186 / 266
八 懐旧の澱
4
しおりを挟む
(……いや、待てよ。温泉ってことは真奈さんと一緒に入るわけで、そうなると、どうだろう)
もしかしたら、そんなのはまだ早い! と断られてしまうかもしれなかった。その辺り、まだまだ彼女の気持ちは理解し切れそうにないと痛感する。
――ふと、ある人物が脳裏に浮かぶ。
(……佐治さんを誘っても、いいんだろうか)
梓や真奈さんと比べて、佐治さんはあまりにも不明な要素が多い。まず佐治さんは温泉が好きなのか、ということ。
(そもそも佐治さんはどんな場所が好きなんだ? 賑やかなところ? 静かなところ?)
佐治さん本人は非常に目立つ人物だ。人並み外れた長身に細く長い手足、人を威圧するように鋭く整った顔。僕には推測することしかできないが、きっと惹き付けられる女性は多いだろう。もっとも佐治さんの恋愛対象は男性らしいが。
(ただ、飽くまで僕の印象だけれど、佐治さんは人というものがあまり好きじゃないように思えた)
その印象に従うのなら、温泉旅館は巨大な人混みや大騒ぎとは恐らく無縁であるはずだから、佐治さんにとっては悪い場所にはならないだろう。
もしかしたら、そんなのはまだ早い! と断られてしまうかもしれなかった。その辺り、まだまだ彼女の気持ちは理解し切れそうにないと痛感する。
――ふと、ある人物が脳裏に浮かぶ。
(……佐治さんを誘っても、いいんだろうか)
梓や真奈さんと比べて、佐治さんはあまりにも不明な要素が多い。まず佐治さんは温泉が好きなのか、ということ。
(そもそも佐治さんはどんな場所が好きなんだ? 賑やかなところ? 静かなところ?)
佐治さん本人は非常に目立つ人物だ。人並み外れた長身に細く長い手足、人を威圧するように鋭く整った顔。僕には推測することしかできないが、きっと惹き付けられる女性は多いだろう。もっとも佐治さんの恋愛対象は男性らしいが。
(ただ、飽くまで僕の印象だけれど、佐治さんは人というものがあまり好きじゃないように思えた)
その印象に従うのなら、温泉旅館は巨大な人混みや大騒ぎとは恐らく無縁であるはずだから、佐治さんにとっては悪い場所にはならないだろう。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
冷たかった夫が別人のように豹変した
京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。
ざまぁ。ゆるゆる設定
王子と王女の不倫を密告してやったら、二人に処分が下った。
ほったげな
恋愛
王子と従姉の王女は凄く仲が良く、私はよく仲間外れにされていた。そんな二人が惹かれ合っていることを知ってしまい、王に密告すると……?!
愚か者の話をしよう
鈴宮(すずみや)
恋愛
シェイマスは、婚約者であるエーファを心から愛している。けれど、控えめな性格のエーファは、聖女ミランダがシェイマスにちょっかいを掛けても、穏やかに微笑むばかり。
そんな彼女の反応に物足りなさを感じつつも、シェイマスはエーファとの幸せな未来を夢見ていた。
けれどある日、シェイマスは父親である国王から「エーファとの婚約は破棄する」と告げられて――――?
W-score
フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。
優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…
未亡人クローディアが夫を亡くした理由
臣桜
キャラ文芸
老齢の辺境伯、バフェット伯が亡くなった。
しかしその若き未亡人クローディアは、夫が亡くなったばかりだというのに、喪服とは色ばかりの艶やかな姿をして、毎晩舞踏会でダンスに興じる。
うら若き未亡人はなぜ老齢の辺境伯に嫁いだのか。なぜ彼女は夫が亡くなったばかりだというのに、楽しげに振る舞っているのか。
クローディアには、夫が亡くなった理由を知らなければならない理由があった――。
※ 表紙はニジジャーニーで生成しました
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる