文明トカゲ

九 望遠の楯

１７

「さて、落ち着いたところでそろそろ決着を着けませんか？」
　真奈さんが引き締まった顔で言う。
「……決着、と言ってもどうやって？」
「そう、だね。そもそも私達の関係に決着ってつけられるの？」
　梓も落ち着きを取り戻している。僕もなんとか話し合いができる程度の精神状態になっているが、それでも真奈さんの言う決着がどういったものを指しているのか、想像できない。
「……まぁ、決着より整理って言った方がいいかもしれませんね。というわけで改めて現状の把握。せんせーは私にも梓さんにも恋愛感情は抱いてないだよね？」
「うん……そうだね」
　真奈さんからの質問に正直に答える。明らかに真奈さんと梓の表情が曇ったが、ここを誤魔化してしまっては先に進むことはできないだろう。
「……うん、きついけどそこは仕方ない。で、せんせーはこれから恋愛感情を抱けると思う？　私達のどちらか――あるいは、私達以外の誰かに」