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天気雨
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ポーシャにみんなを呼びにいってもらってるあいだに少しでも片付けようとサエちゃんとクリスと掃除をしていると、ぽつぽつと雨が降り出してきた。
「天気雨……こっちの世界でも、やっぱりあるのね」
空には薄っすらとした白い雲はいくつかあるけれど、雨を降らせそうな黒い雲はひとつも見当たらない。
軽い雨くらいならまあいいかと、そのまましばらく掃除を続けるうちに、ポーシャが呼んできてくれた補充メンバーたちが駆けつけてきてくれた。
「こりゃあひどい」
「わたし湖の周りも見てきましたけど、汚されているのこのあたりだけみたいですよ」
「このままじゃ雨があがったとしても営業できないぞ。みんな、急いで掃除するぞ」
「おう!」
「はい!」
年配の冒険者が指示を飛ばしてどんどん手際良く汚れが落とされていく。
それなりに名前の売れた冒険者だったそうで、合同受注した依頼の時にもリーダーを任されることが多かったそう。そのせいか、カリスマ性みたいなものが溢れていて頼れる兄貴分って感じのする人だ。
40台も後半になって結婚。子供も産まれたことから冒険者を引退。普通の仕事を探していたところでちょうどオレの店が従業員を募集しているのを見つけて申し込んできたと面接の時に聞いた。
今では仕入れた肉の解体から仕込みまでは完全にこなせるようになって、調理メンバーの中ではオレに次いでナンバー2。もし支店を出すとしたらそこの店長を任せられるのは彼しかいないかな。
「おーい店長。ちょっといいか……ですか」
その彼が大きく手を振ってオレを呼ぶ。
やっぱり口調はもう少し改善が必要かな、店長を任せるなら。まあ、日本じゃないしこれくらい構わないのかもしれないけどさ。
「ザウロ、どうかした?」
「これを見てください」
「これ? ……なにかの足跡か?」
「たぶん、キツネかなにかの足跡だと思いますが、数が1頭や2頭じゃないのが気になって」
「これがキツネの足跡だとして、ザウロはこれが今回の件と関係があると思う?」
「さあ、そこまではわからねえ……です。が、ここらでこれだけの数のキツネを見たことはここ数十年ありません」
「なるほど。たしかに、少し気になるね。ん、あれはアルフォンスさんか。わるいザウロ、オルシャー伯爵本人がわざわざ来てくれたみたいだから少し行ってくる」
「わかりました。オレらは引き続き掃除してますんで」
伯爵のところへ向かおうとしたその時、ぽつぽつ程度だった雨が本降りになってきた。空にもいつの間にか黒い雨が浮かんだいた。
「サエちゃん、今日はもう営業は休みにしよう。片付けに参加してくれた人には、今日のぶんの給料渡してあげてくれ。あとポーシャは悪いけどみんなにまた連絡頼むよ。ザウロ、そういうことだから給料受け取ってあがっちゃってくれ」
「わかりました。いちおう、明日は普段より少し早く出てくるようにしますんで」
「助かるよ。ありがとう」
オレはそれだけ伝えると、アルフォンスさんを案内した。どこへ? 孤児院へ。
「天気雨……こっちの世界でも、やっぱりあるのね」
空には薄っすらとした白い雲はいくつかあるけれど、雨を降らせそうな黒い雲はひとつも見当たらない。
軽い雨くらいならまあいいかと、そのまましばらく掃除を続けるうちに、ポーシャが呼んできてくれた補充メンバーたちが駆けつけてきてくれた。
「こりゃあひどい」
「わたし湖の周りも見てきましたけど、汚されているのこのあたりだけみたいですよ」
「このままじゃ雨があがったとしても営業できないぞ。みんな、急いで掃除するぞ」
「おう!」
「はい!」
年配の冒険者が指示を飛ばしてどんどん手際良く汚れが落とされていく。
それなりに名前の売れた冒険者だったそうで、合同受注した依頼の時にもリーダーを任されることが多かったそう。そのせいか、カリスマ性みたいなものが溢れていて頼れる兄貴分って感じのする人だ。
40台も後半になって結婚。子供も産まれたことから冒険者を引退。普通の仕事を探していたところでちょうどオレの店が従業員を募集しているのを見つけて申し込んできたと面接の時に聞いた。
今では仕入れた肉の解体から仕込みまでは完全にこなせるようになって、調理メンバーの中ではオレに次いでナンバー2。もし支店を出すとしたらそこの店長を任せられるのは彼しかいないかな。
「おーい店長。ちょっといいか……ですか」
その彼が大きく手を振ってオレを呼ぶ。
やっぱり口調はもう少し改善が必要かな、店長を任せるなら。まあ、日本じゃないしこれくらい構わないのかもしれないけどさ。
「ザウロ、どうかした?」
「これを見てください」
「これ? ……なにかの足跡か?」
「たぶん、キツネかなにかの足跡だと思いますが、数が1頭や2頭じゃないのが気になって」
「これがキツネの足跡だとして、ザウロはこれが今回の件と関係があると思う?」
「さあ、そこまではわからねえ……です。が、ここらでこれだけの数のキツネを見たことはここ数十年ありません」
「なるほど。たしかに、少し気になるね。ん、あれはアルフォンスさんか。わるいザウロ、オルシャー伯爵本人がわざわざ来てくれたみたいだから少し行ってくる」
「わかりました。オレらは引き続き掃除してますんで」
伯爵のところへ向かおうとしたその時、ぽつぽつ程度だった雨が本降りになってきた。空にもいつの間にか黒い雨が浮かんだいた。
「サエちゃん、今日はもう営業は休みにしよう。片付けに参加してくれた人には、今日のぶんの給料渡してあげてくれ。あとポーシャは悪いけどみんなにまた連絡頼むよ。ザウロ、そういうことだから給料受け取ってあがっちゃってくれ」
「わかりました。いちおう、明日は普段より少し早く出てくるようにしますんで」
「助かるよ。ありがとう」
オレはそれだけ伝えると、アルフォンスさんを案内した。どこへ? 孤児院へ。
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