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2章
45.一度ならず何度も
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ジークフリートが言うには、馬の中にも生まれつき特殊能力を持つ馬がいるらしい。
身体能力に優れた馬、耳が良く遠くの音も拾うことのできる馬、乗っている者の能力を上げる馬、なんて馬もいるらしい。
アルティーティたちが乗っていた馬には、そういった能力はない。
聞けば遊撃部隊で特殊能力のある馬はジークフリートの馬しかいない。それくらい希少な馬だそうだ。
ちなみに、彼の馬の能力は『魔力増幅』。
文字通り、乗っている主人の魔力を増幅させる、魔法を使うジークフリートにぴったりな能力である。
「……ということは、茶系以外の馬は特殊能力がある、ということですか?」
ヴィクターの問いにジークフリートはうなずいた。
「そうだ。白馬、赤馬。特殊能力がある代表的なのはこのふたつだが、稀に黒い馬……黒馬がいる。こいつは別格だ。騎士なら誰もが欲しがる。だが俺は乗ってるやつを見たことがない」
見たことがない?
「数が少ないんでしょうか?」
「それもあるが……他の馬は憐れみで主人以外の人間を選ぶこともあるが、黒馬は気性が荒すぎて主人以外を認めない。妥協がないからこそ誰も乗せずに一生を終えることもあるとか」
皆に人気がある。妥協を許さない。そして、誰も選ばず一生を終える。
少し隊長に似てる、などと何気なく思ったアルティーティは、慌てて首を振った。
どうも最近、いつのまにかジークフリートのことを考えてしまっている気がする。
またうっかり妄想に任せて、変なことを口走りかねない。
(一体何を考えてるのわたし……そ、そうだ! 今は馬のことを考えなきゃ!)
黒馬は誰もが羨むほどの特殊能力の持ち主。ということは黒馬は目立つということだ。
女だとバレたくないアルティーティにとって、黒馬に選ばれることは極力避けたい。
よし、黒馬以外に選ばれるならなんでもいい。どんとこいだ。
神妙な顔をしてうなずいているアルティーティに、ジークフリートはかすかに口端を上げた。
「まぁ、黒馬に選ばれるより誰にも選ばれない可能性のほうが高いからな。そういう馬がいる、程度に考えておけ」
「は、ハイっ」
ふたりの返事に満足そうにうなずくと、ジークフリートは歩き出した。
「なあ、アルト。どっちが先に選ばれるか勝負しようぜ?」
再び歩き出したヴィクターに、軽く小突かれる。
出たよ勝負。
包帯を初めて巻き直した日から毎日、彼はアルティーティに勝負を仕掛けて来た。
といっても、武器を持ち出すような勝負ではなく、やれ「食堂に早く着いた方が勝ち」だの「朝早く訓練所に着いた方が勝ち」だの「早く食え方が勝ち」だの、喧嘩の日に比べたら可愛い勝負ばかりだ。
可愛いとはいえ、毎日何個も勝負をしてたらさすがに面倒にもなってくる。
例によってアルティーティは、歩きながらもげんなりとして首を横に振った。
「えーもう勝負はいいって。ヴィクターの連戦連勝じゃん」
「まぁな。もうオメェには負けねぇよ」
「ハイハイそうですか……ってうわっ!?」
軽くあしらうつもりで手を横に振ったその時、アルティーティは前につんのめった。
がくんっ、と身体が急激に傾き──何かに抱き止められる。
覚えのある力強い腕と、一度嗅いだことのある匂い。瞬時にアルティーティの頬が熱を持つのがわかった。
「大丈夫か?」
頭上からかけられた声は、紛れもなくジークフリートのものだ。
悲鳴が聞こえてすぐに、片腕を差し出してくれたのだろう。優しい声音に若干の焦りが含まれている。
しかし今のアルティーティには、彼の声色の変化を聞き分けるほどの余裕はない。
「……ハ……ハイ……っ!」
「この辺りは舗装されてない。気をつけろ」
「ハイっ! き、きききをつけますっ!」
目を白黒させながら返事をすると、頭上で彼がふっと笑ったような気配がした。
ふわり、と鼻腔をくすぐるような笑いに、アルティーティの頬はさらに赤みを増す。
一度ならず二度、いや何度も助けられてしまった。
こうも唐突に優しさを向けられるとどうしていいか分からなくなる。心臓が苦しいほどに早鐘を打ちつけてくる。
なぜそうなるのかは分からない。やはりなまじ顔がいいからだろうか。転んで抱えられて、恥ずかしいからだろうか。こんなふうになるのは、自分だけなのだろうか。
(か、顔……下向いてて良かった……)
角度的にジークフリートにもヴィクターにも、アルティーティの顔が真っ赤に染まっているのは見えなかっただろう。
隊服の汚れを払うフリをして、アルティーティは顔の熱が冷めるのを待った。
「……ったく、気をつけろよ」
「う、うん、ご、ごめん」
ヴィクターもやや呆れ顔だ。指摘してこないということは、顔色は元通りになったのだろうか。案外人の顔を気にしないタチなのかもしれない。
見られてたら危なかった。ヴィクターなら「なんで赤くなってるんだ?」と、しつこく絡んできそうだ。
などと思いながら歩いていると、不意にジークフリートが立ち止まった。
「……隊長?」
「……変だな。出迎えの厩舎係がいない」
そういえば、とアルティーティは周りを見渡した。
思えば舗装が途切れたあたりから、厩舎場の敷地に入っていたのだろう。
馬の姿がいくつか確認できるが、彼の言う出迎えどころか、世話をしている厩舎係も見当たらない。放牧中にしてもおかしい。
ヴィクターの「とりあえず厩舎に行ってみませんか?」との提案に、ジークフリートはうなずき、一番大きな厩舎に向け歩き始めた。
歩き始めてしばらく、誰かの声が聞こえてきた。何を言っているのか分からない。
厩舎に近づくにつれ、その声は大きくなる。
「やめてください! この馬だけは! この馬だけはダメなんです!」
「黙れ! 厩舎係風情が! 手綱をよこせ! この黒馬は伯爵家嫡男のこの僕にこそ相応わしいんだ!」
厩舎係だろうか。黒馬を連れた少女と男が揉み合っているようだ。
薄い茶髪の意地の悪そうな顔をした男が、なにやら喚きながら、金髪ポニーテールの少女から黒馬の手綱を奪い取ろうとしている。
彼の手には、イラついたように振り回される鞭が見えた。
黒馬は、戸惑うようにその場で足踏みをしたりブルル、と鼻をしきりに鳴らしていた。角度によってまばゆく光る艶やかな毛並みが、世話の丁寧さを物語っている。
「あれが黒馬……でもなんか様子がおかしいですね」
「あンの野郎……」
「ヴィクター、知ってるの?」
「ああ。見ての通りのクソ野郎だ」
ヴィクターはギリ、と歯軋りをしながら強く答えた。
たしかに、偉そうな口調といい態度といい、いい人とは到底言えなさそうだ。真っ白な隊服も、その男が身につけてると皮肉にしか見えなかった。
(白ってどこの隊服だっけ?)
騎士になれるならどこでも、と考えていたアルティーティには男の所属がどこだかわからない。ただ口ぶりから貴族かつ騎士で、自分と同じ新人だろうということはわかった。
なかなか手綱を離さない少女に耐えかねたのだろう。男は手にした鞭を振り上げると、彼女の手に向けて振り下ろした。
「危ない!」
とっさにアルティーティは彼女と男の間に入る。鞭が背中に叩きつけられる痛みに、ぎゅっと目をつむった──が、痛みは全くない。
それどころか、またも逞しい腕に背後から抱きかかえられていた。
言うまでもない、ジークフリートだ。彼もまた、少女とアルティーティを守るために動いていた。
お前が飛び出すことはもう分かりきってたからな、とばかりの深いため息がうなじにかかり、アルティーティはびくりと体を震わせる。
素早く動けるはずなのに、ジークフリートの腕の中だともがくことすらできなくなる。再び顔が赤くなるのをアルティーティは感じた。
一方、ヴィクターも鞭を振り上げた男の腕をがっしりと捕まえていた。
「オメェ変わってねぇな。思い通りにならないからってクソみてぇな駄々こねはやめろ」
ヴィクターの声に、男は驚き振り向いた。
と思いきや、すぐに嫌らしい笑みを浮かべる。その目には憎しみと蔑みの色がどろりと宿った。
「あれぇ? おやおやぁ? 君はもしかして、ヴィクター君じゃないかなぁ?」
ねっとりと嫌味ったらしく、男はわざとらしく大きな声を上げた。
身体能力に優れた馬、耳が良く遠くの音も拾うことのできる馬、乗っている者の能力を上げる馬、なんて馬もいるらしい。
アルティーティたちが乗っていた馬には、そういった能力はない。
聞けば遊撃部隊で特殊能力のある馬はジークフリートの馬しかいない。それくらい希少な馬だそうだ。
ちなみに、彼の馬の能力は『魔力増幅』。
文字通り、乗っている主人の魔力を増幅させる、魔法を使うジークフリートにぴったりな能力である。
「……ということは、茶系以外の馬は特殊能力がある、ということですか?」
ヴィクターの問いにジークフリートはうなずいた。
「そうだ。白馬、赤馬。特殊能力がある代表的なのはこのふたつだが、稀に黒い馬……黒馬がいる。こいつは別格だ。騎士なら誰もが欲しがる。だが俺は乗ってるやつを見たことがない」
見たことがない?
「数が少ないんでしょうか?」
「それもあるが……他の馬は憐れみで主人以外の人間を選ぶこともあるが、黒馬は気性が荒すぎて主人以外を認めない。妥協がないからこそ誰も乗せずに一生を終えることもあるとか」
皆に人気がある。妥協を許さない。そして、誰も選ばず一生を終える。
少し隊長に似てる、などと何気なく思ったアルティーティは、慌てて首を振った。
どうも最近、いつのまにかジークフリートのことを考えてしまっている気がする。
またうっかり妄想に任せて、変なことを口走りかねない。
(一体何を考えてるのわたし……そ、そうだ! 今は馬のことを考えなきゃ!)
黒馬は誰もが羨むほどの特殊能力の持ち主。ということは黒馬は目立つということだ。
女だとバレたくないアルティーティにとって、黒馬に選ばれることは極力避けたい。
よし、黒馬以外に選ばれるならなんでもいい。どんとこいだ。
神妙な顔をしてうなずいているアルティーティに、ジークフリートはかすかに口端を上げた。
「まぁ、黒馬に選ばれるより誰にも選ばれない可能性のほうが高いからな。そういう馬がいる、程度に考えておけ」
「は、ハイっ」
ふたりの返事に満足そうにうなずくと、ジークフリートは歩き出した。
「なあ、アルト。どっちが先に選ばれるか勝負しようぜ?」
再び歩き出したヴィクターに、軽く小突かれる。
出たよ勝負。
包帯を初めて巻き直した日から毎日、彼はアルティーティに勝負を仕掛けて来た。
といっても、武器を持ち出すような勝負ではなく、やれ「食堂に早く着いた方が勝ち」だの「朝早く訓練所に着いた方が勝ち」だの「早く食え方が勝ち」だの、喧嘩の日に比べたら可愛い勝負ばかりだ。
可愛いとはいえ、毎日何個も勝負をしてたらさすがに面倒にもなってくる。
例によってアルティーティは、歩きながらもげんなりとして首を横に振った。
「えーもう勝負はいいって。ヴィクターの連戦連勝じゃん」
「まぁな。もうオメェには負けねぇよ」
「ハイハイそうですか……ってうわっ!?」
軽くあしらうつもりで手を横に振ったその時、アルティーティは前につんのめった。
がくんっ、と身体が急激に傾き──何かに抱き止められる。
覚えのある力強い腕と、一度嗅いだことのある匂い。瞬時にアルティーティの頬が熱を持つのがわかった。
「大丈夫か?」
頭上からかけられた声は、紛れもなくジークフリートのものだ。
悲鳴が聞こえてすぐに、片腕を差し出してくれたのだろう。優しい声音に若干の焦りが含まれている。
しかし今のアルティーティには、彼の声色の変化を聞き分けるほどの余裕はない。
「……ハ……ハイ……っ!」
「この辺りは舗装されてない。気をつけろ」
「ハイっ! き、きききをつけますっ!」
目を白黒させながら返事をすると、頭上で彼がふっと笑ったような気配がした。
ふわり、と鼻腔をくすぐるような笑いに、アルティーティの頬はさらに赤みを増す。
一度ならず二度、いや何度も助けられてしまった。
こうも唐突に優しさを向けられるとどうしていいか分からなくなる。心臓が苦しいほどに早鐘を打ちつけてくる。
なぜそうなるのかは分からない。やはりなまじ顔がいいからだろうか。転んで抱えられて、恥ずかしいからだろうか。こんなふうになるのは、自分だけなのだろうか。
(か、顔……下向いてて良かった……)
角度的にジークフリートにもヴィクターにも、アルティーティの顔が真っ赤に染まっているのは見えなかっただろう。
隊服の汚れを払うフリをして、アルティーティは顔の熱が冷めるのを待った。
「……ったく、気をつけろよ」
「う、うん、ご、ごめん」
ヴィクターもやや呆れ顔だ。指摘してこないということは、顔色は元通りになったのだろうか。案外人の顔を気にしないタチなのかもしれない。
見られてたら危なかった。ヴィクターなら「なんで赤くなってるんだ?」と、しつこく絡んできそうだ。
などと思いながら歩いていると、不意にジークフリートが立ち止まった。
「……隊長?」
「……変だな。出迎えの厩舎係がいない」
そういえば、とアルティーティは周りを見渡した。
思えば舗装が途切れたあたりから、厩舎場の敷地に入っていたのだろう。
馬の姿がいくつか確認できるが、彼の言う出迎えどころか、世話をしている厩舎係も見当たらない。放牧中にしてもおかしい。
ヴィクターの「とりあえず厩舎に行ってみませんか?」との提案に、ジークフリートはうなずき、一番大きな厩舎に向け歩き始めた。
歩き始めてしばらく、誰かの声が聞こえてきた。何を言っているのか分からない。
厩舎に近づくにつれ、その声は大きくなる。
「やめてください! この馬だけは! この馬だけはダメなんです!」
「黙れ! 厩舎係風情が! 手綱をよこせ! この黒馬は伯爵家嫡男のこの僕にこそ相応わしいんだ!」
厩舎係だろうか。黒馬を連れた少女と男が揉み合っているようだ。
薄い茶髪の意地の悪そうな顔をした男が、なにやら喚きながら、金髪ポニーテールの少女から黒馬の手綱を奪い取ろうとしている。
彼の手には、イラついたように振り回される鞭が見えた。
黒馬は、戸惑うようにその場で足踏みをしたりブルル、と鼻をしきりに鳴らしていた。角度によってまばゆく光る艶やかな毛並みが、世話の丁寧さを物語っている。
「あれが黒馬……でもなんか様子がおかしいですね」
「あンの野郎……」
「ヴィクター、知ってるの?」
「ああ。見ての通りのクソ野郎だ」
ヴィクターはギリ、と歯軋りをしながら強く答えた。
たしかに、偉そうな口調といい態度といい、いい人とは到底言えなさそうだ。真っ白な隊服も、その男が身につけてると皮肉にしか見えなかった。
(白ってどこの隊服だっけ?)
騎士になれるならどこでも、と考えていたアルティーティには男の所属がどこだかわからない。ただ口ぶりから貴族かつ騎士で、自分と同じ新人だろうということはわかった。
なかなか手綱を離さない少女に耐えかねたのだろう。男は手にした鞭を振り上げると、彼女の手に向けて振り下ろした。
「危ない!」
とっさにアルティーティは彼女と男の間に入る。鞭が背中に叩きつけられる痛みに、ぎゅっと目をつむった──が、痛みは全くない。
それどころか、またも逞しい腕に背後から抱きかかえられていた。
言うまでもない、ジークフリートだ。彼もまた、少女とアルティーティを守るために動いていた。
お前が飛び出すことはもう分かりきってたからな、とばかりの深いため息がうなじにかかり、アルティーティはびくりと体を震わせる。
素早く動けるはずなのに、ジークフリートの腕の中だともがくことすらできなくなる。再び顔が赤くなるのをアルティーティは感じた。
一方、ヴィクターも鞭を振り上げた男の腕をがっしりと捕まえていた。
「オメェ変わってねぇな。思い通りにならないからってクソみてぇな駄々こねはやめろ」
ヴィクターの声に、男は驚き振り向いた。
と思いきや、すぐに嫌らしい笑みを浮かべる。その目には憎しみと蔑みの色がどろりと宿った。
「あれぇ? おやおやぁ? 君はもしかして、ヴィクター君じゃないかなぁ?」
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