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115 コンクリートブロックの夢
しおりを挟むある日、コンクリートブロックが目を覚ました。
そう、目を。彼は自分が夢を見ていることに気づいた。夢の中で彼は人間だった。感情を持ち、愛することができ、そして何よりも、自由に動き回ることができた。
「こんなに美しい世界があったなんて!」
彼は夢の中で叫んだ。
彼はビルの一部であることに誇りを持っていたが、夢の中の人間の生活は魅力的だった。彼は夢の中で恋をし、家族を持ち、毎日を笑顔で過ごした。
しかし、現実は違った。彼はただのコンクリートブロック。感情もなければ、動くこともできない。
「私はただのブロック……ただの無感情なブロック……」
彼はため息をついた。
ある朝、彼は目覚めた。
夢から覚めた彼は、自分がただのコンクリートブロックであることを思い出した。しかし、何かが違った。彼の表面には、微かなひびが入っていた。そしてそのひびから、小さな芽が顔を出していた。
「これは……私の中から?」
コンクリートブロックは驚いた。彼は生きていると感じた。彼の中から新しい生命が生まれている。彼はもうただのブロックではなかった。彼は生命を育む土壌だった。
「私は新しい命を育てることができる……私はもうただのコンクリートではない!」
彼は喜びに満ちた声で呟いた。
日々が過ぎ、芽は花になり、花は実をつけた。コンクリートブロックは、自分が夢見た人間のように、愛を育むことができた。
「私の夢は、現実になったんだ……」
彼は優しく微笑んだ。
彼はもう夢を見る必要はなかった。なぜなら、彼の現実は夢以上に美しいものだったから。
ただし、ある人が、コンクリートブロックの一部分が満面の笑みを浮かべているのを見て、たいそう驚いたという……。
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