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第四章
4-123 森の出口を目指して ②
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だんだんと目の前の景色が明るくなり、魔物の数も減り動物や昆虫類が増えてきたので森の出入り口が近いと感じ取れた。
あんなに意気揚々と先頭きってローダンと歩いていたキュリッチがオドオドしだし、小さな昆虫の姿を見るたびに驚き、怯えてローダンにへばり付いている。
『やべぇ~なぁー、あのギャップは...本当にダンジョンの主か??』
ブルーム兄さんは頭を掻きながら目の前の光景に対して苦言を言うが...それに関しては誰も何も言えなかった。
何回見てもあのキュリッチの姿には慣れないからね...。
魔物に対しては常に冷静で強気でいるキュリッチ。
まさに魔物の主と言わんばかりの貫禄が伺えていたのだが...。
『うわーん!!無理ィーー!!!!!!あっ!また飛んできた?!!ぎゃー~~ー!!!!!!』
蜘蛛が木の枝でぶら下がっているだけでもこのザマ...。
笑えるのがハエが飛んできただけでも身体を縮こまらせて震えているのだから...。
『こんなんで外で暮らしていけるのでしょうか?』
『無理じゃねぇー??街のチビ達よりヘタレだぜ?』
ラース兄さんとブルーム兄さんの言葉に私とフレアは口ごもり何も言えずにいて、ローダンは虫がでるたびに怯えるキュリッチを根気よく相手している。
『大丈夫だって、あれは蜘蛛だから心配ないよ??』
『何が心配ないのさぁー!!』
『あの種類は小型の昆虫を餌にして生きているから僕達には何もしてこないよ??』
『本当か?!本当なんだな?!!違ってたらどうするんだ?!!』
小さい子供を宥める感じで接するローダン。
そんなローダンの服の袖もをちぎれんばかりに握りしめて残念な表情を浮かべて怯えるキュリッチ。
微笑ましい光景なのだけど...さっきから一歩も進んでないので、どうにかしないと別の意味で森から出れないと思えてきた。
私は溜息を吐くとローダン達の元へ行き怯えるキュリッチをローダンから引き離し肩に担ぐ。
『もうー、これでいいでしょう?キュリッチ?私が言うと言うまで目を瞑ってな。』
私はキュリッチを肩に担いでローダンの手を引き森の出入り口へと向かう。
『分かった!主!頼んだぞ!ああ...なんでこんなに虫が多いのだ??おかしい...こうなったら虫を排除...』
キュリッチはいきなり物騒な事を言い出したかと思ったら濃度の高い魔力を練りだしたので、私は急いでとめにはいる。
『キュリッチ!それは駄目よ。虫がいないと植物は育たないし、動物達も減るから困るわ。
魔物には平然としているのになんでこんな虫に弱いのかしら?』
昆虫の撲滅を図ろうとしたキュリッチの魔法を難なく妨害しつつ、遮音魔法を使い虫の羽音と気配をを遮断してあげると落ち着きを取り戻すキュリッチ。
『姉さん...姉さんって本当に凄いよね。僕、こんなのが使い魔なら契約破棄するよ。』
満面の笑みを浮かべてローダンは鬼の様な言葉を言うとキュリッチが落ち込む。
『大丈夫よ。私はこんな事で契約破棄なんてしないから。そもそもキュリッチなんて可愛いほうよ?昔のブルーム兄さんやローダンに比べたら。』
私がそう言うとブルーム兄さんとローダンが苦情を言おうとしたが、ラース兄さんが止めた。
だって...ようやく森の出入り口に着いたのだからね。
『ああ、ようやく着いたわね。じゃー行きましょうか?』
なんの変哲もない森の出入り口。
しかし、少しばかり緊張してしまう。
ちゃんと外に出ることができるのか...。
森をでても側に兄弟達がいるのか...。
私とキュリッチだけ森に逆戻りにならないか...など色々と嫌な事が頭に浮かんでくる。
口では行くと言っておきながらも中々足が進まない私の背中を兄さん達が支えて、ローダンが手を強く握り返してくれた。
私はそんな兄弟達を見つめて覚悟を決めて一歩踏み出すのだった。
あんなに意気揚々と先頭きってローダンと歩いていたキュリッチがオドオドしだし、小さな昆虫の姿を見るたびに驚き、怯えてローダンにへばり付いている。
『やべぇ~なぁー、あのギャップは...本当にダンジョンの主か??』
ブルーム兄さんは頭を掻きながら目の前の光景に対して苦言を言うが...それに関しては誰も何も言えなかった。
何回見てもあのキュリッチの姿には慣れないからね...。
魔物に対しては常に冷静で強気でいるキュリッチ。
まさに魔物の主と言わんばかりの貫禄が伺えていたのだが...。
『うわーん!!無理ィーー!!!!!!あっ!また飛んできた?!!ぎゃー~~ー!!!!!!』
蜘蛛が木の枝でぶら下がっているだけでもこのザマ...。
笑えるのがハエが飛んできただけでも身体を縮こまらせて震えているのだから...。
『こんなんで外で暮らしていけるのでしょうか?』
『無理じゃねぇー??街のチビ達よりヘタレだぜ?』
ラース兄さんとブルーム兄さんの言葉に私とフレアは口ごもり何も言えずにいて、ローダンは虫がでるたびに怯えるキュリッチを根気よく相手している。
『大丈夫だって、あれは蜘蛛だから心配ないよ??』
『何が心配ないのさぁー!!』
『あの種類は小型の昆虫を餌にして生きているから僕達には何もしてこないよ??』
『本当か?!本当なんだな?!!違ってたらどうするんだ?!!』
小さい子供を宥める感じで接するローダン。
そんなローダンの服の袖もをちぎれんばかりに握りしめて残念な表情を浮かべて怯えるキュリッチ。
微笑ましい光景なのだけど...さっきから一歩も進んでないので、どうにかしないと別の意味で森から出れないと思えてきた。
私は溜息を吐くとローダン達の元へ行き怯えるキュリッチをローダンから引き離し肩に担ぐ。
『もうー、これでいいでしょう?キュリッチ?私が言うと言うまで目を瞑ってな。』
私はキュリッチを肩に担いでローダンの手を引き森の出入り口へと向かう。
『分かった!主!頼んだぞ!ああ...なんでこんなに虫が多いのだ??おかしい...こうなったら虫を排除...』
キュリッチはいきなり物騒な事を言い出したかと思ったら濃度の高い魔力を練りだしたので、私は急いでとめにはいる。
『キュリッチ!それは駄目よ。虫がいないと植物は育たないし、動物達も減るから困るわ。
魔物には平然としているのになんでこんな虫に弱いのかしら?』
昆虫の撲滅を図ろうとしたキュリッチの魔法を難なく妨害しつつ、遮音魔法を使い虫の羽音と気配をを遮断してあげると落ち着きを取り戻すキュリッチ。
『姉さん...姉さんって本当に凄いよね。僕、こんなのが使い魔なら契約破棄するよ。』
満面の笑みを浮かべてローダンは鬼の様な言葉を言うとキュリッチが落ち込む。
『大丈夫よ。私はこんな事で契約破棄なんてしないから。そもそもキュリッチなんて可愛いほうよ?昔のブルーム兄さんやローダンに比べたら。』
私がそう言うとブルーム兄さんとローダンが苦情を言おうとしたが、ラース兄さんが止めた。
だって...ようやく森の出入り口に着いたのだからね。
『ああ、ようやく着いたわね。じゃー行きましょうか?』
なんの変哲もない森の出入り口。
しかし、少しばかり緊張してしまう。
ちゃんと外に出ることができるのか...。
森をでても側に兄弟達がいるのか...。
私とキュリッチだけ森に逆戻りにならないか...など色々と嫌な事が頭に浮かんでくる。
口では行くと言っておきながらも中々足が進まない私の背中を兄さん達が支えて、ローダンが手を強く握り返してくれた。
私はそんな兄弟達を見つめて覚悟を決めて一歩踏み出すのだった。
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