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目の見えない少女と従者
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「ねえ、アリッサ少しあなたの主人についても聞いてもいいかしら」
ジェシカはそう言うと、下世話でゴシップ好きの厭らしい笑みを顔にのせた。噂好きのメイドはこういう顔をした女が大好きなのだ。
「ええ、勿論です」
「あなたの主人、エレインの事なんだけど。何だかすごく、従者と仲がいい気がするのは気のせいかしら。」
「キルシュナーの事ですね。二人はとても仲がよろしいですよ。常に二人でいるのを見ていますもの。」
「常に?」
「ええ、常に。これを言うと大体他の人からは驚かれるのですが、本当に。エレイン様がお一人でいるときなんてほとんど見たことがありませんわ。これでも十年ほど、ここで働かされてる身ですが、子供のころからずっと一緒にいますね」
「子供のころから?」
「ここで勤め始めたのがエレイン様が大体六歳ころからですから、そのころにはもうずっとそばにいてらっしゃいますよ」
社交界では有名な話だが、ジェシカはそんな昔からとは思っていなかった。
「お二人をね、見ているとね。何だか、死んだ婚約者はどんな感じだったのかなって思ってしまうのよ」
「そうですね。嫉妬とかは余りしてなかったみたいですけれど。やっぱりあちらの方も、小さなころからの婚約者ですから、お二人の距離感とはあるみたいで。
あれでしょう?お貴族様って愛人とかを囲うものでしょう?」
「そうなのかい?」
レイは驚いたように目を丸くして、声を上げた。ワザとらしいとジェシカは少し溜息を吐いた。
「まあ、愛人を囲わない方もいるようだけど。そうね、多いかもしれないわね。」
「だから、もっぱら噂なの。エレイン様とキルシュナーの関係は、将来結婚した後の、愛人候補というか愛人にするつもりなんじゃないかって」
「へえ、まあ、あの様子を見ているとそんな気もしないでもないわね」
「というか、あれですよ。それよりも、婚約者様とメイドのメアリーの方が愛人候補で有効でしたわ」
ジェシカはこういう話を待ち望んでいたと、より一層笑みを浮かべた。ここからは一切口を出さないようにと、例の服をほんの少し引っ張って合図することも忘れずに。」
ジェシカはそう言うと、下世話でゴシップ好きの厭らしい笑みを顔にのせた。噂好きのメイドはこういう顔をした女が大好きなのだ。
「ええ、勿論です」
「あなたの主人、エレインの事なんだけど。何だかすごく、従者と仲がいい気がするのは気のせいかしら。」
「キルシュナーの事ですね。二人はとても仲がよろしいですよ。常に二人でいるのを見ていますもの。」
「常に?」
「ええ、常に。これを言うと大体他の人からは驚かれるのですが、本当に。エレイン様がお一人でいるときなんてほとんど見たことがありませんわ。これでも十年ほど、ここで働かされてる身ですが、子供のころからずっと一緒にいますね」
「子供のころから?」
「ここで勤め始めたのがエレイン様が大体六歳ころからですから、そのころにはもうずっとそばにいてらっしゃいますよ」
社交界では有名な話だが、ジェシカはそんな昔からとは思っていなかった。
「お二人をね、見ているとね。何だか、死んだ婚約者はどんな感じだったのかなって思ってしまうのよ」
「そうですね。嫉妬とかは余りしてなかったみたいですけれど。やっぱりあちらの方も、小さなころからの婚約者ですから、お二人の距離感とはあるみたいで。
あれでしょう?お貴族様って愛人とかを囲うものでしょう?」
「そうなのかい?」
レイは驚いたように目を丸くして、声を上げた。ワザとらしいとジェシカは少し溜息を吐いた。
「まあ、愛人を囲わない方もいるようだけど。そうね、多いかもしれないわね。」
「だから、もっぱら噂なの。エレイン様とキルシュナーの関係は、将来結婚した後の、愛人候補というか愛人にするつもりなんじゃないかって」
「へえ、まあ、あの様子を見ているとそんな気もしないでもないわね」
「というか、あれですよ。それよりも、婚約者様とメイドのメアリーの方が愛人候補で有効でしたわ」
ジェシカはこういう話を待ち望んでいたと、より一層笑みを浮かべた。ここからは一切口を出さないようにと、例の服をほんの少し引っ張って合図することも忘れずに。」
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