が増える。
今回の例だとこの先十九年間で、七十万円近くオークション側が貰える利息のトータルの金額が増える。
だから、正吾の毎月の返済額を減らすことは、オークション側にも利点があるらしい。なるほど一理ある。
正吾は致し方なく蒼空の査定に合意する事にした。期間は二週間。
日程は引っ越し期間に合わせてくれるらしい。
二週間はいくら何でも長すぎないかと正吾は粘ったが、前回の衰弱事件のせいで、蒼空は重点検査対象に指定されており、他の地下オメガは健康診断が終われば帰れるが、蒼空は採血の結果などが出て、隠れた疾病も無く、寿命など全て問題が無いと判断されてやっと家に帰せるらしい。
もし何か病気が見つかって価値を満たさなければ、その差額分の担保を差し出すまで蒼空は返せない。とゴミを見るような目で言われ、正吾に戦慄が走る。
もし万が一隠れた病気が見つかった場合にはどうなるんだ?と正吾は気が気でなかったが、どうやら親族などを担保に設定することも可能らしい。
今回住み替えのせいで不動産の方の担保がかなり安い物件に差し替えられるため、価値が暴落している人身売買に頼る正吾の身体のみの担保では二億四千万円には足りないらしい。おいおい。俺の価値、精々一億って正気か?
誰か親族にオメガやアルファ、女が居ればその人を追加で担保に設定して、蒼空を保釈することが出来るらしい。別にベータでも、臓器を売ればいいから健康であれば問題はないらしい。なんともヤクザらしいやり方だ。
正吾に兄弟は居ないし、担保に設定できる人は居ないのだが、担保に設定した人は別にすぐに連れて行かれるわけではなく、もし支払いが滞った時に売って金にするというだけだから、正吾がちゃんと毎月の返済を払い続ければ両親の名前を書いておけば問題はないと言う。
それに、優先順位はまずは蒼空を地下オークションに再度かけた金額、次点で不動産売却価格。
足りなければ正吾をアルファオークションにかけるか、強制労働で働かせるか、それでも足りなければ両親となる。
まぁ、今回で返済額は大幅に減って、それこそ会社が倒産でもしない限りは毎月の返済もボーナス払いも余裕だし、会社が倒産してもすぐ他の就職先が見つかる様なキラキラな経歴を持っている自覚もある。
万が一の事があっても、俺が死にもの狂いでアルファ風俗でも何でもして稼いで、どうしようもない時には健康なアルファの臓器を売れば、両親に迷惑をかける事もないだろうという試算だ。
確かにそれで蒼空を手元に戻せるのならば、一時的に両親の名前を書くくらいは問題は無い。俺が突発的な事故で死ななければだが。
とりあえず今は蒼空に二億四千万円の価値があると信じよう。俺の蒼空だ。無い訳ないはず。
正吾は、地下オメガの査定を承知した。時期は二月の第二週から。
あと一週間で、なんとしても引越しの準備を終わらせ、蒼空が帰って来るまでに家具の配置も全て済ませ、両親の新居見学の来訪も済ませ、それ以降家には誰も上げない様にしなくてはならない。なんとも忙しいスケジュールだ。
と訝しむ正吾に対し、オークション側の担当者は返済期間を延ばすことで得られる地下オークション側の利点を挙げた:
一、月々の返済額を減らすことで債権者側の債務不履行の可能性を減らし、完済できる可能性を増やすことができる。
つまり、債権者が払えなくなって担保として地下オメガを受け取ったとしても、今は市場が飽和状態でそれを捌く先も無いし、その手間も面倒だし、今は既にデフォルトしちゃった人達の対応で人員不足で天手古舞でそれどころじゃないから、月々の返済を減らしてあげるから絶対にデフォルトするなよという事らしい。
二、元金均等返済はローン残高に対して利息がかかってくるという返済方式の為、返済期間が七年も伸びると、毎月の返済額が下がりとローン残高の減りもゆるやかになるせいで、オークション組織側が貰える利息の総額が増える。
今回の例だとこの先十九年間で、七十万円近くオークション側が貰える利息のトータルの金額が増える。
だから、正吾の毎月の返済額を減らすことは、オークション側にも利点があるらしい。なるほど一理ある。
正吾は致し方なく蒼空の査定に合意する事にした。期間は二週間。
日程は引っ越し期間に合わせてくれるらしい。
二週間はいくら何でも長すぎないかと正吾は粘ったが、前回の衰弱事件のせいで、蒼空は重点検査対象に指定されており、他の地下オメガは健康診断が終われば帰れるが、蒼空は採血の結果などが出て、隠れた疾病も無く、寿命など全て問題が無いと判断されてやっと家に帰せるらしい。
もし何か病気が見つかって価値を満たさなければ、その差額分の担保を差し出すまで蒼空は返せない。とゴミを見るような目で言われ、正吾に戦慄が走る。
もし万が一隠れた病気が見つかった場合にはどうなるんだ?と正吾は気が気でなかったが、どうやら親族などを担保に設定することも可能らしい。
今回住み替えのせいで不動産の方の担保がかなり安い物件に差し替えられるため、価値が暴落している人身売買に頼る正吾の身体のみの担保では二億四千万円には足りないらしい。おいおい。俺の価値、精々一億って正気か?
誰か親族にオメガやアルファ、女が居ればその人を追加で担保に設定して、蒼空を保釈することが出来るらしい。別にベータでも、臓器を売ればいいから健康であれば問題はないらしい。なんともヤクザらしいやり方だ。
正吾に兄弟は居ないし、担保に設定できる人は居ないのだが、担保に設定した人は別にすぐに連れて行かれるわけではなく、もし支払いが滞った時に売って金にするというだけだから、正吾がちゃんと毎月の返済を払い続ければ両親の名前を書いておけば問題はないと言う。
それに、優先順位はまずは蒼空を地下オークションに再度かけた金額、次点で不動産売却価格。
足りなければ正吾をアルファオークションにかけるか、強制労働で働かせるか、それでも足りなければ両親となる。
まぁ、今回で返済額は大幅に減って、それこそ会社が倒産でもしない限りは毎月の返済もボーナス払いも余裕だし、会社が倒産してもすぐ他の就職先が見つかる様なキラキラな経歴を持っている自覚もある。
万が一の事があっても、俺が死にもの狂いでアルファ風俗でも何でもして稼いで、どうしようもない時には健康なアルファの臓器を売れば、両親に迷惑をかける事もないだろうという試算だ。
確かにそれで蒼空を手元に戻せるのならば、一時的に両親の名前を書くくらいは問題は無い。俺が突発的な事故で死ななければだが。
とりあえず今は蒼空に二億四千万円の価値があると信じよう。俺の蒼空だ。無い訳ないはず。
正吾は、地下オメガの査定を承知した。時期は二月の第二週から。
あと一週間で、なんとしても引越しの準備を終わらせ、蒼空が帰って来るまでに家具の配置も全て済ませ、両親の新居見学の来訪も済ませ、それ以降家には誰も上げない様にしなくてはならない。なんとも忙しいスケジュールだ。
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