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Happy new world

3.5.My dear brother 〜私達のお兄ちゃんは〜

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~榊 朔夜・美月~

 私達2人には2つ年上のお兄ちゃんがいる。

 私達が小学生だった頃からお部屋に篭ってしまい、日常的に顔を合わせる事が無くなってしまったお兄ちゃん。
 最初の頃は『何故?』と言う気持ちが強くて何度も何度もドアを叩いたが、返ってくる言葉は荒々しい拒絶だった。
 私達はお兄ちゃんを怒らせてしまった事実が悲しくてママに相談したら、『2人の責任じゃないのよ。悪いのはママなの』と返され、2人で相談して、そっとする事に決めた。

 家族に男の人がいるのは凄く珍しい事で、私達が通う学校にも男子生徒は7人しかいないし、クラスメイトや部活の先輩、後輩達にも家族に男の人がいるなんて聞いた事が無い。
 それもそうだろうと思う。例え家族に男の人がいても基本的に外には出ないし、オープンにし過ぎると、とても
 そういうニュースは連日のように聞くから、秘密にするのもしょうがないと思う。私達だってそうだ。それに加えてお兄ちゃんは既に被害者だから...私達は、悔しい。


 お兄ちゃんと顔を合わせ無くなって3年という長い時間が経った。
 いつものように2人で部活動から帰宅すると、興奮気味のママから衝撃的な事を聞かされた。

「2人共!今日ね、お昼御飯を優君と一緒に食べたの!!優君がお部屋から出てきてくれたのよ!」
「ッ!?」
「ホントに...?ウソ!?」
「わ、私達もお話したい!」
「本当よ!荷物を片付けて、優君を誘ってらっしゃい。優君なら応えてくれるわ。皆でお茶にしましょ!」

 私達は急いで私室で準備を整え、お兄ちゃんのお部屋のドアの前で2人して大きく深呼吸する。お互い緊張しているのが分かって、示し合わせたかのように手を繋いだ。
 勇気をシェアして、扉をノックする。

「優兄ちゃん、ただいま。今居る?今日、お昼御飯ママと一緒に食べたってホント?ねぇ、お部屋から出たの?私も優兄ちゃんとお話したい!ねぇ、ダメ?」
「優兄。私達とも一緒にオヤツを食べるべき」

 3年前から閉じたままのドアが本当に開くのかどうか、不安と緊張でお互い無意識に繋いだ手にギュッと力が入る。
 1秒1秒が長く感じて、涙が溢れそうになった、その時。

ーーーガチャ。

「お帰り、2人共。今まで心配かけてごめんな。これから沢山仲良くしてくれるかい?」

ーーードアが、開いた。

 久しぶりに顔を合わせた、私達のお兄ちゃんは。

 凄く伸びて高くなった身長、
 ドキッとするくらい整ったお顔、
 笑顔がキラキラしてて素敵で、
 久しぶりに会う私達にも凄く優しくて。

 私達の不安を余所に、お兄ちゃんは凄く自然な態度で私達に接してくれた。
 お兄ちゃんの淹れた紅茶は凄く美味しかったし、お兄ちゃんのやりたい事を話す真剣な表情は、カッコ良すぎて顔が熱くなるのを感じた。
 
 お兄ちゃんはこれから凄く大変だと思う。
 これだけカッコ良くて、女性に優しい男の人を私達は知らない。
 普通、男の人は偉そうにしていて、見た目も太ってる人が多いって聞いた子供あるし、乱暴らしいから。


 これから、お兄ちゃんが世間の注目を浴びた時、私達2人は必ず支えていきたいと思う。


ーーーだってお兄ちゃんの事が、大・大・大好きだから♡



「ねぇ、美月。優兄は兄妹でも結婚出来るの知ってると思う?」
「やっぱり朔ちゃんも考えた?私も同じ事考えてたよ!」
「「じゃあーーー」」



「「2人揃ってお嫁さんにしてもらおッ♡」」



「「これからもよろしくね、お兄ちゃん愛しい人ッ!!」」
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