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第一章
生徒への報酬
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「最後に魔導、騎士、冒険者学校生徒らへの報酬だが...」
その後の父の話はこんな感じだった。
魔導、騎士に関しては興味がなかったのでスルー。俺たちに関係のある話だけだと、
・冒険者学校の生徒は全員、進級や卒業に必要な成績にボーナスが加算される
・一定の働きをした生徒には追加報酬として、卒業後の冒険者ランクが1~2上からスタートする
・さらにずば抜けた活躍をしていた場合、領都の鍛冶屋でオーダーメイドの武具を一品無料で作って貰える
という感じになっていた。
一定以上の基準がわからないのでちょっと不安だけど、あれだけ頑張ったんだし貰えるんじゃないかと思う。
あわよくば武器も欲しい。
剣は半ばから折れてしまったし、それにオーダーメイドという響きがいい。早く新しい剣が欲しくてワクワクする。
冒険者ランクが上がる話はだいぶ先の事だからピンとこないけど、特別感があってワクワクする。
全ての参加者は街に戻る際に、門の前に置かれたサッカーボールの2倍ほどの大きさの水晶玉のようなものに触れるように指示があった。
疲れたからもう休みたいんだけどな、と内心文句を垂れながら順番を待つ。
何をしているのか気になって見てみたら、水晶玉に参加者が触れると何やら情報が表示され、それを係のものが記録しているようだった。
ようやく自分の番が来てその玉に触れると、モンスターの名前と、その横に数字が表示された。
どうやら俺が倒した魔物のリストのようだった。
「これは......頑張りましたね」と記録係が驚いたように労いの言葉をかけてきたので、活躍した方だったのかもしれない。
「結構倒したんだな」
四人の記録が終わったので、学校への道を歩きながら口を開く。
「そうだな、もうボロボロだぜ」
「僕の槍も折れちゃったし...」
「槍はきっと新しいの作ってもらえますよ」
しょぼくれるフランツをエマが慰める。
実際、記録係のあの様子だと期待できるかもな。思い返したら結構頑張ったし。戦ってる時はいちいち数えてなかったけど。
「てか、それよりエル、お前あの力なんなんだよ」
聞くタイミングがようやく来て、待ちきれないといった様子でアルが聞いてくる。
間違いなく、トロールを倒したあの金色の剣のことだろう。
「あー、あれか...、実はあれはな...」
エマもフランツも興味津々といった感じで俺に顔を向けている。
わずかな溜めの後、皆が固唾を飲んで続く言葉に意識を向けるのを感じながら、俺は偽らざる本心を口にした。
「...なんなんだろうな?」
全くわかりません。
「なんでだよ」
アルがキレ気味に突っ込んでくる。
「しょうがないだろ、わかんないんだから」
「自分の力なのにわからないってどういうことなんだよ......」
だが、あの力に助けられたのは疑いようもない事実だし、そんなものが自分の中に秘められていると思うと、なんだかすごく胸が熱くなる。
使いこなせるようになれたらいいな、と思いつつ寮に帰ると、戦いで高揚した気分が落ち着き、疲労感が押し寄せてきて、汚れた格好のまま俺はベッドにダイブした。
アルは二段ベッドに上がるのも億劫だったようで、下のベッドに寝る俺の上に折り重なるように倒れてきた。
どかす気力もなかった俺は諦めてそのまま寝た。
次の日の目覚めが最悪だったことは言うまでもないだろう。
その後の父の話はこんな感じだった。
魔導、騎士に関しては興味がなかったのでスルー。俺たちに関係のある話だけだと、
・冒険者学校の生徒は全員、進級や卒業に必要な成績にボーナスが加算される
・一定の働きをした生徒には追加報酬として、卒業後の冒険者ランクが1~2上からスタートする
・さらにずば抜けた活躍をしていた場合、領都の鍛冶屋でオーダーメイドの武具を一品無料で作って貰える
という感じになっていた。
一定以上の基準がわからないのでちょっと不安だけど、あれだけ頑張ったんだし貰えるんじゃないかと思う。
あわよくば武器も欲しい。
剣は半ばから折れてしまったし、それにオーダーメイドという響きがいい。早く新しい剣が欲しくてワクワクする。
冒険者ランクが上がる話はだいぶ先の事だからピンとこないけど、特別感があってワクワクする。
全ての参加者は街に戻る際に、門の前に置かれたサッカーボールの2倍ほどの大きさの水晶玉のようなものに触れるように指示があった。
疲れたからもう休みたいんだけどな、と内心文句を垂れながら順番を待つ。
何をしているのか気になって見てみたら、水晶玉に参加者が触れると何やら情報が表示され、それを係のものが記録しているようだった。
ようやく自分の番が来てその玉に触れると、モンスターの名前と、その横に数字が表示された。
どうやら俺が倒した魔物のリストのようだった。
「これは......頑張りましたね」と記録係が驚いたように労いの言葉をかけてきたので、活躍した方だったのかもしれない。
「結構倒したんだな」
四人の記録が終わったので、学校への道を歩きながら口を開く。
「そうだな、もうボロボロだぜ」
「僕の槍も折れちゃったし...」
「槍はきっと新しいの作ってもらえますよ」
しょぼくれるフランツをエマが慰める。
実際、記録係のあの様子だと期待できるかもな。思い返したら結構頑張ったし。戦ってる時はいちいち数えてなかったけど。
「てか、それよりエル、お前あの力なんなんだよ」
聞くタイミングがようやく来て、待ちきれないといった様子でアルが聞いてくる。
間違いなく、トロールを倒したあの金色の剣のことだろう。
「あー、あれか...、実はあれはな...」
エマもフランツも興味津々といった感じで俺に顔を向けている。
わずかな溜めの後、皆が固唾を飲んで続く言葉に意識を向けるのを感じながら、俺は偽らざる本心を口にした。
「...なんなんだろうな?」
全くわかりません。
「なんでだよ」
アルがキレ気味に突っ込んでくる。
「しょうがないだろ、わかんないんだから」
「自分の力なのにわからないってどういうことなんだよ......」
だが、あの力に助けられたのは疑いようもない事実だし、そんなものが自分の中に秘められていると思うと、なんだかすごく胸が熱くなる。
使いこなせるようになれたらいいな、と思いつつ寮に帰ると、戦いで高揚した気分が落ち着き、疲労感が押し寄せてきて、汚れた格好のまま俺はベッドにダイブした。
アルは二段ベッドに上がるのも億劫だったようで、下のベッドに寝る俺の上に折り重なるように倒れてきた。
どかす気力もなかった俺は諦めてそのまま寝た。
次の日の目覚めが最悪だったことは言うまでもないだろう。
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