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第4話『転移魔法』
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俺は四天王とかいうわけのわからん不良をぶっ飛ばした罪で停学処分になってしまった。
なってしまいましたッ!
なんということだろう。
入学して僅か一日、いや、数時間……?
まだ授業を一度も受けていないのに俺は停学になってしまった!
俺は停学になってしまったのだ!
大事なことすぎて何度も繰り返してしまったぜ……。聞いたところによると、同級生を助けようとしたということで情状酌量の余地も検討されたそうだが、花園が病院に運ばれて重傷だったため、まったくの処分なしとはいかなったんだとか。
まあ、退学にならなかっただけ十分な温情を与えられたと思うしかない。
というか、怪我の度合いからして警察沙汰にならなかったことが奇跡だと思う。
なんでならなかったんだろうね?
ありがたいっちゃありがたいけど。
ちなみに花園が空高く舞い上がった件については目撃者たちが集団で見間違えたと判断されてスルーされたらしい。
どんな見間違えだ。
けど、常識的に考えたらありえないからな。
そう見做されるのが普通かもしれない。
そんなこんなで。
停学になった俺はやることもないので(課題はあるけど)、高校進学のお祝いに買ってもらったノートパソコンでネットサーフィンをしていた。
今までネットなんて使うことはなかったんだが、いろいろと有意義な情報を簡単に得られるからすごく便利。
いや、ホント、いろいろな……。
ふぅ……。
夜になった。
「やはり、自分の力がどれくらい戻っているのか把握しておく必要がある」
俺はノートパソコンをパタリと閉じ、そういう結論に至った。
ぶっちゃけ前世の記憶とかヤンチャしてた過去の思い出くらいにしか捉えてなかったんだが、今回みたいなトラブルがまた起きるとも限らない。
対策を練るためにもきちんと向き合わなければ。
力が戻ってる可能性にもっと早く思い当たっていたら停学になんて……。
俺は何も変わっていない! とか思ってたあの日の自分を殴りたい。
「でも、さすがにこの部屋でアレコレやるわけにいかんよなぁ……」
俺は都会の高校に通うために親元を離れて村を出てきた。
そして俺が下宿先として引っ越してきたのは都会で暮らす従姉のマンションなのである。
居候させてもらっている部屋で魔法を試して暴発したら取り返しがつかない。
ただでさえ従姉には停学処分が決まったときに保護者役として三者面談とかで迷惑かけたし。
どこか人気のない広い場所でやるのがベストだろう。
「なら、最初に使ってみる力は――」
そう、転移魔法だ!
◇◇◇◇
はい、転移魔法に成功しました!
描写を入れる隙もなく到着ですよ。
無事にマンションから地元の村近くにある河原まで移動できました。
山に囲まれた田舎の景色です。
力が戻って視力もよくなってるのか真っ暗なのに遠くの景色まで見えます。
見てください、夜で誰もいない真っ暗な河原を!
聞いてください、澄んだ水のせせらぎを!
うん、転移魔法は前世と同じ感覚で使える。
いや、魔法ってマジ便利だよなぁ……。
本来なら電車や新幹線を乗り継いで何時間もかかる距離を一瞬だもん。
当時は意識してなかったけど、現代の常識を得た今ならそのすごさがよくわかるわ。
これはね、チートですよ……。
「さて、いろいろ試していくとすっかね」
俺は魔力をムンムンと意識し始めた。
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