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僕と四郎〜ごんぎつねの先の物語〜

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 これは僕が中学生の時の話です。僕は小学生の時に仲の良かった親友の四郎をいじめていました。
 四郎は中学に進学すると成績が悪く、おとなしい男子だったため、友達のグループの中でよくからかわれていました。それがだんだんエスカレートしていじめを受けるようになったのです。
 教科書やノートを隠されたり、落書きされたり、体を殴られたり蹴られたりもしていました。
 僕は四郎を守る事をしませんでした。いじめられている四郎をかばったら一緒にいじめられると思ったからです。さらにはみんなに合わせて四郎をいじめるようになりました。
ある日トイレに入った時に四郎と二人きりになりました。
「ねぇ、君は変わったね。小学生の頃に戻りたいな、、」
と四郎が声をかけてきた。僕は
「う、うん」
と答えただけですぐにトイレから出ました。
四郎との会話はそれが最後でした。その後もいじめは続きました。
 卒業後、僕は友達グループと一緒に近くの要尾高校へ進学しました。四郎は同級生がほとんど行かない遠くの鶴田高校へ進学しました。
 高校一年のお盆にうちに親戚が集まりました。いとこの宗介は同い年。
僕は宗介に尋ねました。
「僕は要尾高校だけど宗介はどこ?」
すると宗介は
「俺は鶴田高校だよ」
宗介に四郎の事を尋ねると、
「同じクラスだよ。地味な奴だな。友達も居ないみたい」
と言われました。
僕は宗介に
「四郎の友達になってやってくれないか。四郎は僕の親友なんだ」
とお願いすると
「うん。いいよ」
と軽く言いました。
 夏休みが終わり二学期が始まると宗介は四郎と友達になったそうです。四郎は宗介の友達とも意気投合して秋には友達五人でキャンプに行ったそうです。その後も四郎は友達に囲まれ楽しく生活しているそうです。
 高校一年の二学期が終わろとしている十二月。僕はいじめを受けるようになりました。中学から同じ高校に進学してきた友達グループ。つまり、四郎をいじめていたグループです。いじめていた四郎がいなくなったので僕を代わりにいじめているようです。
 いじめられて苦しい時にいつも思い出すのは四郎のあの言葉。
「ねぇ、君は変わったね。小学生の頃に戻りたいな、、」
一緒に遊んだり笑いあったりしていた友達が僕をいじめる敵へと変わっていく悲しさ。友達として楽しく過ごしていたあの頃に戻りたいという願望。四郎があの時考えてた事が痛いほどよくわかる。
 そして高校二年の六月一日に僕は校舎の屋上から飛び降りた。しかし大怪我はしたものの命は助かりました。
後日。病院に入院している僕に宗介が見舞いに来た。
宗介が僕に心配そうな顔で
「いじめが原因で飛び降りたんだってな。何で相談してくれなかったんだよ」
と言った。
「ごめん。あの時は毎日のいじめが怖くて嫌で何も考えられなかったんだ。でもね、飛び降りたらいじめが怖くなくなったんだ」
宗介は驚きながら
「え?なんで?」
と言った。
「死を覚悟した僕に恐いものなんかないんだよ。飛び降りた時めちゃくちゃ怖かったし、落ちた時はすごい痛かったんだ。それと比べたらいじめなんて小さな事だよ。今となってはいじめなんかで毎日悩んでたのがバカらしく思えるよ」
「そうなんだ。でも生きてて良かったな。死んでたらごんぎつねみたいだったもんな。四郎が兵十」
「何だよそれ」
「四郎から聞いたぞ。お前中学の時に四郎をいじめてたってな。だから俺に友達になってやってくれって頼んだんだろ」
「うん。そうなんだ」
「じゃあ生き残ったごんぎつねは何をするんだ?」
「四郎に会って謝りたいな」
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