→本当にあったかもしれない不思議な話

本屋の出来事

ぼくは本屋で働いている。
毎日、夕方になると店長が「閉店の準備をしろ」と言ってくる。ぼくは本を棚に戻したり、レジを片付けたり、掃除をしたりする。店長はぼくに厳しいが、本が好きなので仕事は楽しい。

ある日の夜、閉店の時間が近づいてきた。
ぼくは店長に「閉店の準備をします」と言って、本を片付け始めた。すると、店の奥から奇妙な声が聞こえてきた。それは人の声ではなく、動物のような鳴き声だった。ぼくは不思議に思って、声のする方に向かって歩いた。

店の奥には、子供向けの本が置いてあるコーナーがある。そこには、色とりどりの本やぬいぐるみやおもちゃが並んでいる。そのコーナーに近づくと、声がますます大きくなった。ぼくは恐る恐る本棚の隙間から覗いた。

すると、そこには信じられない光景が広がっていた。ぬいぐるみやおもちゃが、まるで生きているかのように動いていたのだ。熊や猫やウサギやライオンなど、様々な動物のぬいぐるみが、本を読んだり、話したりしていた。
それらはぼくに気づかずに、楽しそうにしていた。

ぼくは驚いて、声を上げそうになったが、我慢した。ぼくはそっと本棚から離れて、店長に報告しようと思った。しかし、店長はすでに帰ってしまっていた。
ぼくは一人でどうすればいいのか分からなかった。ぼくはぬいぐるみやおもちゃに話しかけてみようかと思ったが、怖くてできなかった。ぼくはただ、時計を見て、閉店の時間を待った。

やがて、時計が9時を指した。すると、ぬいぐるみやおもちゃの動きが止まった。それらは元の場所に戻って、静かになった。
ぼくはほっとして、店のドアに鍵をかけた。

ぼくはその日のことを誰にも話さなかった。ぼくはそれが夢だったのか、現実だったのか、分からなくなった。
それから、ぼくは毎日、閉店の時間になると、店の奥に行ってみた。しかし、ぬいぐるみやおもちゃは二度と動かなかった。