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第二章
発見
しおりを挟む階段を降りた後も俺たちはすんなりと第二層を進んで行った。
先頭の騎士と冒険者の会話を聞いた感じ、第一層の時と同じように、ここのモンスターの中にも第三層のモンスターが混じっているみたいだ。
ただ、罠のレベルは変わっていないらしい。
何でこんなことが起こるんだ?
と思ったが、ビューラー曰く、そういうものらしい。特に超高ランクダンジョンであるここでは何が起こっても不思議じゃないと。
怖すぎでしょ...!?
しばらく歩くと、また下層に伸びる階段に着いた。
「この下が第三層だ。説明したとおり、Sランクパーティーが失踪したほどの危険な領域だ。一層気を引き締めろ」
階段を降りて慎重に進む。しばらくすると先頭の人たちが立ち止まり、困惑したように言葉を交わし始めた。
どうしたんだろう、別れ道でも何でもないのに。
話を聞く感じ、この道は罠によって塞がれて行き止まりになっていたが、それが元に戻っているということらしい。
「通れるようになったのならこのまま進むべきだ」
「いや捜索に出た奴らと同じ轍を踏むことになるかもしれん」
「だが別ルートで見つけられるか!?」
意見が分かれたがその結論はすぐに出ることになった。
「...静かに」
一人の冒険者の言葉に場が一瞬でしんと静まり返る。
「...?」
俺も耳を澄ませてみる。...何か聞こえる気がする。
キン、キンという甲高い金属音のような...。
「戦ってるぞ!?」
「この先だっ...!」
速度を上げて先を急ぐ。しかし罠への警戒もしなければいけないので全力疾走というわけにはいかない。
早く行きたいのに...!
索敵を得意とする冒険者の中には罠の存在を感知するスキルを持っている者もいるらしいが、このダンジョンにはそれが通用しないトラップも存在するみたいだ。
ーーーーガラガラ!ーーーー
冒険者の放った魔法が地面に着弾すると同時、その床があっさりと崩れ落ちた。
まさにその崩落トラップが仕掛けられていた。
通路は、両端を僅かに残して円形にくり抜かれるようになくなっている。
順番にその隅を通り抜けて行く。
「底が見えねぇな...一体どこまで落ちんだこれ...」
「これが三層ってレベルかよ!?」
これで下層に落とされたのか...てかここも落ちたりしないよな...!?
恐る恐る30cm程になってしまった通路を通り、さらに先に進む。すると聞こえてくる音が徐々に大きくなって来る。
魔物の叫びと剣戟の音。そしてそれに混じった人の声。
少し先に見慣れた結晶が散らばっている。魔石だ。
「あの先だ!」
辿り着いた曲がり角で足を止めて先を覗き込む。
するとその先は通路ではなく一つの広い空間だった。そして、数えるのも面倒になるほどのモンスターがこちらに背を向けて立っている。
その向こうに冒険者たちがいるようだ。
多すぎるけど...やるしかない!
剣を抜くと同時、
「突撃ッ───!!」
隊長が腹の底に響くような大声でそう言い、俺たちは魔法を放ちながら一塊となってモンスターの壁に突進した───。
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