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毒杯を煽る(sideルーカス)

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「毒の方は順調か?」

 あれからおよそ半月と少し。完成まで一月半を切った。まぁ、俺は愚弟のように馬鹿じゃないから、計画に支障が出ていないかを確認する。

「もチろんダ。そういえバお前、鎮魂祭はどうすルんだ?」

「どうもこうも、俺はあの二人を殺った本人だぞ? ボロが出たらマズい。あいつらとは別の場所で祈らせてもらうさ」

 五年前の事件の実行犯は別にいるけれど、俺がやったようなものだ。そう。そうさ。俺以外のな王族を残してはいけない。もちろん、あの次期国王サマも含めて。

「祈リ。死者は帰らナイ、死者は還らナイ。ただ、土にナルだけ」

「んなもん当然わかってるとも。祈りなんてカタチのもんだけさ。……そういえば、あの愚弟はどうしている?」

 偵察に出ていた闇が、棚の隙間から現れる。その口もとは、血と臓物で汚れていた。

「二人の女ト一緒。聖女と銀色。襲っテも絶対勝てナい。特に銀色」

「聖女の方ではなく?」

「銀色、憎しミ強い。聖女より怖イ。でもあレは放っておけば、いつカ壊れル」

「憎しみ? あのメイドがか?」

「そうダ。デモ理由ハわからナイ」

 わからない、か。十四にして愚弟の専属になり、その四年後には聖女の専属。貴族出身という話も聞かないし、何者なんだあのメイドは。誰かの隠し子とか、だろうか。

 いや、考えても答えは出ないだろう。多分あの王気取りなら知ってると思うが。

「そうか。頭の片隅くらいには置いておこう。計画まであと四十日。少しでも気になることがあったら、出来るだけ早く伝えるように」

「わかっタとモ、我らガ王よ。……今さラ怖じ気づクなヨ? 未来ハ、変革ハすぐソコにあルのだかラ」

「あぁ。このために五年も準備したんだ。地方の奴らを懐柔して、多くの女と関係を持って。気に入らない奴は、綺麗に消して。ここまでやったら、引き下がれるはずが無いだろう?」
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