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#30 出ると噂の心霊スポット突入(意外なオチ)

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「さぁ、始まりました。私はリポーターのゴンドウです。今回の『心霊スポット訪問』は霊能力者のレイさんに来ていただきました」

「皆さん始めましてレイです。今日は最強最悪と呼び声の高い『地獄峠』にやってきました」

「どうです。何か感じますか」

「えぇ、ビシビシと悪霊の気配を感じますね」

「ホントですか。なんだか怖くなってきました」

「大丈夫。霊能力者の僕がいますから」

「頼もしいですね。では早速行きましょう」

 それからしばらく過ぎ・・・

「なんだか不気味ですね。物音一つしません」

「嵐の前の静けさかもしれませんね」

「怖いこと言わないでくださいよ」

「冗談です。人気もない道ですからね。音がしなくても不思議ではありませんよ」

「おぉ、言われてみれば確かに」

 霊能力者はふと足を止めた。表情は一変してる。道の先を静かに睨みつけていた。

「ど、どうしたんですか?」

「静かに。強力な気配がします。しかも一体だけじゃない。悪霊が道を塞いでいる」

「えぇー。ど、どうすれば?」

「僕が除霊しますから、後ろに下がっていてくだい」

 霊能力者は足を進めた。ぶつぶつと呪文を唱えている。

「ハンナラババ、ブクブクレイコン」

 奇妙な呪文だった。静かだった峠に不気味な風が巻き起こる。

「ぎゃー」

「な、なんですか」

 なんとも形容しがたい声が場を取り巻く。ふっと重苦しい気配が消えた。

「あれ?」

「安心してください。除霊は完了しました」

「意外と早いんですね」

「プロですから」

 霊能力者はニヤリと笑った。

 ――スタジオにて。

「実はあの後、映像を確認したら、奇妙な音声が録音されていました。こちらをどうぞ」

『た、助けて』

「きゃー」

 出演者や観客は悲鳴を上げた。ただ出演者の一人だけが首を傾げている。
気づいたゴンドウが話しかける。

「どうしたんですか? ミエナさん」

「え、あぁ。ちょっと何も聞こえなかったもので」

「そうなんですか?」

「えぇ、昔占い師に言われたことがあるんです。私霊感がまったくないみたいで、何も見えないし何も聞こえないんですよね」

「それはちょっと羨ましいですね」

「でしょう? ところでもう一つ気になることがあるんですけど」

「なんでしょうか」

「さっきのVTRのことなのですが……あなたは一体誰と喋っていたんですか?」

「えっ?」

 スタジオに今日一番の悲鳴が轟いた。
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