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第10話 エクムント捕縛
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「えっと……エクムント=バルミングさんですか?」
「? そうですが、何か?」
旅をしてたどり着いたとある国のギルド、そこの受付嬢がエクムントの姿を見て声をかけてくる。
「国王陛下が直々に話をしたいから城まで来てくれとの通達がございます」
「国王陛下御自ら、ですか?」
聞くにここの国王と言えば確か『傭兵王』と呼ばれる武力でのし上がった王で、国王となった今でも野心や野望の炎が胸から消えないどころか、ますます勢いが増していると聞く。
彼にとっては要注意人物だった。とはいえ曲がりなりにも王の命令に背くわけにはいかない。その通達に応じることにした。
「エクムント=バルミング、ただいま参りました」
「おお、お前がそうか。エクムント、お前は噂ではあらゆる分野における世界トップの人材を思うがままに操れるそうだな?」
「世界トップレベルかどうかは分かりませんが旅をしている身。世界各地に知り合いがいるのは確かです」
「オレはそれが欲しい! その人脈があれば世界を意のままに操る事も出来よう! オレは神になりたいんだ!」
「分かりました。では紹介料をお支払いいただければいつでも力をお貸し致しますよ」
紹介料を徴収する。そう言ってエクムントは『取引』を持ちかける。だが相手はその気はなかった。
「オイオイ、笑わせるつもりか? オレにカネを払えだと? 冒険者ぶぜいが一国の王相手に交渉出来るとでも思っているつもりか?」
「私はそのつもりですが。何せ世界中の王侯貴族相手に人脈を紹介してきました過去がありますゆえ、今回も同じような事かと」
「そうか。わかった」
傭兵王はそう言うと指をパチン! と鳴らす。それを合図にエクムントの周りをぐるりと兵士が囲んだ。
「お前はオレと『取引』をしたいそうだがあいにくお前ごときに渡すカネなどないし、ただの冒険者相手に頭を下げて『お願い』をするわけでもない。
これは『命令』だ。お前の人脈全てをオレに捧げろ!」
「お断りしますね。目下とはいえ人に対して敬意を払えない人には一切協力は致しません。お引き取り願いますね」
「こんな状態で良くそんなふざけたセリフが吐けるな!」
「もしも私を殺したら私の人材にアクセスする方法は永遠に失われますし、知り合いが決起してあなたを国もろとも粉になるまでいたぶるだけでしょう。あなたにとってもメリットはありませんよ?」
「ククククク……その減らず口がどこまで叩けるか見ものだな。投獄しろ!」
傭兵王はエクムントを牢獄へと連れていくよう指示する。
「投獄ですか。辞めた方が良いですよ。私の身に何かあったら知り合いが黙って見過ごすわけにはいきませんから。最悪国が滅ぶことも視野に入れなくてはなりませんぞ?」
「ぶはははは! 国が滅ぶだぁ? 随分とまぁ大げさな事を言うな! オレを誰だと思ってる!? オレは『傭兵王』だぞ!? 今でこそ現役は退いたがまだまだ衰えてはいない!
それに兵もオレの教育の元鍛えられている! 一体だれがオレの国を攻め滅ぼすというんだ!?」
「大げさでもなんでもありません。私の知り合いの人たちが本気を出せばこの程度の国なら3日も持たずに陥落するでしょう。
実際、過去にあなたと同様私の知り合いを奪おうとしたとある帝国が、私の知り合いに攻められて滅亡して、そこの皇族が全滅することもありました。
あんな目に合わせるのは私も心が痛みます。ちなみにそこの皇帝は今のあなたと大体同じような内容を言っていましたよ。結果滅んだんですけどね」
「心配するようなことは無い! オレの国はこの辺じゃ武力の高さで知られてる! どこかは知らないがそんなヘマをこくような真似はしないから安心したまえ!
さぁ無駄話は終わりだ! 行け!」
傭兵王はエクムントを牢獄へと連れて行くように指示した。
牢獄に着くと水が張られたタライが置かれたテーブルがあった。拷問官のいる牢獄内に入るなりエクムントの予想通り、彼はそこに顔面を突っ込まれた。
「ゴボビブベボゴボ!」
「ぷはぁ! はぁ……はぁ……」
「どうだ? 協力する気になったか?」
「今すぐこんなことは止めなさい。でないとあなたたちどころかこの国が滅びますぞ」
エクムントの頭は再びタライの中に突っ込まれた。
しばらくして……傭兵王がエクムントの様子を見に来た。
「『傭兵王』殿。今すぐ私を釈放しないと大変な目に遭いますよ。私の知り合いには気の短い者も多数おります。
この騒ぎを聞きつけてやってきたら、あなたは殺されますし、この国も滅びます。脅しでもなくそのままの意味です。これが最後のチャンスだと思ってください」
「ぶはははは! オレを誰だと思ってる!? オレは『傭兵王』だぞ! その辺の雑魚に負けるようなポンコツじゃない!」
「私の知り合いはどれもこれも『世界1』と言える実力者ばかりです。自ら『傭兵王』などと名乗るのはいいですけどその程度では到底かなう相手ではありませんよ」
エクムントは話を続ける。
「さっき私の知り合いに攻められて滅亡した国がある、という話をしましたよね。そこは正式に言えば『旧』アヴァロン帝国でした」
「『旧』アヴァロン帝国? どういう意味だ?」
「私の知り合いの手で皇族が全滅して血が絶えてしまったんですよ。今ではその側近が代わりに皇帝になって統治しているから今のアヴァロン帝国は正式に言えば『新生』アヴァロン帝国なんですよ」
「ぶはははは! 何を言い出すと思ったらあの世界最強の軍事国家を出してくるとはな! ずいぶんとスケールのでかい『ホラ話』だな!」
「まぁにわかには信じられない話でしょう。ですがこれは真実です。私をめぐって国1つ滅んだのは事実ですよ」
「わかったわかった。お前はホラ話が得意なのは認めよう。で、人脈をオレのために使う気にはなったか?」
「それは嫌ですね」
「わかった。続けろ!」
拷問が再開された。
【次回予告】
『傭兵王』による拷問を受けるエクムント。だがそれを黙ってみている程、彼の知り合いは甘くはない。奪還作戦が始まろうとしていた。
第11話 「エクムント救出作戦 前編」
「? そうですが、何か?」
旅をしてたどり着いたとある国のギルド、そこの受付嬢がエクムントの姿を見て声をかけてくる。
「国王陛下が直々に話をしたいから城まで来てくれとの通達がございます」
「国王陛下御自ら、ですか?」
聞くにここの国王と言えば確か『傭兵王』と呼ばれる武力でのし上がった王で、国王となった今でも野心や野望の炎が胸から消えないどころか、ますます勢いが増していると聞く。
彼にとっては要注意人物だった。とはいえ曲がりなりにも王の命令に背くわけにはいかない。その通達に応じることにした。
「エクムント=バルミング、ただいま参りました」
「おお、お前がそうか。エクムント、お前は噂ではあらゆる分野における世界トップの人材を思うがままに操れるそうだな?」
「世界トップレベルかどうかは分かりませんが旅をしている身。世界各地に知り合いがいるのは確かです」
「オレはそれが欲しい! その人脈があれば世界を意のままに操る事も出来よう! オレは神になりたいんだ!」
「分かりました。では紹介料をお支払いいただければいつでも力をお貸し致しますよ」
紹介料を徴収する。そう言ってエクムントは『取引』を持ちかける。だが相手はその気はなかった。
「オイオイ、笑わせるつもりか? オレにカネを払えだと? 冒険者ぶぜいが一国の王相手に交渉出来るとでも思っているつもりか?」
「私はそのつもりですが。何せ世界中の王侯貴族相手に人脈を紹介してきました過去がありますゆえ、今回も同じような事かと」
「そうか。わかった」
傭兵王はそう言うと指をパチン! と鳴らす。それを合図にエクムントの周りをぐるりと兵士が囲んだ。
「お前はオレと『取引』をしたいそうだがあいにくお前ごときに渡すカネなどないし、ただの冒険者相手に頭を下げて『お願い』をするわけでもない。
これは『命令』だ。お前の人脈全てをオレに捧げろ!」
「お断りしますね。目下とはいえ人に対して敬意を払えない人には一切協力は致しません。お引き取り願いますね」
「こんな状態で良くそんなふざけたセリフが吐けるな!」
「もしも私を殺したら私の人材にアクセスする方法は永遠に失われますし、知り合いが決起してあなたを国もろとも粉になるまでいたぶるだけでしょう。あなたにとってもメリットはありませんよ?」
「ククククク……その減らず口がどこまで叩けるか見ものだな。投獄しろ!」
傭兵王はエクムントを牢獄へと連れていくよう指示する。
「投獄ですか。辞めた方が良いですよ。私の身に何かあったら知り合いが黙って見過ごすわけにはいきませんから。最悪国が滅ぶことも視野に入れなくてはなりませんぞ?」
「ぶはははは! 国が滅ぶだぁ? 随分とまぁ大げさな事を言うな! オレを誰だと思ってる!? オレは『傭兵王』だぞ!? 今でこそ現役は退いたがまだまだ衰えてはいない!
それに兵もオレの教育の元鍛えられている! 一体だれがオレの国を攻め滅ぼすというんだ!?」
「大げさでもなんでもありません。私の知り合いの人たちが本気を出せばこの程度の国なら3日も持たずに陥落するでしょう。
実際、過去にあなたと同様私の知り合いを奪おうとしたとある帝国が、私の知り合いに攻められて滅亡して、そこの皇族が全滅することもありました。
あんな目に合わせるのは私も心が痛みます。ちなみにそこの皇帝は今のあなたと大体同じような内容を言っていましたよ。結果滅んだんですけどね」
「心配するようなことは無い! オレの国はこの辺じゃ武力の高さで知られてる! どこかは知らないがそんなヘマをこくような真似はしないから安心したまえ!
さぁ無駄話は終わりだ! 行け!」
傭兵王はエクムントを牢獄へと連れて行くように指示した。
牢獄に着くと水が張られたタライが置かれたテーブルがあった。拷問官のいる牢獄内に入るなりエクムントの予想通り、彼はそこに顔面を突っ込まれた。
「ゴボビブベボゴボ!」
「ぷはぁ! はぁ……はぁ……」
「どうだ? 協力する気になったか?」
「今すぐこんなことは止めなさい。でないとあなたたちどころかこの国が滅びますぞ」
エクムントの頭は再びタライの中に突っ込まれた。
しばらくして……傭兵王がエクムントの様子を見に来た。
「『傭兵王』殿。今すぐ私を釈放しないと大変な目に遭いますよ。私の知り合いには気の短い者も多数おります。
この騒ぎを聞きつけてやってきたら、あなたは殺されますし、この国も滅びます。脅しでもなくそのままの意味です。これが最後のチャンスだと思ってください」
「ぶはははは! オレを誰だと思ってる!? オレは『傭兵王』だぞ! その辺の雑魚に負けるようなポンコツじゃない!」
「私の知り合いはどれもこれも『世界1』と言える実力者ばかりです。自ら『傭兵王』などと名乗るのはいいですけどその程度では到底かなう相手ではありませんよ」
エクムントは話を続ける。
「さっき私の知り合いに攻められて滅亡した国がある、という話をしましたよね。そこは正式に言えば『旧』アヴァロン帝国でした」
「『旧』アヴァロン帝国? どういう意味だ?」
「私の知り合いの手で皇族が全滅して血が絶えてしまったんですよ。今ではその側近が代わりに皇帝になって統治しているから今のアヴァロン帝国は正式に言えば『新生』アヴァロン帝国なんですよ」
「ぶはははは! 何を言い出すと思ったらあの世界最強の軍事国家を出してくるとはな! ずいぶんとスケールのでかい『ホラ話』だな!」
「まぁにわかには信じられない話でしょう。ですがこれは真実です。私をめぐって国1つ滅んだのは事実ですよ」
「わかったわかった。お前はホラ話が得意なのは認めよう。で、人脈をオレのために使う気にはなったか?」
「それは嫌ですね」
「わかった。続けろ!」
拷問が再開された。
【次回予告】
『傭兵王』による拷問を受けるエクムント。だがそれを黙ってみている程、彼の知り合いは甘くはない。奪還作戦が始まろうとしていた。
第11話 「エクムント救出作戦 前編」
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