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アダルトビデオの様な真実の愛

13.幸せな午後

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昼からは2人でデート気分。
少なくとも僕はめっちゃくちゃ幸せ気分です。

「どこ行きたい?」

「まずは清水寺ですかね?」

「そうやね、清水寺まだ行けてないしな。あと法観寺の五重の塔やな」

「そうそう、絵になりますよね」

二年坂、三年坂、五重の塔。
何か普通のデートのように思えた。

「林さん、この写真どうですか?
どうもしっくり来なくて」

「紅葉とを印象的に撮りたいのか、お寺を撮りたいのかにもよるかな?紅葉なら、もう少し紅葉をアップにして少しレンズを開けると、バックのお寺がボケて紅葉が浮いてくるよ」

「ほんとだ、理想どうりです、先生」

「先生はいいよ、林さんもかな?同級生やから真一がいいな」

「じゃあ真一くんでいいですか?
私は里穂でお願いします」

「じゃあ里穂ちゃんで」

何かいい感じ。
大学生って感じになってきた。

「かなり撮れたん違う?」

「うん。かなり歩いたね」

「ちょっと休憩する?」

「うん」

2人は京都が見下ろせるベンチに座った。

「真一くんは実家から通ってるの?」

「いや、実家は田舎なんで学校の近くで住んでるよ」

「そうなんだ」

「里穂ちゃんも1人暮らしやろ?」

「うん。自炊も初めてだから大変。でもできるだけそうしたいの」

「そっかー僕は自炊はできひんわ」

「そっか、アルバイトはしてるの?」

「もちろん。マンション代と食費くらいは稼がないとな」

「そうだよね、私も考えないととは思ってます。ちなみにどんなアルバイトですか?」

「お弁当屋さんとアダ、いやビデオショップ」

「掛け持ちしてるんだ、凄い」

「いや、親に負担かけたくないしね」

「凄いよ、さすが真一くん。できる男だね。そんな男性素敵だな」

えー何か嬉しい!
でもアダルトビデオ店とは言えなかった。
まあ嘘はついてない、セーフや。

「そろそろ、行かないとあかんかな?」

「あっ、もうこんな時間たね、行こ、真一」

えっ?真一?

「うん、行こ、里穂」

何か嬉しい。
清水寺の方角から涼しい風が吹いたように感じた。

凄く自然に僕の手を取り、引っ張る里穂に気持ちまで引き寄せられる。

「ねえ、真一、彼氏になってよ」

「えっ?」

「うん」

「やったー」

なんて清々しい告白?
何も迷いなくうんと言ってしまった。

とりあえずあとで考えよう。

いつの間にか逆にしっかり手を握り引っ張る自分がいた。

振り向くと里穂の笑顔が眩しい。

「すみません、ぎりぎりになって」

「みなさんいい写真撮れましたか? 各自今月中に1作品を額装して出してください。一年生のお二人も良かったら出してね。今日はお疲れ様でした」

今日はここで解散だった。

「林さんと柴田さんはどうでしたか?できたらサークルに入ってほしいな」

「はい、私は入りたいです」

「あっ、ぼっ、僕も入ります」

「ありがとう!じゃあ入学式の後に歓迎会するね」

みんなに喜んでもらったが、1番嬉しいのは自分だった。
いやもう1人嬉しそうな人がいた。

「お疲れ様でした」

2人は微妙な距離をとりながら歩き出した。

先輩達の姿が見えなくなったころ、横丁へ入った。

「次の駅まで、歩こう」
「うん」

繋いだ手の温もりと柔らかさが心を温める。

「楽しかったな」

「うん。私で良かったの?」

「里穂がいい」

「嬉しい」

ただ、黙って歩くのがこんなに幸せなんだって感じた。

疲れたのだろう、電車では僕にもたれて里穂はすやすやと眠った。

僕は朝から撮影した里穂の写真を見ていた。
どれも可愛いい。

帰ればはるかがいる。
こんな僕でいいはずないよな?

里穂の可愛い寝顔を見ながらふと思った。
どうすればいいのだろうか?

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