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#36 割引弁当(日常)
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Yさんは、地方の商社に勤める、独身の女性である。
毎日のように残業があり、仕事が終わるとコンビニに寄って弁当を買い、部屋でひとり、食べる。
数年前、悪い男にひっかかって、借金を背負った。それに懲りて、今は特定の交際相手はおらず、借金を返すために、質素に生活している。
さて、Yさんが立ち寄るコンビニでは、夜の九時をすぎると、売れ残りの弁当やおにぎりに2割引きのシールが貼られる。
たいていは人気のない商品しか残っていないのだが、ある晩、めずらしく幕の内弁当が1個残っていた。2割引きのシールも貼ってある。
おー、ラッキー。と思った。
幕の内弁当なんて、普段は早い時間に売切れてしまうのだ。Yさんはすぐにそれを買った。
それ以来、時おり、幕の内弁当の売れ残りが手に入るようになった。
最初のうちはラッキーとしか考えなかったが、そのうちに気がついた。売れ残りは、あっても1個だけ。そしてそのときシフトに入っているレジ係は、いつも同じ中年の男性なのだ。髪は薄く、いつもうつむきかげんで、相手と目を合わせない。声にも覇気がない。
まさか……あたしに気があって……?
そう思ったYさんは、それ以来、そのコンビニに行くのをやめた。
Yさんは思う。「弁当とは違って私は割高価格なのだから」と。
毎日のように残業があり、仕事が終わるとコンビニに寄って弁当を買い、部屋でひとり、食べる。
数年前、悪い男にひっかかって、借金を背負った。それに懲りて、今は特定の交際相手はおらず、借金を返すために、質素に生活している。
さて、Yさんが立ち寄るコンビニでは、夜の九時をすぎると、売れ残りの弁当やおにぎりに2割引きのシールが貼られる。
たいていは人気のない商品しか残っていないのだが、ある晩、めずらしく幕の内弁当が1個残っていた。2割引きのシールも貼ってある。
おー、ラッキー。と思った。
幕の内弁当なんて、普段は早い時間に売切れてしまうのだ。Yさんはすぐにそれを買った。
それ以来、時おり、幕の内弁当の売れ残りが手に入るようになった。
最初のうちはラッキーとしか考えなかったが、そのうちに気がついた。売れ残りは、あっても1個だけ。そしてそのときシフトに入っているレジ係は、いつも同じ中年の男性なのだ。髪は薄く、いつもうつむきかげんで、相手と目を合わせない。声にも覇気がない。
まさか……あたしに気があって……?
そう思ったYさんは、それ以来、そのコンビニに行くのをやめた。
Yさんは思う。「弁当とは違って私は割高価格なのだから」と。
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