文明トカゲ

ペン牛

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九 望遠の楯

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 ――それを許すことはできない。
「真奈さん」
「……だから、せんせーは黙ってて。私は梓さんと話をつ「話を聞きなさい」
 今度は、僕が真奈さんの言葉をかき消す番だった。真奈さんは不意を打たれたようにパチパチと大きな目を瞬きした。
「それ以上梓を追い詰めたら――僕は君のことを嫌いになるよ。心から」
 僕がそう言った途端、真奈さんは叱られて泣きじゃくる子供のような顔になってしまった。梓は梓で俯いたままだ。
(一体どうすれば……いや、まずは状況を整理しよう)
 この事態の発端になったのは真奈さんの、
『――それじゃあ、私がせんせーとつきあっちゃってもいいんですね?』
 という発言だ。真奈さんが僕とつきあう、というのは即ち恋人関係になるということだろう。つまり、
「真奈さんは――僕に恋愛感情を抱いているの?」
 そう聞くと真奈さんは鼻を啜りながら、
「……わかってたつもりだったけど、やっぱせんせーって本気で殴りたくなるぐらい鈍い」
 と悔しそうに言った。
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