ありがとう、さよなら

まる

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ギターの奏でる複雑な音階

低く響くベースの重低音

激しくも支えとなる生ドラの音

全体を包むようなキーボードの音色

そしてボーカルの透き通った声


僕たちは

私たちは


確かに一つだった



「練習しよう」


そんな言葉は要らなかった


誰かが弾き始めたら


誰かがそれに合わせ始め


気がつけばみんなで奏でていた



辛いこともあった


劣等感に苛まれ


何度もやめようと思った


それでも続けて来れたのは


仲間が居たからだった



ずっと誰かに聴いて欲しくて

ずっと誰かに認めて欲しくて

一生懸命やってきた

沢山努力して


それでも

何度も何度も挫折した

認めてもらう程の努力なんて

血が滲むほどの努力なんて

自分には出来なかったから



二度とやってやるものかと

思ったこともあった


逆にやめさせられたこともあった


それでも奏でることを

やめることができなかった



何故か

その答えは


"音楽が好き"


ただそれだけだった





"音楽は麻薬だ"



誰かがそう言った

その言葉が腑に落ちる

ハマると抜け出せない

やめたくてもやめられない

そう、音楽は麻薬なんだ



誰かに認めて貰うために奏でていた

だけど、

そんな秀でた才能はないし



だけど思った

もし自分の音楽で

誰か1人でも

たった1人でも

喜んでくれることがあるのなら

それが続ける意味になるんじゃないかと




だから弾く


今日も弾く


明日も弾く


奏でよう


音楽を。
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