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第二章
幼馴染みと再会3『何か間違ったこと言ったかなぁ……。』
しおりを挟む◇◇◇◇◇
幼馴染みのシルフィと二か月ぶりの再会を果たした数分後。
「大変です! 盗賊らしき武装した連中がこちらに向かっています!」
街道に視線をやっていたデリック君が慌てて俺たちに告げてきた。
見れば、確かに遠方から二十人ほどの集団がぞろぞろ進んできていた。
ああ、やっぱり代わりの連中は用意されていたのか。
俺のときと比べるとかなりの殿様出勤だな……。
前もこれくらいに来てたら俺は会わずに終わってたぞ。
「え? なに? どうしたの? あっ! そういえばなんでここにジンジャーがいるの? 久しぶり? てか、グレンはどうして人間と一緒に待ってたわけ?」
この状況で今さらな質問をしてくるシルフィ。
今まで何を見ていたんだ?
どうやら外の世界に浮かれすぎて色々なものが意識に入らなくなっていたらしいな。
まあ、それでも説明はしてやらんとね。
「シルフィを……というか、里を旅立つエルフを待ち伏せて捕まえようとしてる連中がいるんだよ。俺が来たのはお前をやつらから守るためだ」
俺は簡易的に理由だけを言った。
すると、
「えっ? わたしと一緒に旅するためじゃないの!?」
「えっ? お前と旅を? なんで?」
「えっ? 違うの?」
「…………」
「…………」
なぜか気まずいムードになった。
いや、待て。どうしてこういう感じになる?
せっかく駆け付けたのに、なんでちょっと失望されたっぽい態度なの?
ジンジャーが溜息を吐いてるのが無性に腹立たしいし、レグル嬢たちは居心地悪そうに目を背けているし。
「なあ、シルフィ、一緒に旅ってさ――」
「とりあえず詳しい事情を説明してくれる?」
「お、おう……?」
浮かれたテンションが嘘みたいに消えたシルフィは俺からの質問を許さず、ぞわっとするくらいクールな感じで詳細な説明を求めてきたのだった。
何か間違ったこと言ったかなぁ……。
◇◇◇◇◇
「そんでな、かくかくしかじかで……」
俺は里を出た直後にガラの悪い連中に襲われたこと。
そいつらがエルフを捕まえて奴隷にしようとしている組織の一員だったこと。
すでに里を旅立ったエルフが何人も捕まっている可能性があるということ。
奴隷にされていたジンジャーを助けたこと。
途中で知り合ったレグル嬢たちと協力して奴隷商人を捕まえようとしていることなどを掻い摘んで話していった。
「じゃあ、ここ数年旅立って里に帰ってきてない人たちは……?」
「ああ、その可能性は十分にある」
「そんな……うそでしょ……」
シルフィは顔を青くさせて身を震わせた。
ここ数年で旅立って帰ってきていないエルフたちは俺たちと学校で机を並べて共に学んだり一緒に遊んだりしたことのある者が多い。
そんな身近だった存在が捕らえられて奴隷になっているかもしれないと聞けばショックを受けるのは当然のことだろう。
そもそもエルフ里はほとんどみんな知り合いみたいなもんだし……。
「ところでジンジャーのその服はなに? なんでスカート履いてるの? 奴隷からは解放されたんじゃないの?」
メイド服を着ているジンジャーに疑問をぶつけるシルフィ。
むしろ今までスルーしてたのが不思議なくらいだが。
さっきまでは本当に注意力が散漫になってたんだなぁと思う。
「ああ、これはね、自由になったけど真実の愛を見つけたからさ」
「あい……?」
ジンジャーの得意げな発言の意味が理解できずシルフィは困惑していた。
うん、そこはわからなくていいよ。
俺も説明したくない。
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