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三十六話 お題:コインランドリー 縛り:松の緑、左腕、端折る
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知り合いの男性が体験した話である。それが起きたのは松の緑が出始めた頃で、当時彼はコインランドリーに通っていた。長年使っていた洗濯機が壊れてしまい、給料日前で金もなかった彼は嫌々通っていたのだが、ある日いつものように洗濯物が洗い終わるのを待っていると、一人の男性が入ってきた。彼はその男性を一目見て、あぁ、こいつ俺だ、と思ったそうだ。
「顔とか体形とか、全体的な雰囲気とか服の趣味とか何から何まで俺そのものだったんだよ。これがドッペルゲンガーってやつかと思って固まっちまったよ」
その男性は彼の方を見ると、何も言わず近づいてきたという。そして彼の目の前まで来ると、懐からナイフを取り出して、彼に言った。
「詳しいことは端折るが、これしか手がないんだわ。悪いけど左腕は諦めな」
その直後、男性は彼の左腕にナイフを突き刺し、逃走した。
「俺はパニックになっちまって救急車呼べなかったんだけどすぐ来てくれたんだよなぁ、コインランドリーの中には他に客いなかったし、やっぱりあいつ、いや、俺か、俺が呼んだんだろうなぁ」
救急隊がすぐに到着したため命に別状はなかったのだが、どういう訳か彼の左腕は傷を負ってから全く動かせなくなった。
「どうにもすっきりしないよ。他人だったら恨めばいいのかもしれないけど、多分あれ俺本人だぜ? 面倒くさがって詳しいこと説明しなかったのも自分相手だからって思うと納得できるし、なんだかなぁって感じだよ」
彼は今実家で両親と一緒に生活しながら、就職先を探している。
「顔とか体形とか、全体的な雰囲気とか服の趣味とか何から何まで俺そのものだったんだよ。これがドッペルゲンガーってやつかと思って固まっちまったよ」
その男性は彼の方を見ると、何も言わず近づいてきたという。そして彼の目の前まで来ると、懐からナイフを取り出して、彼に言った。
「詳しいことは端折るが、これしか手がないんだわ。悪いけど左腕は諦めな」
その直後、男性は彼の左腕にナイフを突き刺し、逃走した。
「俺はパニックになっちまって救急車呼べなかったんだけどすぐ来てくれたんだよなぁ、コインランドリーの中には他に客いなかったし、やっぱりあいつ、いや、俺か、俺が呼んだんだろうなぁ」
救急隊がすぐに到着したため命に別状はなかったのだが、どういう訳か彼の左腕は傷を負ってから全く動かせなくなった。
「どうにもすっきりしないよ。他人だったら恨めばいいのかもしれないけど、多分あれ俺本人だぜ? 面倒くさがって詳しいこと説明しなかったのも自分相手だからって思うと納得できるし、なんだかなぁって感じだよ」
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