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この世の地獄(蒼空の父)
X3.地下室には
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なぜならその男の顔は大学時代の自分にそっくりだったからである。
「この子はよく出来てると思わない?
三度目ならぬ十度目の正直。
この状態までもってくるのに結構時間かかったけど、大学時代のお前にそっくりだろ?
腕のいい整形医師に出会えたんだよ。口封じするのがもったいなかったなぁ。
もう一人くらい弄って貰ってから消せばよかった。後で後悔した位だ。」
櫂はとたんに自分を抱えているこの男が全くの別人に思えて、恐ろしくなった。もう声も出せない。
「まだ若いし、もうちょっと楽しめるかなと思ってたけどさ。
本物が手に入ったし、もうお前に全部バレちゃってて、お前に遠慮する必要もなくなったし、もういいよね。
明日処分してもらうよ。」
「……。処分って…なん、だよ。」
櫂はかろうじて声を絞り出せた。だがその震えはどうやっても隠せない。隠し様がない。
「うん?さっき行った地下オークションのアフターサービス。要らなくなった地下奴隷はまた引き取って処分してくれるんだ。
本物じゃないけど、お前の顔をした男を他の人間に触れさせるのは嫌だからさ。
転売するんじゃなくて、ちゃんと処分して貰おうと思って。」
人一人を殺める事を、なんでもない事の様に言うこの男は誰だ?
昔から若干腹黒い所はあったが、少なくともここまで他人の命をなんとも思っていない男ではなかったはずだ。
何が彼をここまで変えたんだ?それが自分の存在と自分への報われない恋情故だとはどうしても思いたくない櫂であった。
若い男は、自分の最後を悟った様だ。
しかし、その顔にはこれ以上苦しまなくていいという安堵が現れていた。
「処分って、お前。マジでなんなんだよ…。
昔はそんなんじゃなかっただろ?なんでこんなに変わっちまったんだよ…。」
「誰かさんが手に入らなかったからさ。拗らせちゃったぁ♡」
哲也の笑顔が逆にその異常性を際立たせる。
「拗らせちゃったぁ。じゃねぇよ。
……処分って、なんだよ。
殺すって事か?そんななら開放したらいいだろ?
こんなアルファっぽいベータ、誰も好き好んで手を出したりしねぇよ。」
「解ってないねぇ。地下オークションに偶に入ってくる本物のアルファや、アルファやオメガに見えるベータは貴重なんだよ。
小さい時から社交界に出入りしていたお前の若い時の顔も、当然人気があるに決まってんだろ?」
そんな事は知らない。知りたくもない。
「そんな酔狂な趣味なのはお前しかいねぇよ。
処分するって、冗談でもやめてくれよ。」
「別に冗談じゃないんだけどなぁ~。
だってみろよこの唇。俺が大学時代ずっと見つめてた、お前の唇そっくり。
唇だけは弄ってないんだぜ?天然でここまで似てるとかさ。奇跡だよな。」
「じゃあ尚の事やめてくれよ…。」
櫂はもう憔悴しきっていた。
「この子はよく出来てると思わない?
三度目ならぬ十度目の正直。
この状態までもってくるのに結構時間かかったけど、大学時代のお前にそっくりだろ?
腕のいい整形医師に出会えたんだよ。口封じするのがもったいなかったなぁ。
もう一人くらい弄って貰ってから消せばよかった。後で後悔した位だ。」
櫂はとたんに自分を抱えているこの男が全くの別人に思えて、恐ろしくなった。もう声も出せない。
「まだ若いし、もうちょっと楽しめるかなと思ってたけどさ。
本物が手に入ったし、もうお前に全部バレちゃってて、お前に遠慮する必要もなくなったし、もういいよね。
明日処分してもらうよ。」
「……。処分って…なん、だよ。」
櫂はかろうじて声を絞り出せた。だがその震えはどうやっても隠せない。隠し様がない。
「うん?さっき行った地下オークションのアフターサービス。要らなくなった地下奴隷はまた引き取って処分してくれるんだ。
本物じゃないけど、お前の顔をした男を他の人間に触れさせるのは嫌だからさ。
転売するんじゃなくて、ちゃんと処分して貰おうと思って。」
人一人を殺める事を、なんでもない事の様に言うこの男は誰だ?
昔から若干腹黒い所はあったが、少なくともここまで他人の命をなんとも思っていない男ではなかったはずだ。
何が彼をここまで変えたんだ?それが自分の存在と自分への報われない恋情故だとはどうしても思いたくない櫂であった。
若い男は、自分の最後を悟った様だ。
しかし、その顔にはこれ以上苦しまなくていいという安堵が現れていた。
「処分って、お前。マジでなんなんだよ…。
昔はそんなんじゃなかっただろ?なんでこんなに変わっちまったんだよ…。」
「誰かさんが手に入らなかったからさ。拗らせちゃったぁ♡」
哲也の笑顔が逆にその異常性を際立たせる。
「拗らせちゃったぁ。じゃねぇよ。
……処分って、なんだよ。
殺すって事か?そんななら開放したらいいだろ?
こんなアルファっぽいベータ、誰も好き好んで手を出したりしねぇよ。」
「解ってないねぇ。地下オークションに偶に入ってくる本物のアルファや、アルファやオメガに見えるベータは貴重なんだよ。
小さい時から社交界に出入りしていたお前の若い時の顔も、当然人気があるに決まってんだろ?」
そんな事は知らない。知りたくもない。
「そんな酔狂な趣味なのはお前しかいねぇよ。
処分するって、冗談でもやめてくれよ。」
「別に冗談じゃないんだけどなぁ~。
だってみろよこの唇。俺が大学時代ずっと見つめてた、お前の唇そっくり。
唇だけは弄ってないんだぜ?天然でここまで似てるとかさ。奇跡だよな。」
「じゃあ尚の事やめてくれよ…。」
櫂はもう憔悴しきっていた。
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