210 / 266
八 懐旧の澱
28
しおりを挟む
――目が覚めた。
(……しまった。寝てたのか)
目覚めた直後でまだ頭がフワフワする。しっかり感覚が戻ってくるまで釜の中で待つことにした。
(夢だから訳がわからないのは当然だけど……それにしてもひどかった)
夢の記憶は急速に薄れ、既に輪郭すら曖昧になりつつあった。夢を見るのはそもそも脳が要らない記憶を整理しているからだ、という話を聞いたことがある。ならば夢を覚えていられないのはむしろ自然なことなのだろう。
なんとか普通に歩けそうになったので、釜湯から出て浴室内に戻ることにした。しっかりと温まった体でも、外と浴室内の温度と湿度のギャップは強烈だった。浴室の入り口の側に設置されている立ったまま浴びられるシャワーを浴びてから、浴室を出る。
六二番のロッカーまで向かい、ロッカーを開けてバスタオルを取り出し、全身をしっかりと拭く。下着を着け、浴衣を着て脱衣所の洗面台の椅子に座る。
(やっぱり、髪が短いのは便利だ)
ドライヤーを強にして一気に髪を乾かす。ガシガシと手で髪をかき回して熱風を当てていると、程なくして指がサラサラと通るようになった。
(……しまった。寝てたのか)
目覚めた直後でまだ頭がフワフワする。しっかり感覚が戻ってくるまで釜の中で待つことにした。
(夢だから訳がわからないのは当然だけど……それにしてもひどかった)
夢の記憶は急速に薄れ、既に輪郭すら曖昧になりつつあった。夢を見るのはそもそも脳が要らない記憶を整理しているからだ、という話を聞いたことがある。ならば夢を覚えていられないのはむしろ自然なことなのだろう。
なんとか普通に歩けそうになったので、釜湯から出て浴室内に戻ることにした。しっかりと温まった体でも、外と浴室内の温度と湿度のギャップは強烈だった。浴室の入り口の側に設置されている立ったまま浴びられるシャワーを浴びてから、浴室を出る。
六二番のロッカーまで向かい、ロッカーを開けてバスタオルを取り出し、全身をしっかりと拭く。下着を着け、浴衣を着て脱衣所の洗面台の椅子に座る。
(やっぱり、髪が短いのは便利だ)
ドライヤーを強にして一気に髪を乾かす。ガシガシと手で髪をかき回して熱風を当てていると、程なくして指がサラサラと通るようになった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる