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十 文明と影
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「……撃つんですか、法山を」
「撃って悪いことでもある?」
「それ、は……」
法山の所業を考えれば、佐治さんの手で撃たれ滅ぼされるのは当然だ。当然のことだと頭では理解しているのに、それをしてほしくないと思っている心の領域がある。
「……そうね。ただ撃つだけっていうのも芸がないわよね」
そう言うと佐治さんは法山のすぐ横に落ちていた人の頭ほどもある石を持ち上げた。
「ちょ、ちょっと、佐治さん!」
「これ思いっきりぶつけたら、頭ぐらいは欠けると思わない?」
佐治さんの表情と声色から冗談ではないと判断する。至近距離でこんな会話をしていても、法山は一切反応することはなかった。
「……意味がありません。こんなことをしても」
「そうね。でも地蔵が砕ければこのクズがみっともなく泣き喚くかもしれない――それだけで試してみるには十分でしょ?」
僕は、何も言い返せなかった。
「アンタに譲ってあげてもいいわよ、パン子」
石が差し出される。僕はそれを受け取ると――渾身の力を込めて、地蔵へと投げ落とした。地蔵はあっさりと砕けて、大小様々な大きさの石ころに変わった。
「ア、アアアアアアアアアアアアアアアアアア!! アー、アア、アアアアアアアアアア!! アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
法山は佐治さんが言ったことをなぞるように目から大粒の涙を流し、砕けた地蔵に縋りついて泣き叫んだ。
耳が痛くなるような声が周囲に響き渡り続ける。それに耐えかねたように、佐治さんは拳銃で法山を繰り返し撃った。砕けた最後の一欠片になるまで、法山は絶叫し続けていた。
「撃って悪いことでもある?」
「それ、は……」
法山の所業を考えれば、佐治さんの手で撃たれ滅ぼされるのは当然だ。当然のことだと頭では理解しているのに、それをしてほしくないと思っている心の領域がある。
「……そうね。ただ撃つだけっていうのも芸がないわよね」
そう言うと佐治さんは法山のすぐ横に落ちていた人の頭ほどもある石を持ち上げた。
「ちょ、ちょっと、佐治さん!」
「これ思いっきりぶつけたら、頭ぐらいは欠けると思わない?」
佐治さんの表情と声色から冗談ではないと判断する。至近距離でこんな会話をしていても、法山は一切反応することはなかった。
「……意味がありません。こんなことをしても」
「そうね。でも地蔵が砕ければこのクズがみっともなく泣き喚くかもしれない――それだけで試してみるには十分でしょ?」
僕は、何も言い返せなかった。
「アンタに譲ってあげてもいいわよ、パン子」
石が差し出される。僕はそれを受け取ると――渾身の力を込めて、地蔵へと投げ落とした。地蔵はあっさりと砕けて、大小様々な大きさの石ころに変わった。
「ア、アアアアアアアアアアアアアアアアアア!! アー、アア、アアアアアアアアアア!! アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
法山は佐治さんが言ったことをなぞるように目から大粒の涙を流し、砕けた地蔵に縋りついて泣き叫んだ。
耳が痛くなるような声が周囲に響き渡り続ける。それに耐えかねたように、佐治さんは拳銃で法山を繰り返し撃った。砕けた最後の一欠片になるまで、法山は絶叫し続けていた。
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