433 / 664
第三章
3-103 第三王子とガストン近衛隊長
しおりを挟む
「お前たちは何者だ!!ここがこの国の国王陛下の部屋だと知っての狼藉か?!!」
若さゆえなのか...少し身体を震わせながらも必死に去勢を張る若者に対して私とフレアは一切態度を変えずに対応した。
『なんなのあんた?何様?客人に対して無礼ね。』
「見た目からして...この国の王族の一人...か?それにしても...そんなに死に急ぐような真似をしなくてもいいのに。」
私とフレアの言葉に対してワナワナと震えながら両手に拳を握り必死に睨みつけてくる青年。
その側に控えていた年配の騎士が私達の間に入り話しかけて来た。
「失礼した。こちらはこの国の第三者王子のラス王子殿下です。急な事により無礼な態度をとり申し訳ない。私はラス王子殿下の近衛騎士団長を務めさせて頂いているガストンと申す。何故この国にこられたか教えて頂けるだろうか?」
見た目からしてこの場にいる誰よりもしっかりして腕もかなり達人物。
下手に敵に回すより状況を速やかに解決するには仲間にする方が得策であると判断して私とフレアはガストンとなった騎士に話をした。
すると...彼自身もこの国が現在どの様になっているのか把握できていなかった様子でかなり顔色を悪くする。
『言っておくけど...この目でここに来るまでに見た事を話ただけだからね。別に虚言を伝えているわけでもないわ。』
私がそう伝えるとガストンの背後に隠れていたラス王子が顔色を一際悪くしてガストンの横から私達に声をかけて来た。
「う、嘘だ!!デタラメだ!!だ、だって...村や町の魔物討伐には兄様達が騎士達を連れて出向いて行ったんだもん!!ありえない!!」
必死にそう叫ぶ彼の言葉を聞いて道中で見かけた光景の中にガストン達が来ている服に似た色違いの服を着た人の死体の一部があった事を思い出した。
きっとそれが彼の言う兄達の部隊なんだろうが...状況的に...全滅したというのが正しいかもしれないと思い私はあえて伏せずに全部伝えた。
『そう言えば...魔物に襲撃された町や村には魔物の死体と一緒にガストン??だったわよね?あなたとよく似た色違いの服を着た人達の死骸の一部があったわ。運が良ければどこかで生き延びているとは思うけど...状況的には...かなり厳しいんじゃない?
だって...すでにこの王都手前の所まで魔物の姿があったからね。』
私の言葉にラス王子はその場に崩れ落ちる。
それを見て私はなお言葉を続けた。
『どうする?このままここであのクズブタと一緒に死ぬか...民と一緒に生き延びて再起を図るか選びな。』
その言葉にガストンはラス王子を小脇に抱えて側に控えていた部下達に何やら指示を出した。
そして...
「客人。すまぬが言葉に甘えさせてもらう。どちらに向かったらいい。」
「王都の広場だ。」
「分かった。恩にきる。」
こうしてガストン達もこの城から出て生き延びる選択をしたのだった。
若さゆえなのか...少し身体を震わせながらも必死に去勢を張る若者に対して私とフレアは一切態度を変えずに対応した。
『なんなのあんた?何様?客人に対して無礼ね。』
「見た目からして...この国の王族の一人...か?それにしても...そんなに死に急ぐような真似をしなくてもいいのに。」
私とフレアの言葉に対してワナワナと震えながら両手に拳を握り必死に睨みつけてくる青年。
その側に控えていた年配の騎士が私達の間に入り話しかけて来た。
「失礼した。こちらはこの国の第三者王子のラス王子殿下です。急な事により無礼な態度をとり申し訳ない。私はラス王子殿下の近衛騎士団長を務めさせて頂いているガストンと申す。何故この国にこられたか教えて頂けるだろうか?」
見た目からしてこの場にいる誰よりもしっかりして腕もかなり達人物。
下手に敵に回すより状況を速やかに解決するには仲間にする方が得策であると判断して私とフレアはガストンとなった騎士に話をした。
すると...彼自身もこの国が現在どの様になっているのか把握できていなかった様子でかなり顔色を悪くする。
『言っておくけど...この目でここに来るまでに見た事を話ただけだからね。別に虚言を伝えているわけでもないわ。』
私がそう伝えるとガストンの背後に隠れていたラス王子が顔色を一際悪くしてガストンの横から私達に声をかけて来た。
「う、嘘だ!!デタラメだ!!だ、だって...村や町の魔物討伐には兄様達が騎士達を連れて出向いて行ったんだもん!!ありえない!!」
必死にそう叫ぶ彼の言葉を聞いて道中で見かけた光景の中にガストン達が来ている服に似た色違いの服を着た人の死体の一部があった事を思い出した。
きっとそれが彼の言う兄達の部隊なんだろうが...状況的に...全滅したというのが正しいかもしれないと思い私はあえて伏せずに全部伝えた。
『そう言えば...魔物に襲撃された町や村には魔物の死体と一緒にガストン??だったわよね?あなたとよく似た色違いの服を着た人達の死骸の一部があったわ。運が良ければどこかで生き延びているとは思うけど...状況的には...かなり厳しいんじゃない?
だって...すでにこの王都手前の所まで魔物の姿があったからね。』
私の言葉にラス王子はその場に崩れ落ちる。
それを見て私はなお言葉を続けた。
『どうする?このままここであのクズブタと一緒に死ぬか...民と一緒に生き延びて再起を図るか選びな。』
その言葉にガストンはラス王子を小脇に抱えて側に控えていた部下達に何やら指示を出した。
そして...
「客人。すまぬが言葉に甘えさせてもらう。どちらに向かったらいい。」
「王都の広場だ。」
「分かった。恩にきる。」
こうしてガストン達もこの城から出て生き延びる選択をしたのだった。
10
お気に入りに追加
577
あなたにおすすめの小説
引きこもり転生エルフ、仕方なく旅に出る
Greis
ファンタジー
旧題:引きこもり転生エルフ、強制的に旅に出される
・2021/10/29 第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞 こちらの賞をアルファポリス様から頂く事が出来ました。
実家暮らし、25歳のぽっちゃり会社員の俺は、日ごろの不摂生がたたり、読書中に死亡。転生先は、剣と魔法の世界の一種族、エルフだ。一分一秒も無駄にできない前世に比べると、だいぶのんびりしている今世の生活の方が、自分に合っていた。次第に、兄や姉、友人などが、見分のために外に出ていくのを見送る俺を、心配しだす両親や師匠たち。そしてついに、(強制的に)旅に出ることになりました。
※のんびり進むので、戦闘に関しては、話数が進んでからになりますので、ご注意ください。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
異世界は黒猫と共に
小笠原慎二
ファンタジー
我が家のニャイドル黒猫のクロと、異世界に迷い込んだ八重子。
「チート能力もらってないんだけど」と呟く彼女の腕には、その存在が既にチートになっている黒猫のクロが。クロに助けられながらなんとか異世界を生き抜いていく。
ペガサス、グリフォン、妖精が従魔になり、紆余曲折を経て、ドラゴンまでも従魔に。途中で獣人少女奴隷も仲間になったりして、本人はのほほんとしながら異世界生活を満喫する。
自称猫の奴隷作者が贈る、猫ラブ異世界物語。
猫好きは必見、猫はちょっとという人も、読み終わったら猫好きになれる(と思う)お話。
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる