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七 怨讐の皹
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「――いや、驚いた。君の力は想像以上だったよ、楓」
まるで何事もなかったかのように法山が息を吹き返す。その上瞬き一つの間に僕の体から最初の男性の体へと変化した。
「まさか体だけじゃなく魂の形まで変えるなんて! 恐ろしい。もし私が死んでいなければ私という存在は完全にかき消されていただろうね」
法山はさも当然のように、あり得ないことを口にした。
「――お前、今、死んでいなければって言ったのか?」
「あぁ、そうとも。君の力から逃れるためには一度死ぬしかなかった。だから死んだ。何かおかしなところでもあるかい?」
絶望で目の前が暗くなる。いや、そもそも僕は法山と対峙してからずっと絶望し続けていて、今になってそのことに気づいただけかもしれなかった。
「君達だって寝る時に朝目覚められるかどうか不安に思いはしないだろう? それと同じことさ。君達にとっては絶対的な一方通行なのかもしれないが、私にとっては当たり前のように行き来する日常の一つでしかない」
まるで何事もなかったかのように法山が息を吹き返す。その上瞬き一つの間に僕の体から最初の男性の体へと変化した。
「まさか体だけじゃなく魂の形まで変えるなんて! 恐ろしい。もし私が死んでいなければ私という存在は完全にかき消されていただろうね」
法山はさも当然のように、あり得ないことを口にした。
「――お前、今、死んでいなければって言ったのか?」
「あぁ、そうとも。君の力から逃れるためには一度死ぬしかなかった。だから死んだ。何かおかしなところでもあるかい?」
絶望で目の前が暗くなる。いや、そもそも僕は法山と対峙してからずっと絶望し続けていて、今になってそのことに気づいただけかもしれなかった。
「君達だって寝る時に朝目覚められるかどうか不安に思いはしないだろう? それと同じことさ。君達にとっては絶対的な一方通行なのかもしれないが、私にとっては当たり前のように行き来する日常の一つでしかない」
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