文明トカゲ

ペン牛

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六 完全の家

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『そうなんだ。大学で不審な行動を取ったりとかはなかった?』
『不審な行動……私が知ってる限りでは、ないよ。むしろ周りからは元気になったって言われてるかな。でも楓の言うことが本当なら、これってあんまりよくないことだよね……』
 梓を騙していることに罪悪感を覚えるが、これ以上の方法は思いつかなかった。それにもしも迷塚さんがトカゲの影響下にあるのだとすれば、たとえ嘘をついてでも梓から引き離さなければならない。
『そうだね。健康食品か、それとも販売会そのものか、とにかく関わったことで変わってしまったんだと思う。梓も迷塚さんとの関係を考えた方がいいと思う。ただ、くれぐれも行動は慎重にね』
『そう、だね……突然のことでびっくりしてるけど、楓がこんなことで嘘つくはずないもんね。気をつけてみる。楓、話してくれてありがとう』
 心に走る鈍い痛み。それが文面に表れないよう注意する。
『僕こそ驚かせちゃってごめん。でも、梓のことが心配だったから。気をつけて』
 梓にメッセージを送ると、僕は携帯を握ったまま天井を見上げた。思考を支配するのはこの意味不明な状況の中で絶対的に鮮明な――繭原市南酒木町花槌五九丁目二番地三三号に行け、という迷塚さんの言葉。
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