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第一部 -はじめまして。芽依ちゃん-
第1話
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あの頃見えてた綺麗な夜空はもう私の目には汚く霞んで映る。
君が綺麗だと言ってくれたものすべてさえ、私には霞んで、汚く見えるの。
"ごめんなさい、ありがとう。"
でもね?君だけが私の霞んだ視界に
太陽のように眩しかったこと今でも忘れない。
「君を追いかけて。」 -第1話-
2014年6月。
「芽依、…ご飯は?」
母の声が控えめなノックの後に聞こえてくる。私は徐に立ち上がりシワだらけの制服を着た。
そしてヘッドホンをつけて、シンプルな学生鞄を肩にかけ部屋を出る。
母は私の姿を捉えるとハッとして目を逸らす。
「いい。」
小さく一言。母を拒絶し、私は家を出た。太陽の光が眩しくて私は鬱陶しそうに舌打ちする
何時からだっけ、晴天が嫌いになったの。
人が溢れかえる駅に足を踏み入れる
気持ちが、悪かった。とても。
人間の悪意や甘ったるい善意がごちゃ混ぜになって私の中身を掻き乱すように、
私は吐き気がこみ上げてくるのを感じ、思わずふらっと倒れかけた、その時。
「大丈夫?」
優しい声が耳元で聞こえる。ふわりとしたカモミールのような花の香りが鼻腔をくすぐる。不意にも落ち着く居場所だと感じたのだ。地面に体を打ち付けていたはずの今。私は見知らぬ男の人に抱き抱えられていた。人混みを抜け出し、駅の入り口まで戻れば人は疎らだった
やっと朦朧とする意識が体にスッと馴染むように感じる。
ああ、私はまだ生きている。
そして途端に今の現状を察した。
見知らぬ男の人に抱き抱えられていたということを。
視線をあげれば心配そうな相手と目が合う。彼は黒髪だった。目は吸い込まれそうな紺色に私は見えた。
美しい、なんて私は直感で感じたけどそういう場合じゃない。
我に返って彼の腕から降りる
「…すみません、」
一言謝ると頭を下げてすぐさま反対側にかけていく。全速力で駆けていく。
ああ、彼はきっと戸惑っているに違いない。そう思いながらも必死に私は走り抜ける
何故か落ち着かない心臓が頭を揺らすように鳴り響くのが嫌で
ヘッドホンを再びつけた。
最悪な出会いだった。
けど
これが私の運命を変える最高の出会いとなることを
私はこの時。知る由もなかった
君が綺麗だと言ってくれたものすべてさえ、私には霞んで、汚く見えるの。
"ごめんなさい、ありがとう。"
でもね?君だけが私の霞んだ視界に
太陽のように眩しかったこと今でも忘れない。
「君を追いかけて。」 -第1話-
2014年6月。
「芽依、…ご飯は?」
母の声が控えめなノックの後に聞こえてくる。私は徐に立ち上がりシワだらけの制服を着た。
そしてヘッドホンをつけて、シンプルな学生鞄を肩にかけ部屋を出る。
母は私の姿を捉えるとハッとして目を逸らす。
「いい。」
小さく一言。母を拒絶し、私は家を出た。太陽の光が眩しくて私は鬱陶しそうに舌打ちする
何時からだっけ、晴天が嫌いになったの。
人が溢れかえる駅に足を踏み入れる
気持ちが、悪かった。とても。
人間の悪意や甘ったるい善意がごちゃ混ぜになって私の中身を掻き乱すように、
私は吐き気がこみ上げてくるのを感じ、思わずふらっと倒れかけた、その時。
「大丈夫?」
優しい声が耳元で聞こえる。ふわりとしたカモミールのような花の香りが鼻腔をくすぐる。不意にも落ち着く居場所だと感じたのだ。地面に体を打ち付けていたはずの今。私は見知らぬ男の人に抱き抱えられていた。人混みを抜け出し、駅の入り口まで戻れば人は疎らだった
やっと朦朧とする意識が体にスッと馴染むように感じる。
ああ、私はまだ生きている。
そして途端に今の現状を察した。
見知らぬ男の人に抱き抱えられていたということを。
視線をあげれば心配そうな相手と目が合う。彼は黒髪だった。目は吸い込まれそうな紺色に私は見えた。
美しい、なんて私は直感で感じたけどそういう場合じゃない。
我に返って彼の腕から降りる
「…すみません、」
一言謝ると頭を下げてすぐさま反対側にかけていく。全速力で駆けていく。
ああ、彼はきっと戸惑っているに違いない。そう思いながらも必死に私は走り抜ける
何故か落ち着かない心臓が頭を揺らすように鳴り響くのが嫌で
ヘッドホンを再びつけた。
最悪な出会いだった。
けど
これが私の運命を変える最高の出会いとなることを
私はこの時。知る由もなかった
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