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九 望遠の楯
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「僕が側にいることで、きっと梓は不幸になる。絶対、ではないにしろとても高い確率で。それなのに僕はこうして今も梓の側にいるんだ。その上、どうして僕が側にいると梓が不幸になるのか、その理由すら話せない――僕は、梓よりもずっとずっと、ひどい人間なんだよ」
ゆっくりと梓の髪を撫でる。梓の表情のこわばりが、少しずつ解けていく。
「――それでも僕は、梓の側にいたいんだ。責められなきゃいけないのは僕の方で、梓じゃない」
髪を撫でていた僕の手を、梓が両手でしっかりと握る。そして神に対して宣誓するかのように、力強く、
「私は――私の、私の、不幸は! 私の最大の不幸は楓と一緒にいられなくなること!!
あなたと離れ離れになってしまうこと!! それ以上の不幸なんて、私にはない!!」
空を裂く稲妻のように鋭い痛みが心に走る。梓のあまりにもまっすぐで真剣な告白が、僕の重ねてきた罪を照らし出す。
ゆっくりと梓の髪を撫でる。梓の表情のこわばりが、少しずつ解けていく。
「――それでも僕は、梓の側にいたいんだ。責められなきゃいけないのは僕の方で、梓じゃない」
髪を撫でていた僕の手を、梓が両手でしっかりと握る。そして神に対して宣誓するかのように、力強く、
「私は――私の、私の、不幸は! 私の最大の不幸は楓と一緒にいられなくなること!!
あなたと離れ離れになってしまうこと!! それ以上の不幸なんて、私にはない!!」
空を裂く稲妻のように鋭い痛みが心に走る。梓のあまりにもまっすぐで真剣な告白が、僕の重ねてきた罪を照らし出す。
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