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七 怨讐の皹
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――とても断言することはできなかった。四千カラットの、その上およそ完璧としか言いようがないほどに見事に磨き上げられたダイヤモンドよりも僕の命の方が絶対に価値が上だなどと。
(あれだけのダイヤモンド……一体どれだけの値段になる? 十億? 二十億? あるいは百億? それだけの価値のものが得られるならきっと、僕を殺しても構わないと思う人間は――いる)
法山は無言でテーブルの上のダイヤモンドに右手の人差し指で触れた。その途端、ダイヤモンドは煙を上げながらどんどん黒ずんでいき、すぐに真っ黒な炭の塊になってしまった。
「――残念。世界最高のダイヤモンドはただの炭の塊になってしまった」
キシン、パキン、と法山の手の中で炭が砕ける音がする。
「さて、それじゃあもう一度聞こうか、楓。君は人間の命より大事なものなんてない、と言った」
法山が炭で汚れた手を僕の顔に伸ばす――動くことができない。
(あれだけのダイヤモンド……一体どれだけの値段になる? 十億? 二十億? あるいは百億? それだけの価値のものが得られるならきっと、僕を殺しても構わないと思う人間は――いる)
法山は無言でテーブルの上のダイヤモンドに右手の人差し指で触れた。その途端、ダイヤモンドは煙を上げながらどんどん黒ずんでいき、すぐに真っ黒な炭の塊になってしまった。
「――残念。世界最高のダイヤモンドはただの炭の塊になってしまった」
キシン、パキン、と法山の手の中で炭が砕ける音がする。
「さて、それじゃあもう一度聞こうか、楓。君は人間の命より大事なものなんてない、と言った」
法山が炭で汚れた手を僕の顔に伸ばす――動くことができない。
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