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商都フォレスト編
3-18 菜奈とのお泊り?エリカさん襲来?
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調子に乗ってアルヴィナにあ~んしてみたのだが、肉の匂いに負けたのかパクッときた。
それを見て黙ってない奴らが後ろに並ぶ……。
「兄様、あ~~ん!」
「ん、龍馬……あ~ん」
並んだちみっこ2人を見て、リリーとベルが列に加わってきた……わんこたちは涎垂らしているよ。しかし、残念な事に残りのお肉は後3切れ……足らないのを察したベルが涙目になっている。
そしてお肉に我慢できなかったハティが列にやってきた。
「ク~~ン……」『ハティもお肉たべたいな~』
「アグッ!」
「「「しゃべった!」」」
あ~~~っ! ハティの奴やりやがった!
なるべく喋るなって言っておいたが、お肉の匂いに我慢できなかったのか、念話で【おねだり】スキルを使ったのだ。直で喰らった桜はよろめいて胸に手を当てている……「アグッ!」とか変な声出してたけど大丈夫かな? 俺が以前レベル1で喰らった時は動悸がして倒れそうだったくらいだ。
「龍馬君、今の何? 私、ハティちゃんに何かされたの? 動悸がするのだけど?」
「いや……ハティの【おねだり】スキルだ。特に害がある訳ではないのだけど……逆らえないよね」
料理部や一部の者はハティが念話で会話できることを知っていたが、初めて聞いた奴隷たちは驚いていた。美紀や友美は黒王狼が念話で喋っていたので、この世界の狼は喋るモノだと思っているようだけどね。
「桜……例のお好みを焼いた時の鉄板出すから、皆に追加頼めるか?」
「あ~あのでっかいミスリルの鉄板ね。いいわよ、あれなら一気に沢山焼けるしね」
俺たちが食事をしていたテーブルを寄せてもらい、5mほどの長方形の鉄板を出した。
ステーキハウスなどの鉄板焼きをイメージすれば分かり易いかな……菜奈と雅に頼まれて造ったヤツだ。
何度かこれでお好み焼きや、ホットケーキ、お肉などを焼いて役に立っている。
追加でお肉を20枚ほど出してあげたら、皆が喜んだ。どうやらエリスやクレアたちも食べたかったが遠慮していたみたいだ。当然のようにモコミチさんたち『うさうさ亭』の料理人も食べている。追加20枚じゃ足りなくなりそうだ。
「龍馬君、折角大きい鉄板出したのだから、私も一品作ろうかな……例の牛肉使って良い?」
「あっ! 茜ズルイ! あれ使われたら、オーク肉じゃ勝てないじゃない!」
料理人たちは俺が出した鉄板の魔道具が気になるようだ。
「モコミチさん、うちの嫁たちがいろいろすみません」
「いや……羨ましい……全員美しいとか……流石勇者様御一行です。それと、セバス殿、チロル嬢、勇者様のクランに身を寄せていたのですね。噂を聞いた時は驚いていたのですが、酷い事にならなくて良かったです」
やりたい放題の桜たちの事を謝ったのだけど、羨ましいとか言われてしまった。
どうやらチロルたちは、時々家族で食事に訪れていたようだ。チロルの評価が満点だったのは、その思い出もあったのかもしれないと考えると切なくなる。
茜はどうやらニンニク醤油のステーキを出すようだ……もう匂いだけで獣人娘は涎ダラダラだ。
「「「美味しいです!」」」
「ほら~! あの牛のお肉に勝てる訳ないじゃない! 茜に全部美味しいとこ持ってかれた!」
桜は茜に文句言っているが、マジで旨かった……元々俺はステーキのタレはニンニク醤油が好きだった。
茜のこの味はめちゃくちゃ好みだ……ウメ~!
どこか冷めた感じのするアルヴィナだが、今は尻尾がせわしなく振られている。ワンコたちもフリフリが止まらない……獣人は分かり易くていいな。アレクセイなんか3枚目を食べている。
よし、鉄板は5mもあるので、俺も一品作ろうかな。
大根をおろし金でスリスリし、大葉とレタスを出す。
俺が作ったのは、牛のおろしポン酢レタス包みだ。おろしポン酢は肉に合うように少し甘めにしてある。
「ルフィーナ、ちょとおいで。はい、ア~ン!」
肉より野菜好きなルフィーナの為に作ったのだが、どうだろうか?
「あ、ご主人様。あっさりしていて、これならいくらでも食べられます。凄く美味しいです♪」
「あの! 私も食べさせてもらえませんか……」
モコミチさんは俺の料理にも興味を示してくれた。
「どうぞ、モコミチさん……」
「これも美味しい! 初めて食べる味だが、凄くコクがあるのに、後味がさっぱりしている。紫蘇のアクセントが、また非常に良い」
そこに亜姫と沙希がルフィーナに大根サラダを持ってきた。サラダは亜姫と沙希が得意だったな。
「ルフィーナさん、これ食べてみて」
スティック状に切ってある大根、人参、きゅうり、玉ねぎスライスに紫蘇醤油のドレッシングが掛かっているあっさりサラダだ。
「美味しい!」
ルフィーナの長いうさ耳がピンと立って、丸っこい尻尾がフリフリされている……可愛い!
俺の会心の一品が大根サラダに負けたのは悔しいが、喜んでいる姿が見れたので良しとしよう。俺も頂いたが、野菜にシャリシャリ感があって、氷で冷やして一手間かけているのが分かった。
「どうです龍馬先輩? 美味しいですか?」
「うん。めっちゃ美味しい! シャリシャリ感が実に良い! 冷水を使ってこのシャリシャリを出したんだね? 何よりこのあっさりした紫蘇のドレッシングが旨い!」
「うん。お肉の後だから、このくらいあっさりしてた方が良いかなって思って」
料理部マジスゲー!
この後モコミチさんがいろいろレシピを教えてくれと言ってきたが、桜たちがバッサリやっていた。
「料理人の癖に、レシピを教えてくれとか、恥ずかしくないのですか? 目の前で実演調理して、実際に食べたのだから、大体理解できたでしょ? 後は自分たちで頑張って研究するのが、一流の料理人ではないのですか?」
「あはは、あなたの仰る通りだ……美しい上に料理上手、更に知的で高貴なその思想……本当にあなたが羨ましいですね」
俺にまた羨ましいと言ってきた……そんな目で桜を見てもあげないよ。
でも、桜や茜の言い分は解るのだけど……この世界には醤油無いよね……ちょっと可哀想かな。まぁ、王都で店舗を構えるなら、モコミチさんは商売敵になるので、レシピは教えられないか。
追加のお肉で皆のお腹が限界を超えたので帰ることにした。
御代を払おうとしたのだが―――
「今日はとても勉強になりました。教えて頂いたのはこちらですのでお代は頂けません! 王都に行かれると聞いてはいますが、機会があれば是非、またご来店くださいませ」
商都に来た際にはまた寄らせてもらうと約束し店を出た。
屋敷とログハウス内を転移魔法で移動する。レイラさんたちもお屋敷が良いと言うので、もうこの際連れてきてやった。ログハウス利用者は、バグナーさんとアレクセイの2名だけだ。
さて……俺は今菜奈と2人きりでログハウスタイプBをだして外泊中だ。
「菜奈、俺の覚悟はできているのだけど、一線を越えるのは菜奈の誕生日まで待てないか?」
菜奈の誕生日は後3週間ほどだ……誕生日を迎えてもまだ15歳なんだけどね。
「未来はまだ16歳になってないのに……」
「そういうんじゃないんだ。その日をフィリアたちとの結婚式の日にしようかと思っている。そしてまだ年齢が足りていない菜奈や未来や沙織たちの婚約披露宴も同時にしようかと思ってね……未来の時のように性処理中に我慢できなくなって的な感じじゃなく、菜奈の初めてはずっと思い出に残るような記念日にしたいんだ」
ずるい言い方だが、菜奈の性格は知り尽くしている……『記念日』とかにめっちゃ弱いのだ。
「待てます! 菜奈の誕生日に初めてをもらっていただけるのですよね?」
「うん……桜や美弥ちゃんの時のような演出も考えているよ。でも、いろいろ忙しくて今日は無理だから、菜奈が待てるなら、その日にどうかなって思っている」
「そういう事なら我慢できます。でも……フィリアや、美弥ちゃん先生とその日に結婚するのに、フィリアたちはどうするのですか?」
「2時間だけ菜奈との時間をもらおうと思っている。流石に結婚式当日に主役を置いて菜奈が独占はできないからね」
「美咲先輩や美紀さんや友美さんはどうされる予定なのです?」
「美咲は彼女次第かな、王都に着いたら正式にプロポーズしてみる……美紀と友美はまだ様子見かな……」
「兄様は、菜奈と結婚するのは本当のところどうなのですか? 嫌なのですか?」
「嫌じゃない。でも、向こうの世界にいたなら、結婚は拒んでいたと思う」
「どうしてですか?」
「向こうの世界では、俺にはもう家族は菜奈たち白石家しかいないんだ。兄妹なら喧嘩をしても書類上ずっと兄妹で居られるけど……夫婦になって喧嘩して別れたら、もう兄妹にも戻れない……何かあって家族がなくなるのが怖かったんだ」
「はぁ……喧嘩したからといって、菜奈が兄様から離れるはずないじゃないですか」
「そうだな……この世界にきてよりそれが実感できた……だから、俺も菜奈を離さない」
そういって菜奈を強く抱きしめた。
元々は家が隣同士で菜奈とは幼馴染の関係だった……小さい頃はよく俺の後ろをちょこちょこ付いてきて可愛いと思っていたものだ。両親を亡くし、白石家に引き取られてからは家族の1人として接するよう心掛けていたのだ。
「嬉しいです!」
「生まれてからずっと兄妹のように育って、実際に白石家に引き取られて兄妹になったけど、菜奈を他の男に嫁に出すとか、やっぱ無理……」
「兄様はどちらかというと独占欲強いですよね?」
「そうだな……アレクセイを隔離しているのもそのせいだしね。『エロい目で俺の嫁見んな!』って思ってしまう。でも他の男を愛している人を奪う気はないぞ? 好きな男がいる時点であまりその娘に興味が湧かない」
「処女厨全開ですね……アレクセイさん、ちょっとエッチですよね……アルヴィナを見る目がヤバいです。桜や未来、美咲先輩や友美さん、美紀さんの事も良く見ています」
「まぁ、男なら仕方がないと思うぞ……格技場の男子も同じ感じだっただろ? 俺もそうだしね」
「はい、男ってどうしようもないですね」
「菜奈はもうハーレムでも良いのか?」
「凄く嫌です! でも……拒否したら、菜奈だけあぶれちゃいます……それは絶対嫌です」
幼馴染から兄妹に、兄妹から恋人に、恋人からお嫁さんにと意識したら、性欲が高まってしまった。
抱きしめて菜奈の発情中の個人香を嗅いでしまったのも不味かったようだ。
「あの、兄様……今のこの高ぶりは鎮めてはくれるのですか?」
もう飲むタイプの抑止剤では、興奮し過ぎて鎮まりそうもないそうだ。
その夜、お互い照れつつも、手や口で慰め合って絶頂を迎え性欲を鎮め合った。
菜奈は俺の方からキスしてあげただけでも泣いて喜んだほどだった……両想いになれて夢が叶ったと。
翌日……今日は各自自由行動だ。
桜たち料理部は食材の調達に朝早く転移魔法で出て行った。ついでにログハウスに朝食を届けてくれるそうだ。
そういえば牛乳と卵を買う予約をしていたみたいだし、それを仕入れに行ったのかもね。
ミーニャは家族の下に行くようだし、他のD班の者も服の買い足しに向かうみたいだ。10億ジェニーも手に入ったのだから、追加で20万ずつ昨晩配ったのだ。何気に冬物の衣服が高いので、靴まで買えなかったと言っていたので追加で渡したのだ。足元は大事だからケチるなと言い含めてある。靴擦れで歩けないとかないように言ってあるが、理解してくれているのか怪しい。
俺はチロルのお母さんと対談だ……正直面倒なのでチロルを解放してあげたいが、そうすると他の者たちに示しがつかなくなってしまう。
エリカさんは、朝からやってきた……3名の同伴者を連れて……どうやらチロルの祖父母と姉のようだ。お姉さん可愛い……。
「今日500万ジェニー用意してきました……足らないのは十分承知していますが、手付け金だと思ってチロルを返していただけないでしょうか?」
どうやらこのお金は、チロルの姉が嫁ぎ先から借りてきたお金のようだ。エリカさんの実家は最下級貴族の男爵だ。エリカさんを買った為、もう余裕はない筈だ。
「返せとかいうのは違うでしょう? それにあなたたちにそれ以上の資金を作れるとも思えません……残金はどうされるのです? 踏み倒す気なのでしょうか? 残り2千5百万ジェニーですよ」
「足らない分はわたくしが終身奴隷として残ります……だからチロルを譲ってください!」
「お母様!!」
「エリカ!? それでは私たちが私財を売り払ってお前を買い取った意味がないではないか!」
姉は絶叫し、ジジとババは身勝手な娘に憤慨する。うわ~めっちゃ面倒だ……セバスも俺の横に居るけど、無表情で成り行きを見守っている。なんかこっちが悪者みたいな気分になってくる……。
「チロルのお姉さんの方ならともかく……39歳のエリカさんにそんな価値ないですよ? これまで使用人まかせでいた人が役に立つとは思えないですしね」
エリカさんにめっちゃ睨まれた! チロルのお姉さんには軽蔑された!
「旦那様……今のはちょっと……」
セバスにまでダメだしされた! だが、俺に救いの手を差し伸べる天使がいた!
「お母様、チロルはご主人様と一緒に居たいです! みんな優しいし、ご飯がとっても美味しいの!」
「「「チロル! あなた、従属の魔法で洗脳されてしまったの?」」」
失礼な! 俺、一切の制限してないし!
「エリカ奥様、旦那様は奴隷たちに一切の縛りを与えていません。唯一禁止したのは、勇者パーティーの情報の漏洩だけです」
最終的にチロルが俺の腰に縋り付いて帰りたくないとごねたために話がついた。ご飯とあのスライダー付のお風呂が気に入ってしまったようなのだ。
勿論賢いチロルの事だ。そんな子供じみた理由だけで判断していない。
『……マスター、チロルはセバスとマイヤーに、受けた恩は働いて返さないといけません。みたいなことを言われて、チロルも当然だと思ったようです。これまでのマイヤーたちの躾けが良かったのでしょう……頭の良い娘です』
タダ働きで良いのでここで働かせてくれとエリカさんが言ってきたが、却下だ。セバスたちがやりにくくなるし、クレアやセシルの気持ちを考えると無理な話だ。娘が心配なのは解るけど、この人絶対足手纏いになりそうなのだ……。
・日中は禁止するが、夜の会話は制限しない(但し居場所とかを聞き出すのは禁止)
・いつでもチロルに会いに来て良い
この2つを提示したら、渋々だが了承して帰って行った。
俺もチロルを連れて街に繰り出しますかね……。
明日には出発だ……忘れ物が無いようにしないとね。
それを見て黙ってない奴らが後ろに並ぶ……。
「兄様、あ~~ん!」
「ん、龍馬……あ~ん」
並んだちみっこ2人を見て、リリーとベルが列に加わってきた……わんこたちは涎垂らしているよ。しかし、残念な事に残りのお肉は後3切れ……足らないのを察したベルが涙目になっている。
そしてお肉に我慢できなかったハティが列にやってきた。
「ク~~ン……」『ハティもお肉たべたいな~』
「アグッ!」
「「「しゃべった!」」」
あ~~~っ! ハティの奴やりやがった!
なるべく喋るなって言っておいたが、お肉の匂いに我慢できなかったのか、念話で【おねだり】スキルを使ったのだ。直で喰らった桜はよろめいて胸に手を当てている……「アグッ!」とか変な声出してたけど大丈夫かな? 俺が以前レベル1で喰らった時は動悸がして倒れそうだったくらいだ。
「龍馬君、今の何? 私、ハティちゃんに何かされたの? 動悸がするのだけど?」
「いや……ハティの【おねだり】スキルだ。特に害がある訳ではないのだけど……逆らえないよね」
料理部や一部の者はハティが念話で会話できることを知っていたが、初めて聞いた奴隷たちは驚いていた。美紀や友美は黒王狼が念話で喋っていたので、この世界の狼は喋るモノだと思っているようだけどね。
「桜……例のお好みを焼いた時の鉄板出すから、皆に追加頼めるか?」
「あ~あのでっかいミスリルの鉄板ね。いいわよ、あれなら一気に沢山焼けるしね」
俺たちが食事をしていたテーブルを寄せてもらい、5mほどの長方形の鉄板を出した。
ステーキハウスなどの鉄板焼きをイメージすれば分かり易いかな……菜奈と雅に頼まれて造ったヤツだ。
何度かこれでお好み焼きや、ホットケーキ、お肉などを焼いて役に立っている。
追加でお肉を20枚ほど出してあげたら、皆が喜んだ。どうやらエリスやクレアたちも食べたかったが遠慮していたみたいだ。当然のようにモコミチさんたち『うさうさ亭』の料理人も食べている。追加20枚じゃ足りなくなりそうだ。
「龍馬君、折角大きい鉄板出したのだから、私も一品作ろうかな……例の牛肉使って良い?」
「あっ! 茜ズルイ! あれ使われたら、オーク肉じゃ勝てないじゃない!」
料理人たちは俺が出した鉄板の魔道具が気になるようだ。
「モコミチさん、うちの嫁たちがいろいろすみません」
「いや……羨ましい……全員美しいとか……流石勇者様御一行です。それと、セバス殿、チロル嬢、勇者様のクランに身を寄せていたのですね。噂を聞いた時は驚いていたのですが、酷い事にならなくて良かったです」
やりたい放題の桜たちの事を謝ったのだけど、羨ましいとか言われてしまった。
どうやらチロルたちは、時々家族で食事に訪れていたようだ。チロルの評価が満点だったのは、その思い出もあったのかもしれないと考えると切なくなる。
茜はどうやらニンニク醤油のステーキを出すようだ……もう匂いだけで獣人娘は涎ダラダラだ。
「「「美味しいです!」」」
「ほら~! あの牛のお肉に勝てる訳ないじゃない! 茜に全部美味しいとこ持ってかれた!」
桜は茜に文句言っているが、マジで旨かった……元々俺はステーキのタレはニンニク醤油が好きだった。
茜のこの味はめちゃくちゃ好みだ……ウメ~!
どこか冷めた感じのするアルヴィナだが、今は尻尾がせわしなく振られている。ワンコたちもフリフリが止まらない……獣人は分かり易くていいな。アレクセイなんか3枚目を食べている。
よし、鉄板は5mもあるので、俺も一品作ろうかな。
大根をおろし金でスリスリし、大葉とレタスを出す。
俺が作ったのは、牛のおろしポン酢レタス包みだ。おろしポン酢は肉に合うように少し甘めにしてある。
「ルフィーナ、ちょとおいで。はい、ア~ン!」
肉より野菜好きなルフィーナの為に作ったのだが、どうだろうか?
「あ、ご主人様。あっさりしていて、これならいくらでも食べられます。凄く美味しいです♪」
「あの! 私も食べさせてもらえませんか……」
モコミチさんは俺の料理にも興味を示してくれた。
「どうぞ、モコミチさん……」
「これも美味しい! 初めて食べる味だが、凄くコクがあるのに、後味がさっぱりしている。紫蘇のアクセントが、また非常に良い」
そこに亜姫と沙希がルフィーナに大根サラダを持ってきた。サラダは亜姫と沙希が得意だったな。
「ルフィーナさん、これ食べてみて」
スティック状に切ってある大根、人参、きゅうり、玉ねぎスライスに紫蘇醤油のドレッシングが掛かっているあっさりサラダだ。
「美味しい!」
ルフィーナの長いうさ耳がピンと立って、丸っこい尻尾がフリフリされている……可愛い!
俺の会心の一品が大根サラダに負けたのは悔しいが、喜んでいる姿が見れたので良しとしよう。俺も頂いたが、野菜にシャリシャリ感があって、氷で冷やして一手間かけているのが分かった。
「どうです龍馬先輩? 美味しいですか?」
「うん。めっちゃ美味しい! シャリシャリ感が実に良い! 冷水を使ってこのシャリシャリを出したんだね? 何よりこのあっさりした紫蘇のドレッシングが旨い!」
「うん。お肉の後だから、このくらいあっさりしてた方が良いかなって思って」
料理部マジスゲー!
この後モコミチさんがいろいろレシピを教えてくれと言ってきたが、桜たちがバッサリやっていた。
「料理人の癖に、レシピを教えてくれとか、恥ずかしくないのですか? 目の前で実演調理して、実際に食べたのだから、大体理解できたでしょ? 後は自分たちで頑張って研究するのが、一流の料理人ではないのですか?」
「あはは、あなたの仰る通りだ……美しい上に料理上手、更に知的で高貴なその思想……本当にあなたが羨ましいですね」
俺にまた羨ましいと言ってきた……そんな目で桜を見てもあげないよ。
でも、桜や茜の言い分は解るのだけど……この世界には醤油無いよね……ちょっと可哀想かな。まぁ、王都で店舗を構えるなら、モコミチさんは商売敵になるので、レシピは教えられないか。
追加のお肉で皆のお腹が限界を超えたので帰ることにした。
御代を払おうとしたのだが―――
「今日はとても勉強になりました。教えて頂いたのはこちらですのでお代は頂けません! 王都に行かれると聞いてはいますが、機会があれば是非、またご来店くださいませ」
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屋敷とログハウス内を転移魔法で移動する。レイラさんたちもお屋敷が良いと言うので、もうこの際連れてきてやった。ログハウス利用者は、バグナーさんとアレクセイの2名だけだ。
さて……俺は今菜奈と2人きりでログハウスタイプBをだして外泊中だ。
「菜奈、俺の覚悟はできているのだけど、一線を越えるのは菜奈の誕生日まで待てないか?」
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「そういうんじゃないんだ。その日をフィリアたちとの結婚式の日にしようかと思っている。そしてまだ年齢が足りていない菜奈や未来や沙織たちの婚約披露宴も同時にしようかと思ってね……未来の時のように性処理中に我慢できなくなって的な感じじゃなく、菜奈の初めてはずっと思い出に残るような記念日にしたいんだ」
ずるい言い方だが、菜奈の性格は知り尽くしている……『記念日』とかにめっちゃ弱いのだ。
「待てます! 菜奈の誕生日に初めてをもらっていただけるのですよね?」
「うん……桜や美弥ちゃんの時のような演出も考えているよ。でも、いろいろ忙しくて今日は無理だから、菜奈が待てるなら、その日にどうかなって思っている」
「そういう事なら我慢できます。でも……フィリアや、美弥ちゃん先生とその日に結婚するのに、フィリアたちはどうするのですか?」
「2時間だけ菜奈との時間をもらおうと思っている。流石に結婚式当日に主役を置いて菜奈が独占はできないからね」
「美咲先輩や美紀さんや友美さんはどうされる予定なのです?」
「美咲は彼女次第かな、王都に着いたら正式にプロポーズしてみる……美紀と友美はまだ様子見かな……」
「兄様は、菜奈と結婚するのは本当のところどうなのですか? 嫌なのですか?」
「嫌じゃない。でも、向こうの世界にいたなら、結婚は拒んでいたと思う」
「どうしてですか?」
「向こうの世界では、俺にはもう家族は菜奈たち白石家しかいないんだ。兄妹なら喧嘩をしても書類上ずっと兄妹で居られるけど……夫婦になって喧嘩して別れたら、もう兄妹にも戻れない……何かあって家族がなくなるのが怖かったんだ」
「はぁ……喧嘩したからといって、菜奈が兄様から離れるはずないじゃないですか」
「そうだな……この世界にきてよりそれが実感できた……だから、俺も菜奈を離さない」
そういって菜奈を強く抱きしめた。
元々は家が隣同士で菜奈とは幼馴染の関係だった……小さい頃はよく俺の後ろをちょこちょこ付いてきて可愛いと思っていたものだ。両親を亡くし、白石家に引き取られてからは家族の1人として接するよう心掛けていたのだ。
「嬉しいです!」
「生まれてからずっと兄妹のように育って、実際に白石家に引き取られて兄妹になったけど、菜奈を他の男に嫁に出すとか、やっぱ無理……」
「兄様はどちらかというと独占欲強いですよね?」
「そうだな……アレクセイを隔離しているのもそのせいだしね。『エロい目で俺の嫁見んな!』って思ってしまう。でも他の男を愛している人を奪う気はないぞ? 好きな男がいる時点であまりその娘に興味が湧かない」
「処女厨全開ですね……アレクセイさん、ちょっとエッチですよね……アルヴィナを見る目がヤバいです。桜や未来、美咲先輩や友美さん、美紀さんの事も良く見ています」
「まぁ、男なら仕方がないと思うぞ……格技場の男子も同じ感じだっただろ? 俺もそうだしね」
「はい、男ってどうしようもないですね」
「菜奈はもうハーレムでも良いのか?」
「凄く嫌です! でも……拒否したら、菜奈だけあぶれちゃいます……それは絶対嫌です」
幼馴染から兄妹に、兄妹から恋人に、恋人からお嫁さんにと意識したら、性欲が高まってしまった。
抱きしめて菜奈の発情中の個人香を嗅いでしまったのも不味かったようだ。
「あの、兄様……今のこの高ぶりは鎮めてはくれるのですか?」
もう飲むタイプの抑止剤では、興奮し過ぎて鎮まりそうもないそうだ。
その夜、お互い照れつつも、手や口で慰め合って絶頂を迎え性欲を鎮め合った。
菜奈は俺の方からキスしてあげただけでも泣いて喜んだほどだった……両想いになれて夢が叶ったと。
翌日……今日は各自自由行動だ。
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「足らない分はわたくしが終身奴隷として残ります……だからチロルを譲ってください!」
「お母様!!」
「エリカ!? それでは私たちが私財を売り払ってお前を買い取った意味がないではないか!」
姉は絶叫し、ジジとババは身勝手な娘に憤慨する。うわ~めっちゃ面倒だ……セバスも俺の横に居るけど、無表情で成り行きを見守っている。なんかこっちが悪者みたいな気分になってくる……。
「チロルのお姉さんの方ならともかく……39歳のエリカさんにそんな価値ないですよ? これまで使用人まかせでいた人が役に立つとは思えないですしね」
エリカさんにめっちゃ睨まれた! チロルのお姉さんには軽蔑された!
「旦那様……今のはちょっと……」
セバスにまでダメだしされた! だが、俺に救いの手を差し伸べる天使がいた!
「お母様、チロルはご主人様と一緒に居たいです! みんな優しいし、ご飯がとっても美味しいの!」
「「「チロル! あなた、従属の魔法で洗脳されてしまったの?」」」
失礼な! 俺、一切の制限してないし!
「エリカ奥様、旦那様は奴隷たちに一切の縛りを与えていません。唯一禁止したのは、勇者パーティーの情報の漏洩だけです」
最終的にチロルが俺の腰に縋り付いて帰りたくないとごねたために話がついた。ご飯とあのスライダー付のお風呂が気に入ってしまったようなのだ。
勿論賢いチロルの事だ。そんな子供じみた理由だけで判断していない。
『……マスター、チロルはセバスとマイヤーに、受けた恩は働いて返さないといけません。みたいなことを言われて、チロルも当然だと思ったようです。これまでのマイヤーたちの躾けが良かったのでしょう……頭の良い娘です』
タダ働きで良いのでここで働かせてくれとエリカさんが言ってきたが、却下だ。セバスたちがやりにくくなるし、クレアやセシルの気持ちを考えると無理な話だ。娘が心配なのは解るけど、この人絶対足手纏いになりそうなのだ……。
・日中は禁止するが、夜の会話は制限しない(但し居場所とかを聞き出すのは禁止)
・いつでもチロルに会いに来て良い
この2つを提示したら、渋々だが了承して帰って行った。
俺もチロルを連れて街に繰り出しますかね……。
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『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
二度目の異世界に来たのは最強の騎士〜吸血鬼の俺はこの世界で眷族(ハーレム)を増やす〜
北条氏成
ファンタジー
一度目の世界を救って、二度目の異世界にやってきた主人公は全能力を引き継いで吸血鬼へと転生した。
この物語は魔王によって人間との混血のハーフと呼ばれる者達が能力を失った世界で、最強種の吸血鬼が眷族を増やす少しエッチな小説です。
※物語上、日常で消費する魔力の補給が必要になる為、『魔力の補給(少しエッチな)』話を挟みます。嫌な方は飛ばしても問題はないかと思いますので更新をお待ち下さい。※
カクヨムで3日で修正という無理難題を突き付けられたので、今後は切り替えてこちらで投稿していきます!カクヨムで読んで頂いてくれていた読者の方々には大変申し訳ありません!!
*毎日投稿実施中!投稿時間は夜11時~12時頃です。*
※本作は眷族の儀式と魔力の補給というストーリー上で不可欠な要素が発生します。性描写が苦手な方は注意(魔力の補給が含まれます)を読まないで下さい。また、ギリギリを攻めている為、BAN対策で必然的に同じ描写が多くなります。描写が単調だよ? 足りないよ?という場合は想像力で補って下さい。できる限り毎日更新する為、話数を切って千文字程度で更新します。※
表紙はAIで作成しました。ヒロインのリアラのイメージです。ちょっと過激な感じなので、運営から言われたら消します!
平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。
応援していただけたら執筆の励みになります。
《俺、貸します!》
これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ)
ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非!
「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」
この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。
しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。
レベル35と見せかけているが、本当は350。
水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。
あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。
それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。
リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。
その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。
あえなく、追放されてしまう。
しかし、それにより制限の消えたヨシュア。
一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。
その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。
まさに、ヨシュアにとっての天職であった。
自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。
生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。
目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。
元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。
そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。
一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。
ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。
そのときには、もう遅いのであった。
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