伯爵家の三男は冒険者を目指す!

おとうふ

文字の大きさ
上 下
46 / 55
第二章

発見

しおりを挟む

 階段を降りた後も俺たちはすんなりと第二層を進んで行った。

 先頭の騎士と冒険者の会話を聞いた感じ、第一層の時と同じように、ここのモンスターの中にも第三層のモンスターが混じっているみたいだ。
 ただ、罠のレベルは変わっていないらしい。 
 
 何でこんなことが起こるんだ?

 と思ったが、ビューラー曰く、そういうものらしい。特に超高ランクダンジョンであるここでは何が起こっても不思議じゃないと。

 怖すぎでしょ...!?

 
 しばらく歩くと、また下層に伸びる階段に着いた。

 「この下が第三層だ。説明したとおり、Sランクパーティーが失踪したほどの危険な領域だ。一層気を引き締めろ」

 
 階段を降りて慎重に進む。しばらくすると先頭の人たちが立ち止まり、困惑したように言葉を交わし始めた。


 どうしたんだろう、別れ道でも何でもないのに。


 話を聞く感じ、この道は罠によって塞がれて行き止まりになっていたが、それが元に戻っているということらしい。
 

 「通れるようになったのならこのまま進むべきだ」

 「いや捜索に出た奴らと同じ轍を踏むことになるかもしれん」

 「だが別ルートで見つけられるか!?」
 
 
 意見が分かれたがその結論はすぐに出ることになった。

 「...静かに」

 一人の冒険者の言葉に場が一瞬でしんと静まり返る。

 「...?」

 俺も耳を澄ませてみる。...何か聞こえる気がする。
 キン、キンという甲高い金属音のような...。

 「戦ってるぞ!?」

 「この先だっ...!」
 
 速度を上げて先を急ぐ。しかし罠への警戒もしなければいけないので全力疾走というわけにはいかない。 

 早く行きたいのに...!


 索敵を得意とする冒険者の中には罠の存在を感知するスキルを持っている者もいるらしいが、このダンジョンにはそれが通用しないトラップも存在するみたいだ。

 ーーーーガラガラ!ーーーー
 
 冒険者の放った魔法が地面に着弾すると同時、その床があっさりと崩れ落ちた。
 まさにその崩落トラップが仕掛けられていた。

 通路は、両端を僅かに残して円形にくり抜かれるようになくなっている。

 順番にその隅を通り抜けて行く。

 「底が見えねぇな...一体どこまで落ちんだこれ...」
 
 「これが三層ってレベルかよ!?」


 これで下層に落とされたのか...てかここも落ちたりしないよな...!?

 恐る恐る30cm程になってしまった通路を通り、さらに先に進む。すると聞こえてくる音が徐々に大きくなって来る。

 魔物の叫びと剣戟の音。そしてそれに混じった人の声。
 
 少し先に見慣れた結晶が散らばっている。魔石だ。

 「あの先だ!」

 
 辿り着いた曲がり角で足を止めて先を覗き込む。

 するとその先は通路ではなく一つの広い空間だった。そして、数えるのも面倒になるほどのモンスターがこちらに背を向けて立っている。
 その向こうに冒険者たちがいるようだ。

 多すぎるけど...やるしかない!

 剣を抜くと同時、

 「突撃ッ───!!」

 隊長が腹の底に響くような大声でそう言い、俺たちは魔法を放ちながら一塊となってモンスターの壁に突進した───。

 



 

 


 
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます

銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。 死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。 そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。 そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。 ※10万文字が超えそうなので、長編にしました。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

1枚の金貨から変わる俺の異世界生活。26個の神の奇跡は俺をチート野郎にしてくれるはず‼

ベルピー
ファンタジー
この世界は5歳で全ての住民が神より神の祝福を得られる。そんな中、カインが授かった祝福は『アルファベット』という見た事も聞いた事もない祝福だった。 祝福を授かった時に現れる光は前代未聞の虹色⁉周りから多いに期待されるが、期待とは裏腹に、どんな祝福かもわからないまま、5年間を何事もなく過ごした。 10歳で冒険者になった時には、『無能の祝福』と呼ばれるようになった。 『無能の祝福』、『最低な能力値』、『最低な成長率』・・・ そんな中、カインは腐る事なく日々冒険者としてできる事を毎日こなしていた。 『おつかいクエスト』、『街の清掃』、『薬草採取』、『荷物持ち』、カインのできる内容は日銭を稼ぐだけで精一杯だったが、そんな時に1枚の金貨を手に入れたカインはそこから人生が変わった。 教会で1枚の金貨を寄付した事が始まりだった。前世の記憶を取り戻したカインは、神の奇跡を手に入れる為にお金を稼ぐ。お金を稼ぐ。お金を稼ぐ。 『戦闘民族君』、『未来の猫ロボット君』、『美少女戦士君』、『天空の城ラ君』、『風の谷君』などなど、様々な神の奇跡を手に入れる為、カインの冒険が始まった。

スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい

兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。

フェンリルさんちの末っ子は人間でした ~神獣に転生した少年の雪原を駆ける狼スローライフ~

空色蜻蛉
ファンタジー
真白山脈に棲むフェンリル三兄弟、末っ子ゼフィリアは元人間である。 どうでもいいことで山が消し飛ぶ大喧嘩を始める兄二匹を「兄たん大好き!」幼児メロメロ作戦で仲裁したり、たまに襲撃してくる神獣ハンターは、人間時代につちかった得意の剣舞で撃退したり。 そう、最強は末っ子ゼフィなのであった。知らないのは本狼ばかりなり。 ブラコンの兄に溺愛され、自由気ままに雪原を駆ける日々を過ごす中、ゼフィは人間時代に負った心の傷を少しずつ癒していく。 スノードームを覗きこむような輝く氷雪の物語をお届けします。 ※今回はバトル成分やシリアスは少なめ。ほのぼの明るい話で、主人公がひたすら可愛いです!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...