上 下
43 / 83

日本でも、儲けよう

しおりを挟む
 9月も後半、昼間の時間もだいぶ少なく感じる季節になってきた日本のマイルーム。

 ワンルームの狭い部屋の中には2人と1頭と1羽。

 オレの左隣にサエちゃん。左利きのサエちゃんはオレと並んで座るときにはお互い邪魔にならないように左に座るのが以前からの定位置。

 それからオレのヒザの上には水晶竜のクリス。ゴールデンレトリバーの成犬ほどのサイズになったクリスは正直重たいんだけど、構わないと拗ねるしヒザからどかそうとすると頭の上にとまろうとするからなあ。

 さすがに30キロ以上の重さだと首の骨が折れかねないからそろそろ本気でやめさせないとダメかも。

 洗濯の物干し竿にはみそらがとまってる。今のサイズはクジャクくらいはあるから物干し竿と天井のあいだのスペースはちょっと狭そう。床に座ればいいのにと思わなくはない。

 みそらがいてくれると、残暑が厳しい時も涼しいからそれはちょっとありがたい。エアコンの電気代が節約できるのは地味に嬉しいよね。

 みそらは普段はポーシャといっしょに残ってるんだけど、今日は配達バッグに自分から飛び込んでついてきた。ポーシャが心配してないといいけど。

「……よし、これでOKよ」

 マウスをカチッと操作していたサエちゃんが言う。

「これであとは買ってくれる人がいることを祈るだけね」

「売れると思う?」

「うーん。正直こういうのは最初の1つが売れるまでが凄い大変だと思う。似たような物を売っている人はいくらでもいるし、値段も安くはないしね。ただ、お父さんの知り合いの例のお店で宝石の鑑定書をつけてもらえるのはメリットね」

 サエちゃんに頼んだのは、ポロポロが魔法付与してくれた宝石を使ったハンドメイドアクセサリーを売るためのネット関係の登録作業。ぶっちゃけアナログ人間なオレにはわけわかめ。

 でもそこはさすが現役女子大生のサエちゃん。

 おすすめの販売サイトをいくつも見繕ってあっというまに登録を済ませてくれました。ありがとね。

「じゃ、これ友達に渡してみて」

 そう言っていくつかのアクセサリーを渡す。

 ネックレスや髪留めなどで普段使いしやすいデザインのもので、全部に疲労回復(初級)の効果が付与してある。

「試しに使ってもらえれば効果はわかってもらえるし、絶対に話題になるわよ」

 疲労回復(初級)の中でも、込められているのは本当に効果の薄いものにしてある。いくらなんでもオレやサエちゃんが身につけているようなやつだと、効果がありすぎて確実に怪しまれると思ったんだよね。それでも確実にプラシーボどころじゃない効果はあるから、使ってもらえればきっと良さはわかってもらえるはず。

 そこでサクラとしてサエちゃんの友達に試してもらって、クチコミで広めてもらおうというわけ。

 これできっと日本でも大もうけできるはず!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話

菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。 そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。 超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。 極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。 生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!? これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜

櫛田こころ
ファンタジー
料理人の人生を絶たれた。 和食料理人である女性の秋吉宏香(あきよしひろか)は、ひき逃げ事故に遭ったのだ。 命には関わらなかったが、生き甲斐となっていた料理人にとって大事な利き腕の神経が切れてしまい、不随までの重傷を負う。 さすがに勤め先を続けるわけにもいかず、辞めて公園で途方に暮れていると……女神に請われ、異世界転移をすることに。 腕の障害をリセットされたため、新たな料理人としての人生をスタートさせようとした時に、尾が二又に別れた猫が……ジビエに似た魔物を狩っていたところに遭遇。 料理人としての再スタートの機会を得た女性と、猟りの腕前はプロ級の猫又ぽい魔物との飯テロスローライフが始まる!! おっかなびっくり料理の小料理屋さんの料理を召し上がれ?

気がついたら異世界に転生していた。

みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。 気がついたら異世界に転生していた。 普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・ 冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。 戦闘もありますが少しだけです。

処理中です...