文明トカゲ

ペン牛

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四 照魔の鏡

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(……さて、問題はここからだな)
 既に真奈さんがどれだけ気難しい子なのかは十分にわかった。一体どのようにしてコミュニケーションを取っていけばいいのか――
「――何してんの、せんせー。座んなよ」
「――え?」
 真奈さんはいつの間にか椅子に座っていた。その隣には別の椅子が用意されている。
「座っても、いいの?」
「……せんせーさぁ、ママから私のことどんな風に聞いたわけ?」
 僕は真奈さんの隣の席に座りながら答えた。
「――すごく頭がいいのに、わざとテストで悪い点を取ったりして、その上何人も家庭教師を追い返してる子だ。そんな風に聞いたよ」
「……私、回りくどい言い方は嫌いな方なんだけどさ。いくらなんでもはっきり言いすぎじゃない? 私がママに新しい家庭教師から悪口言われたって告げ口したら、それだけでおしまいだってわからない?」
 ぐうの音も出なかった。だが僕は、
「――僕は真奈さんの本当の気持ちを聞き出してほしいって頼まれてここに来たんだ。そもそも、僕は人に勉強を教えられるほど勉強が得意じゃないしね。だから、誤魔化すようなことはなるべく言わないようにしようと思って」
 自分の心の内をさらけ出す。人の気持ちを操る手管もない僕が誰かの本音を聞き出したいのなら、自分のことをさらけ出す以外に方法はないと思った。
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